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インバウンド ■第2588号《2010年12月4日(土)発行》
インバウンド商談会に国内370団体が出展
千葉・幕張メッセで開かれた商談会
訪日外国人旅行者の誘致拡大を目的にした最大規模の商談会「ビジット・ジャパントラベルマート」が11月25〜30日に開かれ、商談会(千葉県千葉市、幕張メッセ)と各地での視察ツアーが行われた。主催は観光庁、日本政府観光局(JNTO)。23の国・地域から海外の旅行会社の担当者ら約270人が参加。日本側は地方自治体や観光協会、旅館・ホテルら約370団体が商談会に出展し、日本観光の魅力を売り込んだ。事前に設定された個別商談は合計で7千回を超えた。
トラベルマートの参加者は開幕前の登録で、海外の旅行会社の担当者が272人、海外メディアが31人(15の国・地域)、日本側の出展者が371団体。予定された個別商談は7263回に及んでおり、09年商談会を上回るとみられる。
海外から参加した旅行会社の人数を国・地域別にみると、最多の中国が43人だったのをはじめ、上位は韓国が23人、タイが22人、台湾が21人、ロシアが18人、シンガポールが17人、カナダが13人、オーストラリアが13人などだった。
商談会に出展した日本側の団体数は、東京都から118団体、北海道から32団体、大阪府23団体、京都府17団体、千葉県14団体などが上位。参加単位は地方自治体や観光協会のほか、旅館・ホテル、観光施設、旅行会社など。
商談会は、11月25、26日の2日間にわたって開かれた。事前に時間をセットした予約制の個別商談を中心に、具体的なビジネスに踏み込んだ商談も行われた様子だった。
「大分県・ツーリズムおおいた」として出展した大分県企画振興部観光・地域振興局観光交流班の直山たかし氏は「すでに多くの旅行者に来てもらっている韓国はもとより、これからは中国が重要になる。中国での大分の温泉地、観光スポットの知名度はまだまだだが、商談の成果を誘致につなげたい」と語った。
地獄谷野猿公苑のニホンザルが「スノーモンキー」として欧米で人気となっている長野県山ノ内町からは、町インバウンド誘致推進協議会が初出展した。協議会メンバーの旅館、清風荘の大関松男専務は「オーストラリアなどのほか、ロシアとの商談もあった。ロシアはビザ(査証)の発給要件緩和などの問題はあるが、今後増えるかもしれない」と話していた。
インバウンドを重視する日本旅館なども独自に出展。旅館団体では、日本観光旅館連盟が参加し、会員施設を紹介する英文のリストを配布しながら、日本の旅館・ホテルの魅力をアピールした。
商談会は、観光庁や地方自治体が最重要市場に位置づける中国、韓国、台湾、香港をはじめとするアジアの旅行会社はもとより、地方自治体などがセールスで現地を訪れる機会が少ない欧米の旅行会社との商談の貴重な機会にもなっていた。
商談会に続く視察ツアーでは、東京から富士、箱根を経て関西に抜けるゴールデンルートに加え、今後、商品造成の拡大が期待される北海道南部、南九州、山陰、北東北などの11コースが設定され、11月27日から3泊4日で実施された。
中国人旅行者、9カ月ぶり減少
中国からの10月の訪日旅行者数は、前年同月比1.8%減の10万6千人となり、9カ月ぶりに減少に転じた。尖閣諸島沖の漁船衝突事件を受け、訪日旅行を控える動きが出たためだ。訪日旅行の申し込みは11月も低調に推移している模様。観光庁や日本政府観光局(JNTO)ではプロモーションを強化し、中国最大の旅行シーズンにあたる旧正月(春節)などに向け、需要を回復させたい考えだ。
JNTOが11月24日に発表した。中国からの訪日客数は1〜10月累計では前年同期比49.0%増の128万4千人と大幅に増加。今年2月から毎月、過去最高を記録し続けていたが、9月7日に発生した衝突事件の推移により10月は需要が落ち込んだ。
事件発生後も国慶節の休暇期間(10月1〜7日)までの観光旅行は、すでに旅行会社への申し込みが終わっていたことなどから、影響は限定的だったが、休暇明け以降、新規の申し込みが減少した。11月も需要は回復していないとみられる。
事件後の訪日旅行を巡っては、中国の一部の地方旅游局が9月下旬、現地旅行会社に訪日旅行の募集自粛を要請した。また、日本国内で中国人客の乗る観光バスの運行に妨害行為が起きたことで、中国国家旅游局から旅行者に注意喚起も出されていた。
中国市場の現状についてJNTOの平田真幸海外プロモーション部長は11月24日の記者発表会で、「現地旅行会社の募集広告は今では平常通りに出されているが、日本に旅行しづらい雰囲気があるのも事実だろう」と指摘した。
一方で、現地旅行会社などを対象とした観光庁のビジット・ジャパン事業などは着実に実施されている。「事件の影響は一過性の動きと捉え、特に旅行会社のツアー造成、販売の支援に力を入れている」(平田部長)。春節(2月3日)をはさんだ大型連休に向けて需要の回復を目指している。
10、11月には、中国の旅行会社を対象にした招請事業として、雪を観光資源とした商談会が日本国内で実施された。また、訪日旅行の不安払しょくに向けては、JNTOが9月29日と11月12日、理事長名の歓迎メッセージをウェブサイトやメールなどで一般、旅行会社、メディアなどに発信。中国最大の旅行博「CITM」(11月18〜21日、上海)では、日本ブースで官民を挙げて訪日旅行の魅力をPRした。
JNTOの間宮忠敏理事長は、記者発表会の中で「9カ月ぶりのマイナスは残念だが、長期的にみれば、中国が最も拡大が期待される市場であることにいささかの変わりはない」と述べ、年末や春節の訪日旅行促進に全力を上げる考えを示した。
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