民主党など与党の議員で構成する観光振興議員連盟(会長=川内博史衆議院議員、鹿児島県1区)は10月19日、衆議院第1議員会館で総会を開き、旅館業界の来年度税制改正要望のひとつ、「ホテル・旅館の建物に係る固定資産評価の見直し」について、実現に向けて結束することを確認した。
総会には約100人の国会議員と、全国旅館政治連盟(佐藤信幸理事長=全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長)の47都道府県支部長らが出席。旅館3団体からは、日本観光旅館連盟の近兼孝休会長、国際観光旅館連盟の笹本森雄副会長らが出席した。
議連の川内会長は「固定資産の評価の見直しは、国土交通省、観光庁、厚生労働省の大変なご努力で(両省の)平成23年度税制改正要望に取り上げていただいた。観光は成長戦略の大きな柱。しかし、政府は旅館・ホテルに対して十分な支援策を講じていない。この評価手法の見直しは、何としても年末の政府税調の文書に盛り込まねばならない」とあいさつ。
全国旅館政治連盟の佐藤理事長は「我々旅館業界は大変厳しい。平成2年に3万数千軒あった組合員が今は半減しており、売上もピーク時の半分。その中で固定資産税だけは変わらずほぼ同じだ。我々は各都道府県に戻り、先生方にお願いしてまいるので、ぜひ我々の現況を聞いていただき、見直しへ支援たまわりたい」と述べた。
関係省庁からは税制改正の進ちょく状況を報告。観光庁の溝畑宏長官は「固定資産税は総務省の専管事項。今、総務省と実務の協議をしているところだ。年末に向けて一歩でも前に進み、皆さまに納得いただけるよう全力を挙げて取り組む」と述べた。
要望では、固定資産税を算出する根拠となる旅館・ホテルの建物の評価額が建築後、何年経過しても下がらず、使用実態に即していないとして、見直しを訴えている。「経年減点補正率」の見直しで建物の評価を適正化するとしている。
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固定資産税は、建物の評価額に一定の税率を掛けて算出される。
評価額は、同じ建物を再び建てるのにかかる費用に、年月の経過による建物の劣化を考慮した「経年減点補正率」を掛けて算出される。ただ、旅館・ホテルの場合は顧客ニーズに合わせて施設のリニューアルをひんぱんに行うため、補正率を掛けても評価額が下がりにくい。
今回の要望では、この経年減点補正率の見直しを訴えている。
経年減点補正率は、建物の構造と建築後の経過年数により異なり、年数が経過するほど数値が低く(割引率が高く)なる。下限は0.2。
例えば、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造の場合、経年減点補正率が下限の0.2になるのは築後50年。今回の要望は、下限になるのを11年短縮し、築後39年にしようというもの。年とともに下がる経年減点補正率の下がるペースを従来より急にする。