DVDレンタル店やコンビニ、ガソリンスタンドなど異なる業種の店舗でポイントが貯まり、使えるTポイント。国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1182会員)は、会員旅館がTポイントを宿泊プランの直販に活用できるように「Tトラベル」への参加を支援することにした。年間利用料金の一部などを国観連が負担。大手宿泊予約サイトが相次ぎ手数料率を引き上げる中、販売手数料がかからないTポイントの活用を直販強化策の1つとして検討してもらう考えだ。
Tポイントは、DVDレンタル店のツタヤなどを展開しているカルチュア・コンビニエンス・クラブが管理運営するサービス。ポイントが付くTカードを持つ会員数は3650万人、ポイントを共有する提携先は69社115ブランド、約3万5千店舗に及ぶ。
Tトラベルは、Tポイントを活用した旅行関連サービスを提供。国観連は18日、Tトラベルのサイト運営、営業を支援している旅キャピタル(東京都港区)と提携したと発表した。会員旅館はTトラベルへの参加で、Tポイントの加盟店の権利を得ることができる。
旅館にとってTトラベル参加の最大の利点は、販売を依存することなく、直販の拡大に生かせること。直販する宿泊プランにTポイントを自由に設定できるようになり、例えば、平日限定のプランや特別なプランだけにポイントを付与することも可能。100円に対して1ポイントの付与率をキャンペーンなどに応じて2倍、3倍などにも変更できる。カード決済、現金払いどちらでもポイントを付与できる。
Tトラベルの宿泊予約サイトに宿泊プランを掲載することもできる。他の宿泊予約専業サイト(ネットエージェント)と異なり、サイト経由で送客を受けても販売手数料は発生しない。旅館の公式ホームページや電話番号も併せて掲載できるため、自館サイトなどへの誘導にも活用できる。
旅館が負担する費用は、年間利用料金などのほか、ポイント付与の実費。ポイント付与の実費は直販でも、Tトラベルサイト経由の販売でも生じるもので、例えば、宿泊料金1万円の利用者にポイント2%を付けた場合、2%分の200円とデータ通信料の1%分の100円、合わせて300円の負担となる。
国観連は3月31日までに参加を申し込む会員旅館に対して費用の一部を負担する。加盟料金は通常5万2500円が無料に、年間利用料金は15万1200円が12万6千円になる。別途、初期費用として端末導入に8万4千円がかかる。
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国観連がTポイントの活用を探る背景には、ポイントサービスをめぐる大手宿泊予約サイトの顧客の囲い込み競争の激化がある。ポイントプログラムの強化に向け、じゃらんnetと一休ドットコムは4月から実質的に手数料率を引き上げることを決めている。
多くの旅館は稼働率の低下、宿泊単価の低迷など、厳しい販売環境を強いられている。宿泊予約サイトや旅行会社に支払う手数料の負担感は増大しており、宿泊客の満足度の向上と併せ、直販比率のアップが経営課題となっている。
国観連の小関政男専務理事は「旅館の直販を支援したい。手数料負担の軽減に加え、新規客・リピート客獲得の選択肢の1つとしてTトラベルへの参加を検討してほしい」と話す。同時に、国観連は旅館の販売力を強化するため、客室流通の構造改善に向けた自主事業の具体化も進めたいとしている。