宮崎県が7月27日、口蹄疫に対する非常事態宣言を全面的に解除したことを受け、観光復興への支援に向けた動きが観光業界で始まった。解除を見据えた7月21〜22日には、全国旅行業協会(ANTA、会長=二階俊博・衆院議員)とその事務受託会社、全旅(池田孝昭社長)の訪問団約70人が宮崎入りし、旅行会社を通じた全国からの送客による宮崎支援を表明した。大手旅行会社や航空会社なども宮崎を応援する送客キャンペーンをスタートさせた。
ANTAと全旅は、二階会長、池田社長をはじめ幹部や支部長、営業所長クラスが現地入り。7月21日に地元の観光関係者らを交えた会合を宮崎市の県自治会館で開き、宮崎への送客に努力すると表明した。両団体の幹部らは宮崎県庁も訪れ、東国原英夫知事と会談。宮崎の観光復興に協力する意思を伝えたほか、県に両団体からの寄付金50万円を贈った。
会合でANTAの二階会長は「宮崎県の皆さまは口蹄疫に直面し、大変な苦労をされていると思う。こういう時こそ、旅行業界が専門分野でのパワーを生かし、観光の復興に全力を尽くさなければならない。宮崎を元気にし、以前よりも宮崎観光が前進したと言われるようにがんばろう」と呼びかけた。
さらに二階会長は、運輸相・北海道開発庁長官の在任中に取り組んだ北海道の有珠山噴火(2000年)に対する観光復興の成功事例などを紹介した。宮崎県に対しても官民を挙げた支援が必要だとし、党派を超えた国の支援施策の推進、日本旅行業協会と連携した支援などに意欲を示した。
全旅の池田社長も同日、宮崎市の青島グランドホテルで開いた営業所長会議で、各地の営業所長らに「宮崎での会合開催は緊急の提案だったにもかかわらず、奉仕の精神で全国から宮崎に集まってもらった。いろいろな知恵をお借りしながら、宮崎の復興に努力したい」と語った。
また、「地旅」のブランドで着地型旅行の流通を促進している全旅では、宮崎県旅行業協同組合が復興に向けて造成した宮崎県内を巡る9種の着地型観光コースの販売を後押しする。全国のANTA会員の旅行会社に対して情報提供などに努め、送客拡大につなげたい考えだ。
口蹄疫の発生に対してANTAは、6月22日の通常総会で、宮崎県を支援する決議を採択していた。「がんばんないよ(宮崎の方言で『がんばれ』の意味) 宮崎」を合言葉にしたポスターを全旅と共同で作成。5600会員の店頭などに貼り出してもらい、宮崎県への送客を強化するキャンペーンを展開している。
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宮崎観光を支援する動きは、他の旅行団体や旅行会社、航空会社にも広がっている。
日本旅行業協会(JATA)は7月21日、国内旅行委員会に参加する旅行会社20社に対し、「がんばれ宮崎キャンペーン」の名称でJATAとして誘客事業を実施する考えを伝えた。具体的な内容は今後決めるが、各社が統一の名称を使用し、業界一丸で消費者へのアピールを展開する予定。
JTBグループは7月27日、宮崎応援キャンペーンを開始すると発表した。エースJTB「元気です 太陽の国 宮崎」(首都圏、中部、関西、九州発着)を同28日から順次発売し、送客を拡大するほか、るるぶトラベル、るるぶトラベルツアーでは宮崎県内への宿泊客に対し、支払い代金に換算できるポイントを通常の3倍付ける特典などの提供を始めた。
日本航空(JAL)グループも7月27日、ホームページに「がんばろう宮崎応援サイト」を開設した。宮崎の観光情報を掲載し、順次、応援企画を展開していく予定。10月からは宮崎線の搭乗客に抽選で宮崎県の特産品を贈るキャンペーンも計画している。