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地域観光 ■第2556号《2010年4月3日(土)発行》
都道府県の10年度観光予算出そろう
2010年度を前にした3月30日、都道府県の観光関連予算が一部を除いてほぼ出そろった。厳しい財政事情を反映してか、前年度比マイナスとなる自治体もあるが、どちらかといえば増加しているところが多い。中には青森県や島根県などのように40%増と大幅に増やした県もある。本社が実施した「10年度観光関連予算調査」の中から、主な動きを拾ってみた。
北海道の予算(雇用交付金事業費含む)は前年度比18%増の約7億8千万円。北海道ならではのブランド力を高めるため「観光ブランディング事業」に取り組む。
今年12月に東北新幹線の新青森〜八戸間が開業する青森県。11年春にはデスティネーションキャンペーン(DC)も実施されるとあって、同47.4%増の約18億円と大幅にアップした。
同24%増の約7億1千万円の予算を計上したのは群馬県。来年夏実施するDCの成功を期すため、観光局内に推進室を設け、具体的な作業に着手する。
先ごろ県内の観光資源を一体的にPRする「埼玉『超(ちょ〜)』観光立県宣言」を発表した埼玉県。観光課の予算(雇用交付金事業含む)は約2億4千万円。ユニークな取り組みとして、全市町村にご当地キャラクターやご当地グルメの開発を呼びかけ、年内に「ゆるキャラ・サミット」を開く予定だ。
2月下旬に、10年度から6年間を対象とする観光振興基本計画を決めたのは愛知県。「産業としての観光の推進」などを基本方針とし、観光業の底上げを目指す。特に、東アジア(中国、台湾、韓国、香港)からの観光客を現状の3倍となる150万人を目指す。10年度全体予算は約4億7千万円となっている。
来年のNHK大河ドラマ「江〜姫たちの戦国」の舞台ともなる滋賀県。10年度予算は約3億3千万円。大河ドラマの効果で観光客は増えそうだが、広報宣伝などに使い、一層の集客を図る。
当初予算比4%減の約3億8千万円となった広島県だが、観光拠点の機能の向上と周遊ルートの確立を図るため、県内2地域に的を絞ったミニキャンペーンを新たに展開する。事業費として7200万円を計上。また、医療ツーリズムの育成などにも取り組む。
前年度比32.9%増の約5億円の予算となったのは山口県。「フェリーの旅」推進事業などを掲げる。組織再編では観光交流局を設け、局長(部長級)には総務省出身の課長補佐が就任する。
県出身の漫画家、水木しげるさん夫妻を取り上げたNHK朝の連続小説「ゲゲゲの女房」も始まり、追い風が吹く鳥取県の予算は同39.3%増の約7億5千万円。まんがにスポットを当てたユニークな事業が目立つ。
NHK大河ドラマ「龍馬伝」で注目が集まる高知県。予算は前年度比12.3%増の約14億8500万円を確保。新規事業としてジオパークの推進などに取り組む。
11年春に全線開業予定の九州新幹線鹿児島ルート(博多〜鹿児島中央)。開業すれば博多からの所要時間は約1時間20分とこれまでより1時間弱程度短縮されるだけに、「観光客の増加が期待できる」と関係者は見る。予算は同8.6%増の約19億円で、開業イベントの担当を設置する。
沖縄県、モスクワ旅行博に初出展
注目を集めた沖縄ブース
沖縄県と沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は、新たな海外旅行市場開拓事業として、3月17日から21日まで、ロシア最大の国際旅行見本市「MITT 2010」(モスクワ・インターナショナル・トラベル&ツーリズム2010)に初出展した。現地の旅行会社からは、沖縄の自然や文化を体感できるメニューに対し高い関心が寄せられた。
沖縄ブースは、日本政府観光局の運営する日本スタンドへの共同出展。ロシア語版ガイドブックなど1千部を用意、多くの訪問者があった。
富裕層向けの宿泊施設や観光メニュー、ロシア語通訳ガイドの有無、沖縄へのアクセスなどの情報について多く問い合わせがあった。
「ビーチリゾートとしての魅力だけではなく、空手、長寿、食、ゴルフ、フィッシング、ダイビング、琉装ウエディングなどの沖縄特有の文化や体験メニューにも関心が高かった」(OCVB)。
現地の大手旅行会社担当者からは「ロシア人にとって日本は人気の旅行先であり、沖縄についての問い合わせも年々増えている。これまでの東京・大阪・京都などのゴールデンルートに沖縄をプラスした商品を積極的に販売していく」「富裕層の個人旅行だけでなく、企業のインセンティブツアーの目的地としても沖縄は魅力的」「ウクライナやカザフスタンなどの周辺諸国からの富裕層誘致も期待できる」などの声が出ていたという。
沖縄県では、ロシア市場を2010年度の新規マーケット開拓地域として重要視し、現地旅行会社担当者の視察研修やセミナーを実施。また、ロシア語版ウェブサイトの開設や現地メディアを活用したロシア市場での富裕層誘致に向けた積極的な誘客プロモーションを展開している。
福山市、龍馬観光でガイドブック制作
ガイドブック
NHK大河ドラマ「龍馬伝」の放送を観光客の増加に結びつけようと、広島県福山市の福山観光キャンペーン実行委員会(会長・羽田皓市長)はこのほど、龍馬とゆかりが深い鞆の浦地区の魅力をまとめたガイドブックとフォトCDを制作した。
3月19日には市観光課の宮野宏子さんらが東京都台東区の観光経済新聞社を訪れ、PRした。
龍馬率いる「海援隊」の商船・いろは丸が紀州藩の船と衝突、沈没した事件、いわゆるいろは丸事件の解決を巡っての談判の舞台となったのが鞆の浦で、龍馬との縁は深い。ガイドブック(A5版34ページ)はいろは丸事件の概要や龍馬との関係、江戸期からの常夜灯など史跡、名物料理、宿泊施設などを紹介している。
ガイドブックは3千部、CDは400枚作り、旅行会社などに配布するとともに、1部200円で販売する。
鞆の浦の観光客数は年間約175万人。同市などでは追い風を生かし、龍馬関連のイベントも企画・実施、観光客の増加を目指す。
兵庫キャンペーンにゆるキャラ一役
観光大使やキャラクターが活躍
兵庫県は3月26日、JR大阪駅で「あいたい兵庫」春夏ガイドブックを配布するキャンペーンイベントを開催した。ひょうご観光大使の「はばタン」や丹波竜のマスコットキャラクター「ちーたん」、豊岡市のマスコットキャラクター玄武岩の「玄さん」なども登場して注目を集めた。
配布したガイドブックのテーマは「ひょうごのアウトドアでリフレッシュ」。昨年、「日本ジオパーク」に認定された「山陰海岸ジオパーク」をはじめ、パラグライダーなどのアウトドアスポーツやキャンプ場の情報などを掲載。淡路島で5月30日まで開催中の「淡路花博2010花とみどりフェア」などイベント情報も紹介している。
同県はJTBグループとタイアップし、4月から9月まで「日本の旬・関西キャンペーン」を展開、春夏シーズンの全国からの誘客促進に向けた取り組みを進めている。
キャンペーンで今回初めて実施される「関西まち歩き100選」では、26コースが選ばれ、地元女子大生が案内するガイドツアーや城崎温泉街・文学碑めぐりガイドツアーなどが行われる。
妖怪たちが地元・境港をアピール
妖怪キャラバンの一行
「ゲゲゲの女房」を見たら、境港にも足を延ばしてみて。NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」の放映と、JR西日本のキャンペーンを契機に、「妖怪の街・境港」をPRしようと、妖怪の「ぬらりひょん」「子泣き爺」「猫娘」のそっくりさん一行が3月26日、東京都台東区の観光経済新聞社を訪れた。
来社したのは、06年から境港市で開かれている「妖怪そっくりコンテスト」の優勝・入賞者で、子泣き爺にふんする小出武さん、猫娘にふんする馬場美里さん、ぬらりひょんにふんする打田マサシさんの3人。3人は、「8月に開催の妖怪そっくりコンテスト後には、境港の水木ロードでコンテスト参加者による妖怪パレードを行っている。ぜひ見に来て」(小出さん)、「辛い、貧しい状況でも常に前向きな水木先生の人柄にゲゲゲの女房で触れた後には、ぜひ妖怪ロードへどうぞ」(打田さん)、「ゲゲゲの女房を見て熱くなったら、水木ロードで売っているかき氷でクールダウンを。イチゴ味がおすすめです」(馬場さん)と話し、春、夏の境港観光やゲゲゲの女房についてアピールした。
ゲゲゲの女房は3月29日から放映開始。境港出身の漫画家、水木しげる氏の妻で、鳥取県安来市出身の武良布枝さんの自伝を原案にしたドラマ。ドラマ中には水木氏の描いた妖怪キャラクターらも登場するという。
JR西日本のキャンペーン「大山・鬼太郎キャンペーン」は4〜6月開催。中国地方最高峰の大山と、境港、安来、米子を中心に観光スポットを紹介するほか、「鬼太郎列車」などの妖怪イラスト列車の4両連結運行などの特別企画を実施する。
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