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トラベル ■第2563号《2010年5月29日(土)発行》
旅行会社、映画・ドラマの舞台に熱い視線
近年、映画やドラマのロケ地や主人公にゆかりある土地、舞台となった土地が多くの観光客を集めている。全国各地で、撮影をサポートするフィルムコミッションなどの活動が活発化しているが、旅行会社も人気の作品や今後注目を集めそうな作品をテーマにした商品を造成、販売し、需要取り込みを図っている。
29日に全国公開される映画「レイルウェイズ」の舞台、島根県出雲市の一畑電車を訪ねるツアーをこのほど発売したのは、日本旅行。
映画は一流企業に勤めていた49歳の主人公が母親の病気を機に故郷の島根県を走る一畑電車の運転士に転職し、家族の絆を再確認するという作品。
ツアーは発地と島根(米子、松江、玉造温泉、出雲市)間のJRと、松江または玉造温泉の宿泊をセットにしたもの。一畑電車1日フリー乗車券を付けるほか、オプションプランとして、映画ロケ地の一畑電車雲州平田駅構内の特別見学を設定した。
7月9日発までの設定。首都圏、中部、西日本、九州発で、首都圏発1泊2日が3万円から。
JTBが21日発売したのは、韓国の人気テレビドラマ「IRIS(アイリス)」の秋田県のロケ地を訪れる首都圏発着のパッケージツアー。日本でも4月から放送が始まったことから、企画された。
添乗員同行型プランでは、アイリスの秋田ロケ地に詳しいガイドが撮影秘話も盛り込み案内。主演のイ・ビョンホンが宿泊し、撮影セットも残される田沢湖ホテルイスキアの部屋を見学したり、再現された出演者の食事を食べたりと、「アイリスのシーンを思い浮かべながら秋田の魅力を再発見できる内容」(同社)。
アイリスは昨秋、韓国で放映され、平均視聴率が30%を超えた。雪のある風景からロケ地となった秋田県は、ファンの韓国人観光客でにぎわっている。秋田〜ソウル便の搭乗率は大幅増で、秋田は県を挙げて観光客へのPRに力を入れている。
ぐるなびが中国語会話の音声ガイド本とペン
飲食店情報検索サイト「ぐるなび」を運営するぐるなびは20日、流暢な中国語会話を再生できる、音声ガイド本「ぐるなびオーディオブック上海」と専用ペン「ぐるなび音声ペン」を発売した。上海観光に役立つ情報や会話を盛り込んだ、観光の手助けとなる内容。KNTの上海ツアーの特典として付けるなどして、上海観光の需要喚起につなげたい考えだ。
ぐるなびが、セーラー万年筆、情報センター出版局と共同開発した。
ガイド本は、現地の優良店27店の情報を掲載しているほか、レストランの予約や注文、精算に必要な会話のほか、道をたずねたりトラブルに遭ったりした時に使える会話などを掲載。専用ペンでタッチすると、ペンから中国語が流れ、現地での意思疎通を助ける。日本語コールセンターも設け、無料でレストランの予約や、ガイド本掲載店以外の案内を行う。
ガイド本と専用ペンはKNTの上海ツアー「GOGO上海万博」に無料で付けるほか、6月上旬からはレンタル携帯サービスを行う「テレコムスクエア」が成田空港で、ガイド本の販売と専用ペンのレンタルを始める。
JR四国、関西で観光素材披露
あいさつする松島取締役営業部長
JR四国は18日、ホテルグランヴィア大阪(大阪市)で、商品説明会を開催、旅行会社に四国の最新観光素材や鉄道商品について紹介した。説明会の冒頭あいさつした松島裕彦取締役営業部長は「NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』や大河ドラマ『龍馬伝』など四国は大変注目を集めている。また、たくさんの送客をいただきありがたい。この状態がずっと続くよう頑張っていく」と述べた。
プレゼンテーションでは、ミニぐるりんパスや観光タクシー「駅から観タクン」などJR西日本との連携企画を充実させていくことや、旅行会社から要望のあった岡山〜高知間を結ぶ特急「南風」の団体枠の増枠などを紹介した。また、アンパンマン列車が10周年を迎え、昨年10月にリニューアルされた車両なども紹介した。
各エリアの素材紹介では、にし阿波エリア(徳島西部)は無形文化財「襖からくり」、高知エリアはポスト龍馬博として、観光地づくり整備事業「龍馬から始まる土佐物語」(仮称)を紹介。高松エリアでは今年7月19日から10月末まで開催される「瀬戸内国際芸術祭2010」を説明した。
このほか説明会では、特別プレゼンテーションも開催。JR四国とパートナーシップを結んでいる高知県の尾崎正直県知事と愛媛県松山市の中村時広市長が登壇し、それぞれの地域の魅力について述べた。
日旅、外客向け宿泊プランの販売強化
日本旅行はインバウンド向け宿泊プランの販売を強化する。世界の約30社、数百サイトとシステム連携するデータ連携システム「HBSi」を保有するアイビーエス・ソフトウェアサービス・ジャパン(本社・東京都港区)とこのほど提携。HBSiを介して、HBSiと連携している世界の有力サイトで同社の宿泊プランを販売する。2010年度に10億円の販売を見込む。
従来、海外で展開するサイトでインバウンド向け宿泊プランを販売する場合、サイトを運営する各社との契約とともに、サイトに宿泊に関するデータを提供するシステムを構築する必要があった。
今回、HBSiを利用することで、大きな手間とコストをかけることなく、世界のサイトに宿泊データを提供できるようになった。
今後、HBSiと連携する約30社と営業条件などの個別契約を順次締結。その上で各サイトでの販売を始める。
当初は約1500施設、1万2千の宿泊プランを用意。プランは順次拡大する。
日旅では自社のインバウンド向け宿泊予約サイト「英語版・宿なび」も今回の提携を機にリニューアル。インバウンド向け情報の掲出、簡易検索の導入などサービス機能を充実させるとともに、設定プランを拡充した。
クラツー、ハイブリッドバス導入
バスのイメージ
クラブツーリズムは6月から、ハイブリッドバスを使ったバスツアーを始める。同社がハイブリッドバスを導入するのは初めて。日帰りバスツアーのほか、宿泊ツアーでもハイブリッドバスを利用し、環境に優しいバス旅行を実現する考えだ。
導入するのは、日野自動車製のハイブリッドバス1台。ディーゼルエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。減速時のエネルギーを蓄え、発進、加速時にエンジンをアシストするモーターを動かす。「平成17年(新長期)排出ガス規制」の規制値に比べ、窒素酸化物と粒子状物質の排出量が10%以上少ない。
ハイブリッドバスはスムーズな発進と静粛性、排気ガス臭の少なさが特徴のため、より快適なバス旅行を提供できるという。
主要62社3月実績
観光庁が5月21日に発表した今年3月の主要旅行業62社の旅行取扱状況は、総取扱額が前年同期比1.8%増の5073億2309万円だった。内訳は、国内旅行が同1.0%減の3107億6470万円。海外旅行は同6・3%増の1920億1563万円、外国人旅行は同21.3%増の45億4276万円で2ケタ増と好調だった。62社中、半数を超える34社が前年実績超えした。
国内旅行は、取り扱い57社中26社が前年実績を超えた。ANAセールス、ビッグホリデーなどが好調。「近畿方面で好調な事業者もあるが、景気低迷による減が継続した」(観光産業課)。
海外旅行は取扱60社中35社、外国人旅行は取り扱い35社中24社が前年実績を上回った。
旅行商品ブランドの取り扱い状況は、総取扱額が前年同月比1.3%減の1497億4531万円。このうち国内旅行は同3.6%減の913億8918万円。海外旅行は同2.3%増の580億5642万円、外国人旅行は同46.9%増の2億9971万円。
旅行商品ブランドの取り扱い人数は、総計が同2.1%減の437万1267人。内訳は、国内旅行が同2.7%減の391万5470人、海外旅行が同2.7%増の44万452人、外国人旅行が同29.4%増の1万5345人。
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