宿泊予約サイト「じゃらんnet」の新ポイントプログラム導入をめぐる宿泊業界と運営会社リクルートの意見の溝が埋まらない。実質的な手数料値上げとして再考を求める宿泊5団体や箱根温泉旅館協同組合(神奈川県)の申し入れに対し、リクルートは昨年末、当初の予定通り4月から実施する旨を回答した。宿泊業界側は、受け入れられないとして対応策を模索している。
国際観光旅館連盟、日本観光旅館連盟、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟の5団体が昨年12月に提出した要望書に対し、リクルートは当初の予定通りに導入すると回答。送客支援に投資することなどを説明し理解を求めた。箱根温泉旅組に対しても、旅組側が再考を求めた約款の変更に応じないことを含めて同様の方針を伝えた。
回答を受けて宿泊5団体は今後の対応を協議中。「新たな負担を宿側が負うことは受け入れがたい」(国観連)として打開策を模索している。また、全旅連は都道府県組合を通じて全会員を対象にじゃらんnetの問題に対する意向を聞くアンケート調査を実施している。
箱根温泉旅組は、12月24日付けで報道機関向けの文書を出し、リクルートの回答について「要請した事柄はほぼすべて拒絶された。信頼すべきパートナーシップを見出すことは困難」との見解を示した。今後の対応は宿泊団体の動きなどを踏まえて検討する考えだ。
かみ合わない議論に宿泊施設の間には、「ビジネスパートナーとして今後もやっていけるのか、真剣に考えざるを得ない」などの声も出ている。宿泊団体の未加盟施設、チェーン展開するホテル・旅館グループを含め、今後の動きをみて判断しようと、契約の同意手続きを保留している施設も多いようだ。宿泊業界には「全国のホテル・旅館がもっと声を上げるべきだ」などの指摘もある。
宿泊予約サイトが流通上の存在感を増し、ポイントサービスが顧客の囲い込みなどに不可欠なツールとなる中、参画事業者と運営事業者間のポイント分の費用負担をめぐる問題は、他の宿泊予約サイトの動きを含め引き続き議論を呼びそうだ。
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