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観光行政 ■第2593号《2011年1月15日(土)発行》
観光庁予算、国内向けは増額
昨年末に決まった観光庁の2011年度予算案は、総額では事業仕分けを受けて2割減だが、国内で実施する各種事業については今年度当初予算比で1.6倍の約17億7千万円が計上された。外客誘致の宣伝費などの海外向け予算に比べて、国内向け予算の規模は大きくないが、地域活性化に向けた経済対策の狙いもあって増額された。地域での外客受け入れ態勢の整備や人材育成事業などが柱となっている。
観光庁予算の総額は20%減の101億4800万円。観光庁の石原大総務課企画官は「事業仕分けの結果を大きく受けたが、観光は新成長戦略の重要な柱であるとして、仕分け対象以外では必要な予算措置を財務当局から認められた。経済対策の観点から国内で実施する事業に予算を付けている」と説明する。
予算を海外、国内向けに分けた内訳は、海外向けが27%減の81億2600万円、国内向けが60%増の17億5800万円となる。総額に占める国内向け予算の割合は、今年度の8.7%から17.3%に上昇した。
国内向け予算で最も額が大きいのは、外客の受け入れ環境整備事業で今年度予算の3.5倍にあたる6億800万円。概算要求の2億5100万円を上回る額を計上した。外客3千万人時代を見据えて課題とされる受け入れ態勢の整備を促す。内訳は、外国語による地域の観光・交通案内の充実などを図る受け入れ環境水準向上事業に4億5千万円、医療観光の促進に向けた環境整備事業に6千万円、残りを通訳ガイドの研修事業などに充てる。
このうち受け入れ環境水準向上事業は、観光庁が今年度末までに策定する評価基準を使って地域の現状を把握した上で、自治体などの整備の取り組みを支援するもの。すでに外客の訪問が多く、早期の環境整備が必要な地域を「戦略拠点」、今後の訪問増加が期待されている地域を「地方拠点」に位置づけ、専門家の派遣などを含めて地域を支援する。
人材育成の関係事業も、総額で今年度当初予算の4倍の2億2100万円に増やした。着地型観光の推進役が期待される地域の事業体「観光地域づくりプラットフォーム」などを担う人材の育成事業8千万円、観光学部などを持つ大学と連携したモデル講座の実施事業4300万円などが柱となっている。
広域型、滞在型の観光地づくりのための基礎調査事業として、今年度の約5倍、2億100万円を計上した。このうち4300万円を旅館街再生基盤づくり事業に使う。温泉地などの旅館街を形成する旅館・ホテルの経営実態や宿泊客の動向を調査し、地域間で比較可能な分析などを通じて旅館街の再生策を探る。
この他にも観光統計の整備費に4億7500万円、休暇分散化の導入促進事業に8200万円が計上された。
一方で、事業仕分けで減額された予算は、3割削減を求められたビジット・ジャパン(訪日旅行促進)事業が今年度当初予算比30%減の60億5500万円。海外で実施するプロモーションの宣伝費が減らされた。「予算計上見送り」の判定を受けたMICE(国際会議など)の開催・誘致推進事業は予算が付かず、活用可能な他の事業などを通じて取り組むことになる。
国内で実施する事業でも、観光地域づくりプラットフォーム支援事業は、5割削減の仕分け判定を踏まえ、前年度の観光圏整備補助事業に比べて50%減の2億7100万円にとどまった。
観光庁、無線LANの整備促進
観光庁は、外客受け入れ態勢整備の一環として、公共の場でインターネットへの無料接続ができる無線LANの整備を民間事業者や自治体に働きかけている。具体的な目標として、2011年中に外国人向け観光案内所100カ所程度への導入を掲げた。
公衆無線LANが普及すると、外国人は持参のノートパソコンやスマートフォン(多機能携帯電話)などを通じてネット上の観光情報を簡単に入手できる。利用環境を向上させ、旅行のしやすさの1つとして海外にアピールしたい考え。
民間事業者や自治体などが運営する外国人向け観光案内所(日本政府観光局が指定するV案内所)は現在全国に304カ所があるが、まずは100カ所程度への普及を目指す。空港や旅客船ターミナルの利用環境もさらに向上させる。
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