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観光行政 ■第2589号《2010年12月11日(土)発行》  

日観協とTIJ、国交相に観光予算の確保を要望
観光関連予算の確保を強く要望(写真右から馬淵国交相、西田会長、舩山会長)

 日本観光協会の西田厚聡会長と日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の舩山龍二会長は2日、馬淵澄夫国土交通相に観光関連予算を確保するよう要望した。11月中旬に行われた事業仕分け第3弾(再仕分け)で同予算が大幅に削減されたことを受けたもの。観光が「新成長戦略」の柱の1つとして位置づけられたにもかかわらず大幅削減されたのは「政策方針としての一貫性という観点からも、理解に苦しむ」として、必要額の確保を強く求めた。

 両会長が国交相に会い要望書を手渡した。要望書は、事業仕分けで大幅削減の方向性が打ち出されたことに「非常に大きな驚きであり、極めて残念」と指摘。その上で、「一貫した方針の下、政策の実行と官民一体となった目標達成のため、観光関連予算として必要額を確保するよう強く要請する」とした。

 観光経済新聞などの取材に応じた西田会長は、「観光が新成長戦略の中に盛り込まれ『さあこれから』という期待が高まった時にこんな事態になった。(再仕分けに)がっかりした」と肩を落とす。舩山会長も「仕分けには失望した。とても黙ってはいられない」と強調。

 また、「産業立地がなかなか進まない中で、地域活性化策としてまず出てくるのが観光だ。地方も意気込んでおり、国の支援が必要だ」(西田会長)、「中国との問題もいろいろあるが、こういう時期だからこそ(海外との)交流を途絶えてはいけない。むしろ大いにやるべきであり、海外との宣伝予算を含め、削るのは問題だ。観光は最大の安全保障でもある」(舩山会長)と述べた。

 再仕分けでは主力事業のビジット・ジャパン事業が3割削減、観光圏整備補助事業に代わる観光地域づくりプラットフォーム支援事業が5割削減などを求められた。観光庁の来年度予算概算要求額は今年度当初予算比3%増の約130億円。再仕分けの結果が予算編成に反映されると、来年度の主力事業の予算は大幅に減少することになる。

 西田会長は「(事業)運営上の効率を高めるのは当たり前のこと」と仕分け作業に理解を示したものの「新成長戦略がなぜできたのかを理解して仕分けしてもらいたい」と指摘した。

 再仕分けについては、廃止や縮小と判定された事業を所管する官庁の一部の政務三役が、作業のあり方を公然と批判する姿も見られた。



休暇取得の分散化、「反対」が56%

 内閣府は2日、政府が導入を検討している休暇取得の分散化について国民に考えを聞いた特別世論調査の結果を発表した。具体案として提示されている全国を5地域ブロックに分けて春、秋の連休をずらして取得する分散化に対しては、反対が56.1%を占め、賛成が28.1%にとどまった。政府は国内観光の活性化に向けた導入を検討しているが、国民的な合意形成が課題となっている。

 10月21〜31日に全国の20歳以上の1953人から調査員による個別面接の方式で回答を得た。分散化の具体案については、一部の祝日を「記念日」にして分散させることや都道府県を5つの地域ブロックに割り振る設定案などを含めて制度概要を説明した上で考えを聞いた。

 分散化に対する反対意見は、「反対」29.7%と「どちらかといえば反対」26.4%を合わせて5割を超えた。賛成意見は「賛成」11.7%と「どちらかといえば賛成」16.4%を合わせて3割程度。「分からない」は15.8%だった。

 「反対」「どちらかといえば反対」の回答理由(複数選択式)では、上位が(1)家族・親類や知人と休みが合わなくなる54.2%(2)全国一斉に休みでないと、かえって休めなくなる44.3%(3)現行の制度に慣れている34.9%(4)経済活動に影響が出る29.6%(5)祝日が「休日ではない記念日」になることに抵抗がある26.0%──。

 「賛成」「どちらかといえば賛成」の回答理由では、上位が(1)高速道路・交通機関や観光地の混雑が緩和する72.3%(2)休みを取りやすくなる48.2%(3)経済活動が活性化する42.5%(4)宿泊施設の料金が低下する25.4%(5)新たに秋の大型連休ができる16.4%──。

 また、政府が検討している休暇取得の分散化の内容に対する認知度では、「内容は知っていた」35.1%、「内容は知らないが、取り組みがあることは知っていた」41.6%、「取り組みがあることも内容も知らなかった」20.8%だった。

 休暇取得の分散化は、政府が今年6月に閣議決定した新成長戦略にも検討の必要性が盛り込まれている。祝日法の改正を議論し、十分な周知、準備期間を設けた上で「早ければ2012年度中の実現を目指す」としている。



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