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地域観光 ■第2581号《2010年10月9日(土)発行》
山陰海岸、世界ジオパークに認定
山陰海岸ジオパーク内の鳥取砂丘
世界的に貴重な地質や地形を持ち、考古学的な見地や文化的観点などからの価値も持つ自然公園「世界ジオパーク」に、京都、兵庫、鳥取の3府県にまたがる「山陰海岸ジオパーク」が選定された。国内では4カ所目。ジオパークは、地質遺産を観光の対象とする「ジオツーリズム」を通じた地域社会の活性化も重要な活動の1つされることから、今後ジオツーリズムの普及、促進の拠点として、活動の活発化と、地域活性化が期待される。
世界ジオパークは、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の支援を受け04年に設立した世界ジオパークネットワーク(GGN)が推進、認定している。ヨーロピアンジオパーク会議(1〜5日開催、ギリシャ・レスボス島)の会期中、3日に行われたGGN会議で、山陰海岸ジオパークを含む11地域の加盟が承認され、世界25カ国77地域の加盟となった。
認定を受けた山陰海岸ジオパークは、山陰海岸国立公園を中核とした、京都府京丹後市・経ヶ岬から鳥取県鳥取市・白兎海岸までの地域。2500万年前の日本海形成にかかわる火成岩類や地層、地殻変動によるリアス式海岸や鳥取砂丘などさまざまな地質や地形が存在し、観察できる。
同地域ではGGN加盟に向けた取り組みを進めようと、07年に関連自治体や観光団体などが推進協議会を設立。08年12月に日本ジオパーク委員会(JGC)から「日本ジオパーク」として認定を受け、特有の地質や地形に加え、根付いた文化や歴史を体験、学習できるよう、モデルルートの設定や学習エリアの設定などを行うなど、ジオツーリズムを通じた地質遺産の保全や地域活性化に取り組んできた。
GGNへの加盟を受け、山陰海岸ジオパーク推進協議会の中貝宗治会長(兵庫県豊岡市長)は、「山陰海岸ジオパークとしての連携を深め、世界ジオパークの名に恥じない質の高いジオパーク活動を推進していきたい」とコメントした。
ジオパークとして活動するには第一に、地質遺産を活用した教育、普及、ジオツーリズム活動を行う態勢の整備と、日本ジオパークネットワーク(JGN)へのオブザーバー参加が求められる。さらに活動を推進するための地域協議会の立ち上げや、ユネスコのガイドラインに基づき活動が一定水準に達しているかの審査のクリアにより、JGNへの会員としての加盟と、「ジオパーク」の名称の使用が認められる。加えて、世界ジオパークとして認定を受けGGNに加盟するには、日本ジオパーク委員会(JGC)による推薦を受け、GGNの審査を受ける必要がある。
日本国内では昨年8月に洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島の各ジオパークが初めて世界ジオパークとして認定。このほか7地域が日本ジオパークとして活動する。このうち室戸ジオパークは、来年、GGN加盟への審査を来年受けることとなっている。
鳥取県、09年の観光客は7%増
鳥取県の09年の観光入込客数は、前年比6.8%増の982万3千人だった。「『世界砂像フェスティバル』などの大型集客イベントの実施が奏功した」と同県観光政策課。特に入込客数の半数を占める県内観光客数が前年に比べ2ケタの伸びとなったことが、全体の入込客数を押し上げた。関東、中部地方からの旅行客も2ケタ増と好調だった。
観光客のうち、宿泊客は同10.7%増の280万6千人、日帰り観光客は同5.3%増の701万7千人で、いずれも増加。推計観光消費額は、入込客数の増加や日帰り客の観光消費額単価が増加したことなどから、同6.7%増の1009億6千万円。
県内県外別の旅行客の動向では、県内客は宿泊客が同24.4%減の14万9千人だった一方で、日帰り客は同15.6%増の520万5千人と2ケタ増。県外客は関東など遠方からの観光客が増加した一方で日帰り圏内である中国地方からの観光客が減少したことなどから、日帰り客が同16.1%減の181万2千人、宿泊客が同13.7%増の265万7千人だった。
入湯税に基づく各温泉地の入湯客数は、前年比3.1%減の109万7千人。鳥取温泉が同2.3%増、吉岡温泉が同5.7%増と伸びたものの、三朝温泉、はわい温泉などは減少した。
地域別の入込客数は、世界砂像フェスティバルや「砂の美術館」「日本のまつり」などのイベントがあった「鳥取砂丘・いなば温泉郷周辺」が同7.5%増の278万6千人、日帰り入浴客が増加した「米子・皆生温泉周辺」が同14.8%増の139万7千人などと伸ばしたほか、ほとんどの地域で前年を上回った。
岐阜県、エコツアーにEV導入
岐阜県は10月28日、高山市と連携し、電気自動車(EV)を活用した着地型旅行商品のモニターツアーを乗鞍山麓五色ケ原の森で開催する。2種旅行業者を持つ高山グリーンホテルに委託して実施する。
同県では、訪れる人にも、地球にも優しい新たな環境配慮型の旅スタイルとして「ぎふ ウェルネス・ツーリズム」を推進している。また、同ツアーを通じて、EVの充電インフラの整備の検討など、観光分野でのEV普及促進を図り、環境と調和した新たな旅のスタイル確立を目指す。
ツアー内容は朝、高山グリーンホテルを出発。EV(1組に1台)を運転し、飛騨大鍾乳洞駐車場まで移動。マイクロバスに乗り換え、ガイドといっしょに乗鞍山麓五色ケ原の森を歩く。乗鞍山麓五色ケ原の森は、エコツアーの先端事例として、今年「岐阜の宝もの」にも認定されている。歩く距離は2.9キロ、所要時間は3時間半程度。
参加費は1人7800円。代金に含まれるのは、EVレンタカー代金、マイクロバス代金、入山ガイド料(参加者10人につきガイド1人)、弁当(お茶付き)、保険料。前泊付きプランは別途宿泊料が必要。
募集人数は6組20人で、1組1〜4人、最小催行人員8人。同ツアーの感想などアンケートへの協力が参加条件となる。同ツアーに先駆けて、10月7日には、旅行会社向けに実証実験ツアーを実施する。
詳しくは、高山グリーンホテルツアー事業部(TEL0577・33・5501)。
熊本、大阪で観光キャンペーン
熊本県とJR西日本は1日、JR大阪駅とホテルグランヴィア大阪などで熊本観光をPRする「くまもとサプライズザンス観光キャンペーン」キックオフイベントを開催した。JR大阪駅会場では、キャンペーンキャラクターで同県の宣伝部長も務めるタレントのスザンヌさんが登場。県内のミスや女将さんらと一緒に買い物客にパンフレットなどを配布し、会場は大盛況となった=写真。
スザンヌさんが熊本のPRソング「ダイスキくまもとファイヤー」を披露。バックダンサーとして、スザンヌさんのお母さん、キャサリンさんや妹のマーガリンさん、ミス、女将さんらが一緒に歌に合わせて踊った。
また、同県からは蒲島郁夫知事、JR西日本からは佐々木隆之社長が参加し、九州新幹線の全線開業で、新大阪から熊本までは約3時間で結ばれることや、JR西日本キャンペーンのポイントなどについて旅行業者にアピールした。
ホテルグランヴィア大阪では、旅行業者を対象に観光説明会と熊本の食材を紹介する素材体験が実施された。
信州DCがスタート
上野駅の新幹線ホームで長野行きの団体臨時列車を見送るDC関係者(1日)
信州キャンペーン実行委員会とJRグループによる「信州デスティネーションキャンペーン」(信州DC)が1日始まった。「未知を歩こう。信州」をテーマに、12月末までの間、さまざまなイベントが実施される。同日、JR上野駅で行われたオープニングセレモニーには溝畑宏観光庁長官や舩山龍二日本ツーリズム産業団体連合会会長も出席、地元関係者らとともに、DCの成功を期待した。
長野県でのDC開催は12年ぶり4回目。広域的な観光振興と交流人口の拡大を図るため、新潟県妙高市・十日町市・津南町と岐阜県中津川市もエリアに加えた。
「未知」「歩く」「食」「おもてなし」──をアピールし、期間中、観光客数は1700万人以上(前年同期比10%増以上)、観光消費額で640億円以上(同)を目標に掲げた。
「歩く」については、シニア層や女性の健康志向を踏まえ、自然の中の歩きやまちなか歩きなどを提案。「ウォーキングラリーの対象イベントは150以上」と実行委。
また、インバウンドにも取り組んでいる。JR東日本がDCに合わせて発売する「イーストパス・スペシャル」を利用して来る外国人観光客には「ザガット英語版」を成田空港のJR東日本外国人旅行センターでプレゼントする。
ハイブリッドシステムを搭載した新型リゾートトレイン「リゾートビューふるさと」(全車指定席)も注目を集めそうだ。DC期間中は長野駅から松本駅を経由して大糸線(松本駅〜南小谷駅間)で運転される。指定席券は大人510円、子供250円。
オープニングセレモニーであいさつした石司次男JR東日本副社長は、「DCを契機に信州の魅力を日本、世界に発信して、地域活性化に全社挙げて取り組んでいく」と強調。溝畑長官は「(DCテーマである)『歩く』ということを通じて、日本の観光に新しい大きな風が吹くことを期待している」、舩山会長は「旅行の印象(善し悪し)は人、おもてなしの印象で決まる。観光客に信州が好きだと思ってもらえれば大成功だ」と述べた。
セレモニー終了後には出席者らが「未知なる道の宝庫 信州へいってらっしゃい」と書かれた横断幕を手に持ち、新幹線ホームで10時10分発長野行き団体臨時列車の出発を見送った。
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