財団法人日本交通公社は12月22日、旅行マーケットを展望する「旅行動向シンポジウム」を都内で開いた。国内旅行需要は10年は上向いたものの一過性で、「楽観できる状況ではない」との見方を示した。11年は延べ宿泊数で横ばいか1%程度の微増と予測する。
観光文化事業部主任研究員の黒須宏志氏が同財団の調査や観光庁の「宿泊白書」などを元に市場を分析。黒須氏は「長い目で見ると宿泊旅行需要は長い下り坂の下にいる。10年はリバウンドでわずかに戻しただけ」と市場をとらえ、「これから登り調子で行くのではと期待をもっている人もいるが、楽観できる状況ではない」と語った。
マイナス要因として「レジャー性の旅行意欲が若干弱い」とする一方、プラス要因に「ビジネス性の需要は堅調」「団塊世代の潜在需要が徐々に出てくる」「シニアでは旅行日数が漸増の可能性」を挙げた。高速道路については割引や無料開放の効果はほぼ定着したとして、日帰り・休日シフトは小休止すると読む。
10年のインバウンドは前年比26.7%増となる860万人を推定。外国の日本への注目度が急上昇していることも追い風としてあり、11年は15.1%増加して990万人に達すると予測した。