全国の温泉、観光地の旅館・ホテル経営の指導に定評があるリョケン(静岡市、木村民男社長)は12月13、14の両日、群馬県磯部温泉の「舌切雀のお宿磯部ガーデン」で恒例の「旅館大学セミナー」(通算145回、今年度2回目)を、全国から約150人の旅館・ホテル経営者、幹部社員を集めて開いた。
同館は「舌切雀のお宿」から「温泉会議力」へ「地域に根ざした経営手法、そして時代を読み取る独自の戦略の考え方とは」をテーマに団体客の志向の変化を的確に捉えて経営。セミナーでは既存のホールに加えて、5つのコンベンションホールの完成に伴い、ビジネス需要に応えて「会議・集会・研修」に強い旅館として成長を続けている同ホテルのプロセスと現状を学んだ。
参加者は、厳しい時代をどう受け止めて、自社の商品に結び付けていくか、同館の事例に真剣に耳を傾けた。
1日目は木村社長のあいさつで開講。数班に別れて施設を見学、12の浴槽が楽しめる大浴場と露天風呂、ゆっくりとした雰囲気の中で食事を楽しめる料亭、新設されたコンベンションホールを見たが、参加者からは「非常に参考になる」との声がしきりだった。
磯部ガーデンの櫻井丘子社長は「磯部ガーデングループの経営戦略」と題して講演。櫻井社長は「知名度のなかった『磯部温泉』だが周囲の草津や伊香保温泉に対抗するためにいろいろな商品づくりに挑戦してきた。地域に根ざした経営手法は、バブル期の設備投資に加えて、それ以降も厳しい環境のなかでも何とか特化したものをつくろうと、さらに08年4月から『旅館のコンベンションなら磯部ガーデンにおまかせ』という考え方を実現してきた」という。
また、元気のいい会社の秘訣は「温泉で会議」にあるとして、既存のホールに加えて5つのコンベンションも完成させたとアピール。
社員も朝から昼、そして夜まで多目的ホールをいろいろな利用に切り換えるための“ドンデン返し”がなくなったし、平日に会議をする研修が増えた。
社員とともに「一体感で、なんとか成功させたい」という意気込みを語った。
また、「磯部ガーデングループの販売戦略」については、櫻井社長、櫻井太作副社長、高橋和之専務、小泉淳支配人がパネルディスカッションの中で、営業、販売戦略、団体客誘客活動と営業方針、日帰り客、下見客の対策、社員によるQC活動、姉妹館「磯部館」の販売方針と運営、磯部温泉の活性化を討論した。
2日目は、リョケンの桑原孝夫会長が、同社がまとめた11年度の「旅館の経営指針」を発表。「起“志回生の時代」と位置づけて、「危機的状況を克服し、一気に健全な状態に回復させるための指針としてほしい」と訴えた。