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旅館・ホテル ■第2557号《2010年4月10日(土)発行》
旅館、7割が売り上げ減少 飯島綜研調べ
コンサルタントの飯島綜研はこのほど、全国の旅館300軒(無作為抽出)を対象に昨年の売上結果と今年の売上見通しについてのアンケート調査を実施した。それによると、昨年の売上が前年比で減少したとする施設は全体の69.7%に上ったのに対し、増加したとする施設は18.2%にとどまり、旅館を取り巻く経営環境の悪さを物語っている。一方、今年の売上見通しについても、増加が12.5%にとどまる一方、減少が46.9%に上り、引き続き厳しい経営環境が見込まれている。
昨年の宿泊人員は、前年比で減少とする施設が全体の48.5%、増加または横ばいと回答した施設が51.5%と拮抗している。「宿泊人員に関しては下げ止まりの傾向が出てきたとの見方もできる」(飯島綜研)。
昨年の宿泊単価も、減少とする施設が42.5%、増加または横ばいとする施設が57.5%と大きな差はなく、「人員と同様の傾向がみられる」。
売上が上昇したとする施設の上昇理由は(3つまで回答可)「インターネットによる集客が増えた」が33.3%と最も多く、次いで「宿泊単価がアップした」20.0%、「直セールスによる集客が増えた」と「付帯売上が伸びた」の13.3%。「大手エージェントからの送客が増えた」はゼロだった。
一方、売上が下降したとする施設の下降理由は(同)「大手エージェントからの送客が減った」が25.4%と最も多い。次いで「中小エージェントからの送客が減った」と「付帯売上が減少した」の19.4%。
昨年の営業利益は、減少したとする施設が54.5%、増加したとする施設が33.3%。増加の理由は「人件費以外の経費が減少した」「人件費が減少した」がそれぞれ36.4%、27.3%と多いが、「売上が伸びた」も27・3%あった。
今年の売上見通しは上昇とする施設が12.5%にとどまり、特に大規模旅館はゼロだった。
売上拡大策については(3つまで回答可)「ホームページ等の充実を図り、ネット販売を強化する」が最も多く、30.8%が回答。次いで「広告宣伝・DM・セールス等を強化し、直客の集客に力を入れる」17.6%、「宿泊以外の売上部門を強化する」13.2%。「大手エージェントとの提携を強化する」「中小エージェントとの提携を強化する」はそれぞれ8.8%、3.3%だった。「売上拡大には『まず、エージェント』という従来の形から、営業方針に変化がみられる」(飯島綜研)。
鶴雅グループ、照明にLED採用
北海道内でホテルなどを経営する鶴雅グループ(本社阿寒湖温泉、大西雅之社長)は、運営する全ホテルで白熱電球などの主要照明を省エネ型のLED(発光ダイオード)照明に全面交換する作業を始めた。全体で1万数千個にのぼる照明を交換する。
同グループでは、昨年春から二酸化炭素排出量を削減する「ゼロカーボンプロジェクト」を立ち上げ、温泉水の熱交換やヒートポンプ方式による給湯・冷暖房システムをおよそ1億6千万円かけて一部ホテルで試行している。
今回、運営する全ホテルの白熱灯やハロゲンランプ、水銀灯などを全面的に交換することとし、1月から千歳市支笏湖畔の「しこつ湖鶴雅リゾート水の謌(うた)」、3月から釧路市阿寒湖温泉の「あかん悠久の里鶴雅」で交換作業を進めている。
同グループでは、導入の検討の中で国内メーカーのLED製品では割高となることや、使用するサイズ・形状が多種多様で対応できないことから、台湾のLEDメーカーに製造を依頼。台湾のメーカーでは、昨年夏から全ホテルを回って照明器具の形状などを調べ、各種タイプの照明を開発した。同グループでは、「これも数千万円規模の投資となるが、環境に配慮した取り組みとして進めている。光熱費の削減にもなる」として、できるだけ早く全ホテルの交換を完了させたいとしている。
日観連、中国語講座を初開催
中国人旅行者へのもてなしを向上させようと、日本観光旅館連盟が中国語講座を開いた。
旅館・ホテルの経営者、女将、接客担当者らが発音の基礎などを学んだ。(日観連本部で)
日本観光旅館連盟(近兼孝休会長)はこのほど、東京・千代田区の日観連本部で会員旅館・ホテルを対象に中国語講座を初めて開いた。日中産官学交流協会との共催。個人観光査証(ビザ)の発給などで拡大が見込まれる中国人旅行者へのもてなしを向上させようと、経営者をはじめ女将、接客担当者らが発音の基礎などを学んだ。
首都圏や北海道に所在の温泉旅館やホテルから20人が参加した。講師はLEC東京リーガルマインド大学教授で心弦社代表の田中則明氏。田中氏が開発した日本人のための独自の発声速習法がわかりやすいと好評だった。
語学に合わせて、日中産官学交流協会事務局長の李琳氏が、中国の海外旅行事情や中国人に喜ばれるもてなしなどをテーマに講演した。李氏は中国の吉林大学で日本語を専攻し来日。中国向けの各種PRなどを支援する会社、風樹の代表でもある。参加者は、中国人の受け入れ拡大に生かそうと熱心に聞き入った。
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