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トラベル ■第2581号《2010年10月9日(土)発行》
トラベランド分割、地域会社が承継 JTB
JTBは、オンライン販売が拡大するなかで、利用客の高い支持を得られるよう店舗ネットワークを改編する。来年4月1日を目途に、全国展開のJTBトラベランドを会社分割し、JTBの地域事業会社に事業を承継。トラベランド型の「小規模利便性重視型店舗」をビジネスモデルの中軸に置くとともに、地元との結び付きを従来以上に強める。
トラベランドの持つ415店をJTB北海道からJTB九州までの8地域事業会社に振り分ける。その地域の経済状況や利用客の商品の好みなどに合わせて店舗を対応させていく。
マーケットが重複する店舗については各地域事業会社が判断し、整理するが、「今回の改編の趣旨は店舗ネットワークを減らすことではない」とJTB。また、「人員の整理は考えていない」という。
JTBは293店舗を抱えるが、その店舗は最低レベルで45〜50坪に要員十数人。対して、ショッピングセンターを中心にしたインショップ型のトラベランド店は平均で20坪、要員6.5人と小規模。バックヤードが集約され、要員は基本的に販売に専念できるため、JTB店よりも利益を上げやすいという。小規模ゆえにスクラップ・アンド・ビルドも容易で、「マーケットへの正対」を経営戦略とするJTBにとって、変化の激しいマーケットに即応できる店舗形態だ。
一方、首都圏などマーケット集中地域では高品質旅行やウェディングなどを扱う専門店の展開も進める。県庁所在地や地方中核都市の店舗には、各地域事業会社が目指すDMC(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)の拠点としての機能も持たせたい考えだ。
個人旅行事業と併せて法人旅行事業の強化も進める。JTB首都圏が行っている1都3県での法人営業、官庁営業、教育旅行営業を、東京、千葉、神奈川地区の扱いについてはJTB法人東京に、埼玉地区はJTB関東へ承継する。首都圏での法人営業をJTB法人東京に集約することで、そのスキルやノウハウの高度化を図り、地域交流ビジネス、MICE事業、セールスプロモーション事業などの取り組みを拡大する。
日旅、歴史プロジェクトチーム結成
日本旅行はこのほど、歴史に詳しい社員を集めた「歴史プロジェクトチーム」を結成、同チームが企画した商品の第1弾として、「出雲縁結びの旅」「京都龍馬ゆかりの地を巡る旅」の2商品を発売した。
チームは今話題の「歴史&歴女ブーム」を背景に結成。同社と同社グループの社員で、歴史に関する専門知識を持ったり、歴史が好きなスタッフで構成した。今後、歴史に関心の高い顧客層に対し、ニーズを調査するとともに、従来にない商品提供を行うための活動を行うという。
チームが企画した第1弾商品は、パワースポットをテーマとした出雲への旅と、坂本龍馬をテーマとした京都への旅。
出雲は女性限定の旅で、出雲大社で参加者ひとりずつの名前を読み上げての縁結びの特別祈願や、日本屈指のパワースポットと言われる須佐神社の訪問、いずもまがたま伝承館でのパワーストーンの勾玉作り体験などを盛り込んだ。11月19日東京発1泊2日で、料金5万2800円など。
京都は特定非営利活動法人京都龍馬会の赤尾博章理事長が自ら龍馬ゆかりの地を案内。龍馬の墓参り、龍馬が滞在した伏見の観光などを盛り込んでいる。11月20日発で、東京発1泊2日が4万9800円。
JR西日本、熊野古道の魅力紹介
熊野古道では平安衣装を貸し出す
JR西日本は9月26〜27日、関西地区の報道関係者を対象に、和歌山県の世界文化遺産・熊野古道中辺路や熊野三山の現地取材会を実施した。
同社は10月3カ月間、「パワースポット熊野を学び、巡る旅 熊野古道キャンペーン」を南紀と熊野エリアで展開。キャンペーンではハイキングを楽しみながら熊野古道のメーンスポットを気軽に学び、体験することができる「アクセスバス・語り部付熊野古道号」に勝浦コースを初めて設定した。
取材会では、アクセスバスのコースを取材しながらキャンペーンのポイントを見て回った。
世界文化遺産の熊野古道は、近年のパワースポットブームやウォーキング、ハイキングブームで人気が高まっている。JR西日本では駅からアクセスバスを運行し、熊野古道や熊野三山、白浜、那智勝浦観光の足を確保した。
今回の行程では紀伊田辺駅からバスに乗車し、語り部の説明を聞きながら道の駅奥熊野古道へ。伏拝王子口バス停から、熊野古道を散策し熊野本宮大社、旧社地である大斎原を見学。次いでバスに乗車し、熊野速玉大社に移動。速玉大社では、全国に熊野信仰を伝えるために使われた「熊野絵解き」の説明を受けた。
夕方からはキャンペーンに合わせてオプショナルツアーとして実施される那智の滝のライトアップを見学。宿泊先は紀伊勝浦温泉のホテル中の島。
翌日は世界遺産登録の補陀洛山寺、熊野那智大社、青岸渡寺を取材。熊野古道大門坂では、平安衣装の貸し出しも行われており、観光客の人気も高まっている。
JR西日本はキャンペーンに合わせて発売する旅行商品について、片道1千円アップすると片道のグリーン車が利用できることも熱心にPRしていた。
主要12社8月実績
鉄道旅客協会が4日発表した主要旅行業12社の8月の旅行取扱額は、総取扱額が前年同月比6.2%増の3104億7630万円だった。内訳は、国内旅行が同1.8%減の1867億501万円、海外旅行は同20.9%増の1173億1402万円、外国人旅行が同39.2%増の52億9256万円。国内旅行のみ前年実績を下回った。
全社別の総取扱額は、12社中10社が前年超え。読売旅行、阪急交通社のみ前年を割り込んだ。
国内旅行は12社中4社が前年を上回った。日本通運が同59.4%増と好調。
海外旅行は、12社中、同8.0%減の阪急交通社を除く11社が前年を上回った。
外国人旅行は、取り扱い11社中9社が前年実績を超えた。
今年4月からの累計は、総取扱額が前年同期比8.9%増の1兆3273億7749万円だった。農協観光を除く11社が前年を上回った。このうち日本旅行、西鉄旅行、日本通運が2ケタの伸び。内訳は、国内旅行が同0.8%増の8086億6271万円、海外旅行が同25.5%増の4848億5437万円、外国人旅行が同23.6%増の256億8514万円。
国内旅行はJTB、日本旅行、日本通運、阪急交通社の4社が累計額で前年超え。海外旅行は全12社、外国人旅行は11社中8社が累計額で前年を上回っている。
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