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地域観光 ■第2567号《2010年6月26日(土)発行》
大分県竹田市、温泉療養に割引制度
長湯温泉などの温泉がある大分県竹田市は来年4月から、療養を目的とした温泉利用者を対象に温泉利用料を割り引く制度を創設する。同市からの補助金と、企業、医療機関からの協賛金で基金を作り、割引した利用料の差額分を温泉施設や旅館に支払う仕組み。日本には湯治などの温泉療養の歴史があるが、現在は健康保険適用外。竹田市の取り組みは温泉をめぐる新しい取り組みとして注目を集めそうだ。
割引制度は、竹田市民と同市に5泊以上滞在する観光客が対象で、対象者には新たに創設する市経営の基金管理団体「温泉療養保険組合(仮称)」が独自の保険証を発行する。利用者は、組合指定の医療機関が発行した温泉への継続的な入浴を指示した処方せんと保険証を提示することで、割引料金で入浴や宿泊ができる。
温泉を持つ旅館・ホテルや入浴施設に参画負担金などはなく、保険証利用があった場合には、組合から正規料金と割引料金の差額分を支払われる。
市では血行促進などの効果があるという炭酸泉の長湯温泉のほか、運動浴が可能な深い浴槽がある竹田温泉など、市内にある多彩な温泉地に参加を呼び掛ける考え。
長湯温泉は07年12月に「日本一の炭酸泉」を宣言、この中で「国際的視野に立った温泉地療養を目指す」とアピールするなど、温泉療法の確立に積極的な動きを見せてきた。長湯温泉協会の首藤文彦会長(宿房翡翠之庄)は「市全体で『温泉療養文化都市』を目指しており、今回の市の方針は目標達成の大きな一歩となる。ぜひ実現させてほしい」と期待する。
「温泉は歴史的にみると病気やケガの治療に利用されてきた。これは世界的な傾向であり、特に欧州諸国では医療との結び付きが強く、温泉療養に関して健康保険が適用されている」というのは日本温泉協会の滝多賀男会長。滝会長によると、現在日本の温泉療養は、健康保険の適用外となっているが、多くの人が温泉の効能を期待して療養を実践している。同温泉も健康保険適用に向けて働きかけを行ってきた経緯がある。
滝会長は「斬新な試みであり、国民の温泉の効果に対する期待に対応していると言える。このような取り組みが広がり多くの地方自治体で温泉療養への助成などが実施されるようになれば、各地で温泉療養の効果例として積み上げられることになり、健康保険適用への大きな足がかりとなるだろう」と注目する。
市では6月から関係部局の課長らによる内部協議を重ねており、法制度上の問題の有無などを話し合ってきた。23日には市と長湯温泉旅館組合、同源泉かけ流し協会、竹田直入温泉連絡協議会による会合が開かれ、首藤勝次市長(大丸旅館)が制度の考え方などを説明するなど、4月の制度開始に向けた動きが進む。
市には全国の温泉地や自治体から制度についての問い合わせが相次いでおり、今後ますます注目を集めそうだ。
中国地方の「夏の景色と食」に21件選定
国土交通省中国運輸局、農林水産省中国四国農政局、日本観光協会中国支部は、地域が自慢に思う、または人々が訪れたくなるような中国地方の「夏のとっておきの景色と食」を選定した。「春のとっておき」に続く企画。一般からの応募(景色に633件、食に426件)を基に有識者会議で選んだ。「鳥取砂丘と岩ガキ」(鳥取県鳥取市)をはじめ、景色と食の組み合わせで21件を紹介している。
選定基準は、(1)資源の育まれてきた由来や地域の歴史、文化とのつながり(2)他の地域にはない独自性(3)行きたい、食したいと思わせる魅力──など。有識者でつくる地域ブランド評価委員会で選定した。
「鳥取砂丘と岩ガキ」では、沈みゆく夕日や夕闇に灯るいさり火が美しい夕方の砂丘と、夏に旬を迎える鳥取の岩ガキを紹介。岩ガキは殻長13センチ以上のカキを「夏輝(なつき)」と呼ぶという。
「荒神谷の古代ハスと出西の新生姜」(島根県斐川町)は、大量の胴剣が発見された遺跡がある荒神谷史跡公園に咲く5千株、5万本のハスと、斐川平野の出西地区だけで収穫でき、「出雲国風土記」にも由来が記される出西ショウガの組み合わせ。ハスが観賞できるのは6月中旬から7月中旬まで、出西ショウガの収穫は7月から。
このほか、「三次の鵜飼と天然鮎」(広島県三次市)では、400年を超える歴史を持ち、毎年6〜8月に行われる三次の鵜飼と、清流で育った天然鮎を紹介。「天満宮の御誕辰祭と天神鱧」(山口県防府市)では、菅原道真公の誕生を祝い、ろうそくで防府天満宮の参道を照らす御誕辰祭(8月)と、防府特産の天神ハモ。「宝福寺の庭園と玉どうふ」(岡山県総社市)では、夏に清涼な雰囲気をかもし出す宝福寺の庭園と、高梁川の伏流水を使った総社の名物、手作りの玉どうふを取り上げている。
中国運輸局によると、「とっておきの春」の選定以降、地方自治体や旅行会社からの問い合わせもあるという。秋、冬も選定を行う。
花巻南温泉組合が優待キャンペを開始
岩手県花巻市の花巻南温泉組合(組合長・高田貞一大沢温泉社長)は7月1日から9月末まで、優待キャンペーンを実施する。キャンペーンに賛同する6温泉の9宿泊施設で利用できる優待券を計1千人にプレゼントする。「不景気ムードを少しでも吹き飛ばしてもらいたいという思いから、宿泊施設が力を合わせ実施することにした」(事務局)という。
キャンペーン期間中、9施設の利用者に応募はがきを配布。応募の中から抽選で1万円相当の宿泊割引券を100人に、5千円相当の同券を400人に、無料入浴券を500人にそれぞれプレゼントする。
優待券が使えるのは12月1日から来年2月末まで。ただし土・日曜などは対象外となる。9施設どこでも利用できるが、「電話で直接施設に予約の上、現金またはカードで支払う場合に限る」という。
「花巻南温泉峡の魅力を多くの人に実感してもらうのがキャンペーンの狙い。今後も単独の集客だけでなく、花巻南温泉峡全体の魅力増進による集客に力を入れていきたい」と事務局では話している。
参加施設は次の通り。
愛隣館(新鉛温泉)▽山水閣・菊水館(大沢温泉)▽幸迎館(山の神温泉)▽藤三旅館(鉛温泉)▽湯の杜志戸平・游泉志だて(志戸平温泉)▽別邸楓・ホテルさつき(渡り温泉)
静岡県観光協会、専務理事を公募
静岡県観光協会(静岡市、会長・川勝平太県知事)は15日、常勤の専務理事の公募を開始した。都道府県観光協会で専務理事を公募するのは珍しい。
(1)内外観光客の誘致促進(2)観光振興のためのイベント実施(3)公益法人制度改革に伴う協会運営のあり方など抜本的な見直し──などが主な仕事となる。
本部事務所に通勤できる人で、年齢、性別、資格などは問わない。任期は11年5月までの予定だが、総会で承認されれば再任される。週休2日制で、月給45万円。ボーナスも年2回支給される。
応募の受け付けは7月15日まで。1次、2次選考を得て、8月下旬までに合格者を決める。問い合わせはTEL054・202・5595。
新潟館ネスパスがリニューアルオープン
関係者を交えての鏡開き
新潟県のアンテナショップ「表参道・新潟館ネスパス」(東京都)が5日、リニューアルオープンした。2階の観光センターに新たに旅行カウンターを設置。従来の観光案内ほか、新潟行きの旅行商品を販売する。
5日はオープニングイベントを開催。ネスパスの桑原勝史館長、新潟県観光振興課の武本清志課長、新潟県観光協会の吉川孝之常務理事、新潟女将の会の村山桂子さん、来賓の菊地憲一・日本旅行執行役員東日本営業本部長の5人で鏡開きを行い、来店客と通行人に地酒を振る舞った。
新潟県観光協会の吉川常務理事は「ネスパスには年間100万人以上の方が訪れている。ひとりでも多くの人に新潟県に来てもらおうと、旅行商品を販売することとなった。新潟へぜひお越しください」とあいさつした。
オープニングイベントは6日まで行われ、来店者に県旅館組合女将による抹茶と菓子のサービスを行った。
りんどう湖にジップライン登場
ジップラインの完成イメージ
栃木県那須町のりんどう湖ファミリー牧場に新しいアトラクション「ジップライン」(仮称)が登場する。来月17日にオープン予定。湖上にわたしたワイヤーに吊り下がって空中を滑空できる。日本国内で最長の片道220メートル、湖を横切るのは世界初だという。
自然と調和した園内の景色を眺めながら空中滑空できる。往復440メートルの利用料金は800円(予定)。利用者の体重は25〜95キロが条件。
ジップラインがオープンする来月17日からは、夏のイベントも始まる。ヒーローショーや宝探し、花火大会(8月7〜22日)が開かれる。
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