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旅館・ホテル ■第2566号《2010年6月19日(土)発行》
全旅連、3つの成長分野に注力
「力を合わせて難局を乗り切ろう」と佐藤会長(檀上中央)
全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長=山形県・日本の宿古窯)は8日、岐阜県岐阜市の岐阜グランドホテルで第88回全国大会を開いた。全国の組合員約1100人が参加。佐藤会長はあいさつの中で、昨年暮れに政府が打ち出した新成長戦略にふれ、同戦略で成長分野と位置付ける6つの分野のうち、「環境」「健康」「観光」の3つにかかわる事業に注力する考えを示し、組合員に協力を求めた。
環境では、「CO2削減に積極的に取り組む」として、CO2の排出量を抑える電気自動車(EV)の普及に努める。今年2月1日に日産自動車とEVの充電インフラ整備に関する覚書を締結。全国の旅館・ホテルにEV充電用の設備を導入するよう呼びかけていく。佐藤会長は「EVの長所は環境に優しいところ。だが、ガソリン車のようにいつでも簡単に燃料の補給ができない。EVの普及は、充電インフラが全国に整備されるかどうかにかかっている。ご協力をお願いしたい」と述べた。
健康の分野では、高齢者などすべての人に優しい宿の普及を目指す全旅連のシルバースター登録制度のさらなる充実をはじめ、「あらゆる面で高齢者の方々が元気で、長寿社会を謳歌する社会の実現を推進する」とした。
観光分野ではインバウンドへの取り組みを挙げ、今年7月に実施される中国人個人観光客へのビザ発給要件緩和政策に言及。「これにより中国人の旅行客は飛躍的に増えると予想されるが、これまでの外客受け入れ施設だけでは不足すると思う。全旅連としても政府の方針に則り、皆さまの施設が外国人観光客を受け入れられるよう努める」と述べた。
佐藤会長は最後に「わが旅館・ホテル業界は創業100年以上の企業が最も多い業界であり、時代時代の苦難に耐え、変化に対応し、生き残ってきた。21世紀は平和産業である観光の時代。先人に学び、この難局を力を合わせて乗り切ろう」と呼びかけた。
大会では、開催県の岐阜県から、岐阜県旅館ホテル生活衛生同業組合の瀧多賀男理事長が参加者へ歓迎のあいさつ。来賓から、岐阜県の古田肇知事、岐阜市の成原嘉彦副市長、自民党観光産業振興議員連盟の細田博之会長、所管の厚生労働省があいさつした。
すべての人が安心、快適に楽しめる社会環境作りに貢献した旅館や地域組合に贈る「第13回人に優しい地域の宿づくり賞」を表彰。厚生労働大臣賞の佐賀県旅館生活衛生同業組合青年部、全旅連会長賞のひだホテルプラザ(岐阜県)をそれぞれ表彰したほか、観光経済新聞社社長賞に決まった四万温泉協会に江口恒明本社社長から表彰状と賞金を授与した。
このあと「経営の安定と活性化に努める」などとする大会宣言と、「旅館の再生促進」など12項目からなる決議文を採択。会場全体の万歳三唱で大会を締めた。
懇親会には民主党など連立与党の観光振興議員連盟の川内博史会長がかけつけ、旅館・ホテル業界を激励するあいさつを述べた。
シーサイドホテル舞子ビラ神戸、低カロリーのコース料理
フランス割烹800キロカロリーコース
シーサイドホテル舞子ビラ神戸(神戸市垂水区、森重喜三雄社長)は、「フランス割烹800キロカロリーコース」を7月から発売する。フランス料理をベースとした創作料理のコースで、総カロリーを800キロカロリーに抑えたメニュー。糖尿病などで摂取カロリーを制限している人や、ダイエットをしている人でも安心してコース料理を楽しめるという。
レシピは医師、管理栄養士の指導のもと作成。松村智明総料理長が瀬戸内海の海産物や兵庫の食材を使い、調理法を工夫して低カロリーでも味のよいメニューを作った。バターの代わりにオリーブオイルを使うほか、生クリームを使うソースを避けている。ハーブやスパイス、香味野菜を多く使うことで味に変化を与えた。メーン料理は脂のない牛肉(イチボ肉)を使用し、カロリーは146キロカロリーに抑えている。デザートの「フレッシュフルーツの葡萄酢スープ」は96キロカロリーに仕上げた。
同ホテルでは4月から800キロカロリーの中国料理コースも発売しており、カロリーを気にしている人や、脂っぽい料理が苦手な年配者にも好評という。
椿山荘、女性向けセミナー開催
フォーシーズンズホテル椿山荘は10日、女性向けプログラム「五感で楽しむ温泉と目白の初夏」を開催した=写真。温泉ビューティー研究家の石井宏子氏を講師に迎え、美と健康のための旅の仕方などについての講演や庭園散策など実施。参加者は、冷房などで冷えやすい、夏の女性の体をケアするための入浴のコツや、手軽に「旅気分」を得ることができるリフレッシュ法などについて学んだ。
講座は野菜をふんだんに使った軽食を取りながらの歓談でスタート。石井氏が温泉の基礎知識や泉質別の美容効果などを解説した。ハーブティーなど身近なものを使った温浴についての説明では、参加者から「フラワーバスは効果があるのか」などの質問も出た。
講演後に行った「プチ旅体験」と称した庭園散策では、同ホテルが初夏の名物としているホタルを鑑賞したり、樹齢500年といわれる御神木を参拝したりして、五感をフル活用した旅の楽しみ方を実践した。「温泉や旅のいろいろな楽しみ方がある。今回の講座が少しでも旅に出るきっかけとなればうれしい」と石井氏。
参加者は、直送された伊東温泉の湯を利用できる、同ホテル内のスパ施設で温泉も楽しんだ。
同ホテルでは女性向けに、小笠原流礼法やピラティスの講座に、軽食やスパ利用を組み合わせた「お稽古プログラム」を展開しており、今回のプログラムも同シリーズの1つとして実施した。
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