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地域観光 ■第2568号《2010年7月3日(土)発行》  

福島県の宿泊費還元キャンペーン、リカちゃんがPR役
リカちゃん、福島県の応援に一役

 福島県の官民が参加する観光振興団体「うつくしま観光プロモーション推進機構」(菅野豊会長)は6月19日から、平日の宿泊需要を喚起しようと、福島県内への宿泊者に向けたキャッシュバックキャンペーンを始めた。福島県にゆかりある着せ替え人形のキャラクター「リカちゃん」をキャンペーンクルーに起用し、リカちゃんをあしらった専用車で県内外各地を回るなど、告知にも注力。キャンペーンの浸透と宿泊利用の拡大を目指す。

 キャッシュバックキャンペーンは、参加旅館・ホテルの平日限定1万円以上の宿泊プランを2人以上で予約した人が対象。専用インターネットサイト(http://fukupass.jp/)からダウンロードできるチラシ「ふくぱす」をチェックイン時に提示することで、1グループもしくは車1台につき2千円をキャッシュバックする。対象宿泊施設は38軒。ふくぱすは、携帯サイトでも提供するほか、同県内や隣県にあるガソリンスタンドや道の駅でも配布する。キャッシュバック以外にも、ふくぱすを提示することで県内でのイベントやご当地グルメなどを楽しめるような特典も用意する予定だ。

 同機構は昨年度、高速道路料金1千円施策に合わせ、ふくぱすを飲食店や宿泊施設、観光施設などで特典を受けられるサービスパスポートとして発行し、約2万件ダウンロードの実績を挙げた。しかし「平日需要の喚起が一番の課題」(同機構)として、今年度は平日限定のキャンペーンとした。

 ふくぱすのPR活動にリカちゃんを採用したのは、リカちゃん人形で知られる玩具メーカー「タカラ」の創業者が福島県出身であることから。大きくリカちゃんをデザインした車「ふくぱす号」に移動案内所の機能を持たせ、ふくぱすをPRするほか、県内外の道の駅や高速道路のサービスエリアなどで観光パンフレットの提供や観光案内をする。

 ふくぱすの有効期限は来年3月31日まで。目標ダウンロード数は2万件。



高知県、8月に東京にアンテナショップ開設
 高知県が出店準備を進めていた東京のアンテナショップが8月21日、中央区銀座1丁目にオープンする。名称は公募で決まった「まるごと高知」で、初の県直営店舗となる。NHK大河ドラマ「龍馬伝」の追い風を受け、年間売り上げ4億800万円、年間来館者100万人を目標に掲げている。

 総工費は1億6千万円。運営は官民で組織する「県地産外商公社」が手がける。「高知の『ヒト、モノ、コト』が首都圏の人々と出会い、ハーモニーを奏でる場」を基本テーマとして、「女性にとってのお気に入りの居場所を目指す」と同公社。

 場所はJR有楽町駅近くにあるリープレックス銀座タワー内。1〜2階と地下1階を使用し、フロア面積は計約480平方メートル。

 1階は特産品を集めた物産フロアで、女性客を意識し、スイーツやアイスクリームなども販売する。

 地下1階では県内市町村の観光パンフレットを置くとともに、ツアーデスクを設置し、観光相談にも応じる。旅行会社名は明らかにしていない。また、龍馬グッズや県立牧野植物園のミュージアムグッズなど、従来県内でしか手に入らなかった商品も取りそろえる予定だ。

 2階はレストランで、「土佐料理を基本に、県の食材を使い、和洋にとらわれない新土佐料理を提供したい」という。

 名称は一般から広く募集。4700件を超える応募の中から「高知のおいしいものを全部持ってきた」という意味を込めて決めた。

 まるごと高知は観光などの情報発信拠点となる一方、地元産業の底上げを狙い、都内デパートや飲食店などに対する外商活動の拠点ともなる。このため、専属のスタッフも常駐する。

 県の東京でのアンテナショップは築地(高知マーケット)と吉祥寺(高知屋)にあるが、運営は民間に委託しており、県は直接運営に関与していなかったが、今回、初めて運営に乗り出すことにした。



奈良県、韓国人客取り込み強化
飛鳥寺を見学

 宿泊を伴うインバウンド観光客を増やそうと、奈良県は6月26日、韓国人旅行客を取り扱うランドオペレーターを対象にファムトリップを実施した。大阪に事務所を持つ光ツアー、阪神観光開発、日本予約センター、エニメイト・ジャパン・ドレイスの4社から5人が参加。韓国とゆかりの深い明日香村などを紹介した。

 ファムトリップとは、海外の有力なバイヤーなどを招待して、現地を視察してもらい、誘客につなげる手法。韓国旅行会社からの依頼に応じ、ホテル、食事、バスなどの実際の手配を行うランドオペレーターに現地を見てもらうことで今後の集客につなげる考えだ。

 明日香村では、観光スポットや宿泊施設を視察するだけでなく、大型バス、中型バスが通行する場合の導線や駐車場の確認なども行った。

 飛鳥寺では、副住職が「韓国から渡ってきた文化で明日香村が栄えた」と説明。明日香民俗資料館では餅つきを体験した。県立万葉文化館に関しては「教育旅行に適している」と好評。石舞台古墳も訪れた。

 宿泊施設は、韓国人観光客の受け入れ態勢が整っている「橿原ロイヤルホテル」と「奈良プラザホテル」の2軒を視察した。

 今回参加した4社のインバウンド実績は、光ツアー(年間取扱人数3万人、奈良県内宿泊人数500人)、阪神観光開発(同1万人、同300人)、日本予約センター(同非公開、同100人)、エニメイト・ジャパン・ドレイス(同5千人、同100人)。



産業観光推進へ、米子、川崎両市が協定
協定書を交換する宇田川副会長(右)と斎藤会長(左)

 鳥取県の米子市観光協会(杵村善久会長)と神奈川県の川崎市観光協会連合会(斎藤文夫会長)は6月25日、産業観光推進についての協定を結んだ。両市はそれぞれ、地元にある産業施設の見学などを取り入れた観光の振興発展に取り組んでおり、協定を結び交流や意見交換を活発化させることで、産業観光の充実を図りたい考えだ。

 協定では、(1)重点事業である産業観光の推進に努める(2)産業観光を通じて相互協力を図り、地域活性化に努める(3)両市の産業施設への研修を行い、今後の取り組みに生かす──ことを確認した。

 川崎市内で行った協定の締結式には、米子市側から、宇田川英二・観光協会副会長(皆生つるや社長)、山本茂樹・米子市経済部長が、川崎市側からは、斎藤連合会会長のほか、埜瀬武・川崎商工会議所専務理事、原田津一・経済労働局産業振興部長らが出席。「距離は離れているが、互いの産業観光のノウハウなどを市民が持ち寄ることで、よい取り組みができれば」(斎藤会長)、「われわれも産業観光に取り組んでいるが、京浜工業地帯と観光の結び付きには驚き、活力をもらった」(宇田川副会長)などと話し、今後の活発な相互交流と連携への意欲を示した。



夏の東北トレイン、都内を快走

 東北観光推進機構は6月21日から、JR東日本の協力を受け、東北の夏祭りや自然景観を車体にデザインしたラッピングトレイン「夏の東北トレイン」によるPRを始めた。夏の行楽シーズンを控え、首都圏在住者の東北旅行のきっかけづくりを図る取り組み。

 運行されるラッピングトレイン2編成には、東北6県と新潟県それぞれを代表する景勝地と夏の祭りをあしらった=写真。今年12月に予定される東北新幹線全線開業と来年の新型新幹線「はやぶさ」の運行開始の告知も掲出した。

 夏の東北トレインの取り組みは今年で3回目。首都圏在住者に東北の夏の魅力を訴えるのが目的だが、同機構によると仕事などで上京してきた東北在住者からの「東北が首都圏で積極的に観光振興に取り組んでいることを知るきっかけになった」などの反響もあるという。

 運行は18日まで。



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