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トラベル ■第2589号《2010年12月11日(土)発行》
ANA楽パック、海外DPの取り扱い開始
岡武社長(左)と片野坂取締役
楽天と全日本空輸(ANA)はこのほど、06年7月に締結した国内ダイナミックパッケージ(DP)「ANA楽パック」について業務提携の範囲を拡大し、1日から楽天トラベルが運営する総合旅行サイト「楽天トラベル」で、楽天トラベルが扱う海外宿泊施設とANAの国際線航空券を組み合わせた海外DPの取り扱いを始めた。今後、国際線航空券と国内宿泊のDP商品の取り扱いも行う考え。DPの取り扱い範囲を広げることで、旅行市場の活性化と利用者の獲得を図りたい考えだ。
海外版のANA楽パックは、ANAが運航する、成田、羽田、中部、関西の各空港発の国際線週846便と、楽天トラベルが取り扱う約5万9千軒の海外の宿泊施設を自由に組み合わせて一括予約できるもの。7カ月前から予約できるうえ、座席指定ができるのが特徴。海外便に乗り継ぐための国内便も一緒に予約できる。着地はロンドン、パリ、ホノルル、上海など11都市。今後随時拡大する予定という。
フライトマイルの付与率については、一般的な旅行商品が50%のところ、海外版ANA楽パックの場合は70%に設定。国内線から乗り継ぎ利用については、国内線区間の付与率を100%とし、地方空港発、羽田経由の海外旅行需要の活性化を図った。
提携について1日会見した片野坂真哉・ANA取締役営業推進本部長は、「グローバルな会社である楽天と足並みをそろえ、消費者ニーズに合った便利なサイトに育てていきたい」と意欲を語った。取り扱い目標について岡武公士楽天トラベル社長は私見として、「5年以内にANAの国際線取扱額3千億円の5%、150億円」と述べた。
併せて訪日需要対策の面でも連携を強化。第1弾として両社の英語、中国語、韓国語サイトの相互リンクを始めた。今後国内のデスティネーションを外国人にPRするためのウェブコンテンツの充実なども図っていく予定。訪日需要向けの連携について岡武社長は、「海外DPを始めたことで、国際線航空券と国内宿泊を組み合わせた訪日客向けDP商品も可能となった」と話し、近い将来、訪日客向けDP商品の販売を手掛ける意向であることを明言した。
両社は06年4月に共同出資会社「楽天ANAトラベルオンライン」を設立し、10月から予約を開始。年内に累計利用者数が100万人を突破する見込み。今年度の取り扱い目標である200億円も達成可能としている。
年末年始、国内旅行は前年並み JTB調べ
JTBは、年末年始(12月23日〜1月3日、出発日基準)の宿泊旅行動向の見通しをまとめ2日に発表した。曜日並びから休みは短めで、国内旅行人数は2876万4千人と前年比で0.6%の微増にとどまると予測。クリスマスイブの24日を休めば12月23〜26日の4連休で、この間は高速道路のETC休日割引が適用されることもあって、旅行者が増えそうだ。
今回の年末年始の一般的な休みは、昨年同様12月31日〜1月3日の4日間と短い。同社のアンケートによると、出発日は12月30日(16.4%)が最も多く、2番目が31日(15.9%)。ETC休日割引が年始は元日から3日までの3日間しか適用されないため、帰着日は1月2、3日に集中すると見込まれ、元日から5日まで適用された今年の正月以上に帰着日の混雑が予想される。
「週末にクリスマスを迎えることもあり、都市やテーマパークの夜景やイルミネーションを楽しむ旅行者が増えそう」(JTB)。また、年末のピークを避けてゆっくりと温泉を満喫する家族連れの旅行者も多いと見込まれる。
方面での特徴を言えば、新青森まで開通の東北新幹線を利用した青森や函館をめぐる旅行が注目されている。大河ドラマによる龍馬人気は根強く、京都、高知、長崎は引き続き旅行者でにぎわう見込み。
海外旅行は短い休みの影響を受けるものの、昨年以来の円高基調もあり、羽田空港の国際化によって座席供給の増えるアジア方面や、ヨーロッパ方面を中心に増加が見込まれる。旅行人数は前年比3.4%増の58万2千人と予想している。
旅行平均費用は国内が1.6%減の3万1800円、海外が4.4%増の20万3千円の見込み。
ベストクルーズカップルに大和田伸也・五大路子夫妻
日本外航客船協会は「クルーズ・オブ・ザ・イヤー2010」(COY2010)のグランプリに、ミキ・ツーリストクルーズセンターとロイヤル・カリビアン・インターナショナルが企画、実施した「レジェンド・オブ・ザ・シーズで航く 上海・韓国周遊クルーズ」、ベストクルーズカップルに大和田伸也・五大路子夫妻を選んだ。
同協会と日本旅行業協会の会員会社を対象に募集したところ、19点のクルーズ旅行商品の応募、推薦があった。選考委員会でグランプリ1点、優秀賞、特別賞各2点とベストクルーズカップルを選定した。
レジェンド・オブ・ザ・シーズ(7万総トン)による日本発着クルーズは初めて。「2航海で日本人3200人が乗船するという、日本のクルーズ旅行史上に残るエポックメーキングなクルーズ」(同協会)が高く評価された。
優秀賞は読売旅行、農協観光、敦賀市、日本クルーズ客船の「ぱしふぃっくびいなす 人道の港クルーズ 利尻・礼文島チャータークルーズ5日間の旅」と阪急交通社、ANA、クルーズバーケーションによる「ANA利用『サファイア・プリンセス』で巡る メキシカンリビエラクルーズ11日間」が受賞。
利尻・礼文島クルーズは関西、中京、北陸エリアからの集客が見込める敦賀港の利用に着目。5日間という手ごろな日程で組み立て、地域の需要掘り起こしや地方港の活性化に貢献した。
ベストクルーズカップルに選ばれた大和田さんは敦賀、五大さんは横浜のいずれも港町出身。同協会は「正義感の強い大和田さんと女性としての一途さをイメージさせる五大さんはまさに本物が分かる大人のカップル。ぜひクルーズに乗っていただきたい夫婦だ」としている。
日旅、ペプトプロジェクトを開始
日本旅行は1日、スポーツ選手向けサプリメントの製造・販売やスポーツイベントの企画・運営を行うペプトワンニュートリション(本社・東京)と、プロのアスリートを交えたスポーツ交流イベントを通じて地域活性化に取り組むプロジェクト「ペプトプロジェクト」を発足した。第1弾イベントとして、千葉県鋸南町で元サッカー女子日本代表「なでしこJAPAN」と小中学生らのサッカー交流会を今月5日に開いた。
日本のスポーツ界ではプロのアスリートの競技生活引退後の進路が、また社会全体では都市圏外の地域活性化が大きな課題となっている。同プロジェクトは、この2つの社会問題を解決するために発足した。
今後、地方自治体に向けた地域振興コンサルティングを得意とする日本旅行がペプトワン社とともに、継続的に地域外から来訪者を呼び込めるイベント作りを手掛ける。イベントは今後、宮崎、沖縄などで予定。47都道府県での開催を目指す。
東北新幹線が38年目の全線開業
東北新幹線の未開業区間だった青森県の八戸〜新青森が4日、開業した。1972年に国が盛岡駅以北の基本計画を決めてから38年目での全線開業となった。JR新青森駅での新幹線出発式には、三村申吾・青森県知事のほか、馬淵澄夫・国交相や清野智・JR東日本社長らが出席。くす玉を割るなどして青森県民の悲願だった全線開業を祝ったほか、午前6時31分発の東京行きの一番列車「はやて12号」を笑顔で見送った。
東北新幹線の延伸は、02年の八戸開業以来8年ぶり。東京〜新青森をE2系はやてが1日15往復、最短3時間20分で結ぶ。
同区間では来年3月5日から新型車両E5系を使った「はやぶさ」が片道3時間10分を1日2往復することとなっており、13年にはE5系が最短3時間5分で同区間を結ぶ計画だ。
開業に合わせJR東日本は、リンゴ酒「シードル」の工房などを備えた複合商業施設「A—FACTORY」をJR青森駅そばに開業するなど地域活性化にも力を入れる。清野社長は「多くの人に青森に来てもらえるよう、地元と共に知恵を絞りたい」とあいさつした。
この日沿線各地の駅を中心に同県各地で新幹線を歓迎するイベントが開催され、物産市や「けいらん」などの郷土料理の振る舞い、郷土芸能による出迎えなどが行われた。
JR東京駅では、新幹線全線開業をPRするテレビCMに出演する俳優の三浦春馬さんやヒロイン役に抜擢された青森県在住の高校生、岸本麻依さんらが東京発の一番列車を見送った。
主要12社10月実績
鉄道旅客協会が1日に発表した主要旅行業12社の旅行販売概況は、総取扱額が前年同月比5.0%増の2957億4877万円だった。内訳は国内旅行が同0.8%増の1846億9872万円、海外旅行が同13.2%増の1023億7290万円、外国人旅行が同15.3%増の72億1556万円だった。
国内旅行は12社中5社が前年実績を上回ったものの、いずれも2ケタの伸びとはならなかった。
海外旅行は取り扱い12社中11社が前年超え。京王観光のみ前年割れに。
外国人旅行は取り扱い11社中7社が前年を上回った。7社中6社が2ケタの伸び。
今年4月からの累計は総取扱額が前年同期比6.0%増の1兆8967億503万円だった。内訳は国内旅行が同0.5%減の1兆1509億7664万円、海外旅行が同18.2%増の6960億5481万円、外国人旅行が同24.5%増の384億7801万円。
総取扱額の累計が前年同期を上回っているのは、農協観光、読売旅行を除く10社。このうち日本旅行(同10.5%増)、日本通運(同14.3%増)が2ケタの増加。国内旅行は、12社中、ジェイティービー(同0.8%増)、日本旅行(同2.1%増)、日本通運(同13.4%増)の3社のみ前年を上回っている。
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