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トラベル ■第2564号《2010年6月5日(土)発行》
JTB、11年度から新中期経営計画開始
JTBは、09年度から構造改革のため取り組んでいる3カ年の中期経営計画を10年度で終了させる。国内企画商品「エース」の商品力の低下、ネット販売への対応不足、店頭事業の市場適合性の低下といった課題が顕在化。急激な環境の変化に対応しきれていない現状を認識し、構造改革のスピードを速める。
11年度から2カ年の中期経営計画を開始。10年度は、次期中計への基盤整備の期間と位置付け、「構造改革に徹底的に取り組む」(田川博己社長)。併せて、ネット販売などの成長分野を伸ばし、グループ収益力の改善を目指す。特に旅行営業の諸課題については田川社長の直接指揮で解決を図る。
国内旅行事業の構造改革として、仕入れ、造成、販売、流通をゼロベースで見直す「プロジェクト4000」を断行する。
店頭事業は市場や地域特性に応じて店舗ネットワークを再編。経費構造の見直しによる収益性の改善も図る。
ウェブ販売では宿泊商品力を強化。国内、海外の専用パッケージツアーも展開する。
法人事業では成長分野ととらえている地域活性化ビジネスに力を注ぐ。
11年度からの中計名称は「JTBニュー・ディパーチャー2011」。旅行事業の収益性、旅行周辺事業、“人財力の3点の強化を目的とする。
具体的には、オンラインエージェントとしての地位確立に向けたウェブ事業を強化するほか、国内宿泊販売はネット、インバウンドの比重を高めて増売を実現する。グローバル事業については、アジア1のDMC(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)を目指していく。
旅行周辺事業の強化策として、総合プロデュース事業のJTBコミュニケーションズ、出版事業のJTBパブリッシング、JTB商事などの主要会社では旅行事業との相乗効果で安定した利益確保を目指す。
KNT、本社ビルと土地を売却
近畿日本ツーリスト(KNT)は5月27日に開いた取締役会で、本社規模の最適化と本社機能の効率化を図る目的で本社ビルと土地を売却することを決めた。譲渡金額は32億円。6月中に譲渡契約を結び、今年12月末までに譲渡する予定。譲渡後2012年3月末まではKNTが賃借する形で同ビルを利用する。
売却するのは、東京都千代田区神田松永町にある「東京近鉄ビル」の土地と建物で、帳簿価格は23億5千万円。同社は1965年に本社を大阪から東京に移して以来、長年にわたり同地を本社所在地としてきた。
電子部品事業、情報機器事業などを展開する加賀電子(東京都千代田区、塚本外茂久社長)に売却する。加賀電子は取得した土地に同社の新本社ビルを建設する予定。
土地と本社ビルの売却により、KNTでは連結、個別ともに約7億5千万円の固定資産売却益を特別利益に計上予定。特別利益計上は2月発表の10年12月期の業績予想に織り込み済みのため、業績予想の修正はない。
東武トラベル、寺院紹介のサイト開設
てら旅美人のトップページ
東武トラベルは、寺院を紹介するサイト「てら旅美人(たびびと)」を4月から開設。寺に興味のある人に行事やイベントへの参加を目的としたツアーを売り込んでいる。
旅を通して、多くの人々と寺院を結ぶことをコンセプトにした。歴史、座禅・法話などの行事、文化財、美術品といった全国の寺院関連の情報と併せて、寺巡りや行事参加のツアーを紹介する。各種の情報は、教えを広げ、信徒を増やしたい寺院から提供してもらう。
募集中のツアーは、「いのち」をテーマにした法話を聞き、座禅をする曹洞宗大本山總持寺(神奈川県横浜市)の「禅の一夜」や曹洞宗東長寺(東京都新宿区)のハワイ別院で法要を行う、檀信徒向けの「京先住忌ハワイ法要ツアー」など。今後、夏休みの親子参禅などの企画を予定している。
これまで蓄積してきた宗教セールスのノウハウを活用した。同社は「より付加価値の高い寺の魅力をアピールして、イベントの実施募集で寺を中心とした地域振興も図りたい」(団体営業部課長・田村洋氏)と意気込む。
はとバス、スカイツリー見学で5ツアー投入
はとバスは東京スカイツリーを見学するツアーを増やす。3月に発売したツアーが「6月末運行分まで満席」(広報室)と好調なため、新たな企画で集客増を狙う。
新たに企画したのは2階建てオープンバス「オー・ソラ・ミオ」やヘリコプター、船を使用するツアーや、スカイツリー、東京タワー、横浜マリンタワーを見学するツアーなど計5本。
スカイツリーの建設現場をヘリから見学(フライト時間20分)した後、東京湾クルーズを楽しむ「ヘリコプター大遊覧とシンフォニークルーズ」は7〜8月の特定日に催行。代金は大人1万9800円、子ども1万7800円。やや高額なツアーだがスカイツリーを上空から見られるとあって人気を呼びそうだ。
3月から運行しているツアーは「東京、ただ今工事中」。6月末までの予約分を含めると取り扱い人数は600人を超えており、「満席状態でキャンセル待ちの状況」という。
クラツー、ハイブリッドバスの試乗会実施
導入したバス
クラブツーリズム(CT)は5月31日、6月から同社が1台導入するハイブリッドバスの試乗会を行った。ハイブリッドバスは、従来の大型バスに比べ窒素酸化物(NOx)の排出量が少ないなどの環境へのやさしさに加え、静粛性や排気ガス臭の少なさも特徴。試乗会参加者からは、「発進がスムーズだった」「エンジン音が非常に静か」などの声が聞かれた。
試乗会には、報道関係者のほか、バス旅行事業を行っている事業者らも参加。東京・西新宿周辺でバスの乗り心地などを体験した。
導入したバスはCTと契約を結ぶフロンティア観光バスが新規に購入した、日野自動車「セレガハイブリッド」。CTがフロンティア観光に働きかけ、横浜旅行センターへの導入が実現した。同車両を使ったツアーには、すでに1500人の旅行申し込みがあるという。
同社は以前からエコツアーに取り組んでいるが、ハイブリッドバスの導入でさらに環境にやさしい旅への取り組みを加速したい考え。「環境にやさしいバス旅行」の理解、浸透も目指す。旅行参加者にエコバックや自分のはし「マイハシ」を持参してもらう商品の展開なども進める予定だ。
同社では今後千葉旅行センターへのハイブリッドバスの導入を決めているが、「製造現場の問題もあるが、できる限り早く、2ケタの台数にしたい」(梶田隆弘・執行役員バス旅行部長)と積極的な導入に意欲を見せる。
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