温泉のまち、香川県琴平町をPRする第12回こんぴら温泉まつりが同町内で8日に始まった。こんぴら温泉郷では昨年夏、町が宿泊施設に無断で源泉の湯に加水していた問題が発覚し、一時は観光客数に影響したが、湯量確保の対策などを講じたことで客足は回復傾向にある。苦境を乗り越え、琴平町や香川県、観光事業者が改めて結束し、まつりを機にさらに観光客を呼び込もうとイベントなどで盛り上げている。期間は2月28日まで。
金刀比羅宮表参道沿いの酒造り資料館「金陵の郷」で行われた開幕式典には、浜田恵造・香川県知事が出席し、地域の関係者に激励の言葉を送った。地元選出の国会議員も駆けつけ、衆院議員の小川淳也氏、玉木雄一郎氏、大野功統氏(代理)、参院議員の植松恵美子氏らがあいさつ。全国の観光関連団体から届いた祝電も披露された。
まつりを主催する町観光協会の近兼孝休会長は「温泉加水問題では、悪事千里を走るということで全国に伝わり、宿泊客が一時減少してしまった。しかし、町と一緒に対策を講じるとともに、新しい温泉の掘削にも取り組んでいる。琴平町は歌舞伎のまち、神社仏閣のまち、温泉のまち。情報発信に努め、多くのお客さまに来てもらえるようにしたい」と述べた。
まつり期間中には、旅館・ホテルで使える湯めぐり手形を特別価格で販売。金陵の郷には、特産のニンニクを使ったご当地B級グルメなどを販売する「こんぴらぐるめ屋台村」、無料足湯「天狗の湯」を設置した。毎年4月に開催されるこんぴら歌舞伎大芝居も、旅館・ホテル、観光施設などに絵看板を展示してアピールしている。
また、今年のまつりでは、国の認定を受けた香川せとうちアート観光圏の事業を一緒に進めている小豆島温泉郷(香川県)との連携が実現。2つの温泉郷を巡る宿泊プランや湯めぐり手形を販売している。近兼会長は「小豆島などと広域で進めている観光圏整備事業により、県内に2泊してもらえる観光地づくり、商品づくりに取り組みたい」と語った。
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琴平町では温泉への加水問題を踏まえ、正確な情報提供のほか、町内に複数ある源泉を活用することで湯量の確保に努めている。
新しい温泉の掘削について、報道陣の取材に答えた琴平町の小野正人町長は「温泉の探査の準備を進めている。新しい温泉が湧出すれば、町としても大々的にPRしていきたい。湧出量が豊富な場合は、外湯施設の設置なども検討していきたい」と意欲を示した。