和歌山県は、体験型観光を通じた修学旅行の誘致を進めている。8日、東京都内のホテルで開かれた旅行会社、学校向けの説明会には、仁坂吉伸知事が出席し、さらなる誘致に力を入れる考えを示した。自然や文化を生かした体験プログラム、民泊などを「ほんまもん体験」としてPRし、教育効果の高さなどを強調している。
仁坂知事は「地域の人々と交流し、自然や文化を体験することに旅の満足感がある。体験型の観光にさらに力を入れ、修学旅行の誘致に取り組みたい」と述べた。また、白浜町日置川と串本の両エリアが中心となっている民泊の受け入れ拡大にも意欲をみせた。
県の統計によると、体験型観光の受け入れ客数は約27万9千人(09年推計)。修学旅行の受け入れ校数は、05年度は1校だったが、年々増え、今年度が20校、来年度には21校を見込む。民泊は受け入れ校のうち約半数の日程に組み込まれている。
県を挙げたプロモーションの展開や受け入れ態勢の整備とともに、県内の各地域がそれぞれの特色を生かした体験プログラムの提供に取り組んでいる。
串本エリアでは、ラムサール条約の登録湿地となっている美しい海岸でのスノーケリング体験、串本海中公園での水族館の飼育体験などが人気。日置川エリアでは、紀州備長炭づくりの作業体験や藍染めの体験などを提供している。
那智勝浦エリアでは、世界遺産の熊野古道でのウォーキングをはじめ、オリジナルラベルで包装するマグロの缶詰づくり体験、イケスやプールでイルカと泳ぐ体験など。関西方面からの交通アクセスが良い日高川エリアも田舎暮らし体験を充実させている。
また、和歌山県では、観光と教育の担当部署の連携も重視。説明会では、県教育委員会の岸田正幸・学校教育局長が登壇し、「人や自然とかかわる体験が豊富な子どもほど、思いやりや人間関係能力が高い傾向がある。和歌山にはそれらの体験がそろっている」と体験活動の教育効果を強調。修学旅行を通じた学校間交流にも前向きな姿勢を示した。