日本政策金融公庫は1月20日、四半期ごとに行っている全国中小企業動向調査の昨年10〜12月期分を公表した。従業者20人未満(飲食店・宿泊業などは10人未満)の小企業編では、同期の業況判断DIが前回調査から上昇し、7期連続で上昇したが、来期は低下の見通し。原則従業員20人以上の中小企業編では、業況判断DIが小幅ながら減少で、先行きも減少の見通し。公庫では、小企業の基調判断を「持ち直しの動きが続いているものの、先行き懸念が強まっている」、中小企業の基調判断を「足踏み状態となっている」とした。
小企業編は昨年12月上・中旬に同公庫取引先1万企業に実施。6647企業から回答を得た。
同期の業況判断DI(「良い」とする企業割合から「悪い」とする企業割合を引いた値)はマイナス42.1で、前回調査(昨年7〜9月期)のマイナス43.9から1.8ポイント上昇。7期連続の上昇となった。
ただ、来期(今年1〜3月期)は今期から14.3ポイント低下してマイナス56.4となる見通し。低下幅はバブル崩壊直後の1991年10〜12月期での来期見通し(16.0ポイント低下)に次いで2番目に大きい。
業況判断DIを業種別にみると、飲食店・宿泊業、サービス業の2業種が低下、その他6業種は上昇した。飲食店・宿泊業はマイナス57.3で、前期から7.5ポイント低下。サービス業はマイナス46.1で、同2.6ポイント低下。運輸業はマイナス33.3で、同12.2ポイント上昇した。各種政策に関連した業種で着目すると、エコカー補助金に関連した業種で低下する一方、家電エコポイント制度、住宅エコポイント制度に関連した業種で上昇した。
来期はすべての業種で低下する見通し。このうち飲食店・宿泊業はマイナス66.0で、今期から8.7ポイント低下の見通し。
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中小企業編は昨年12月中・下旬に同公庫取引先1万2867社に実施。5627社から回答を得た。
同期の業況判断DI(前年同期比で「好転」とする企業割合から「悪化」とする企業割合を引いた値、季節調整値)はマイナス2.6で、前期のマイナス1.5から1.1ポイント、マイナス幅が拡大した。
先行き予想は、来期(今年1〜3月期)がマイナス7.5、今年4〜6月期がマイナス6.0で、ともに今期よりマイナス幅が拡大する見通し。
業種別の同期の業況判断DIは、飲食宿泊業が前期からマイナス幅が拡大。サービス業が同縮小した。来期は飲食宿泊業でマイナス幅が縮小、サービス業で同拡大する見込み。