環境省は16日、東日本大震災に関連し、「温泉の採取にあたっての可燃性天然ガスの安全対策について」を東北や関東を中心とする都道県に通知した。温泉旅館・ホテル関係者も注意する必要がありそうだ。
通知は、温泉法に基づく温泉採取の許可を受けている温泉井戸について、温泉に付随する可燃性天然ガスによる災害が発生しないよう、温泉の採取における同ガスおよび安全対策の状況把握を求めた。
その上で、ガスの分離や換気の設備が停止した施設では温泉の採取は行わず、同ガス発生設備周辺では火気を使用しないよう要請。
また、温泉法に基づく災害防止措置を必要としない旨の確認を受けている温泉井戸については、地震によりガス濃度が上昇している可能性もあることから、濃度の測定を求めている。
同省によると、地震発生後における温泉採取にあたって、懸念される事態は次の通り。
- 施設の倒壊等により閉塞された空間が作られ、その空間に可燃性天然ガスが滞留した場合、火気の使用または防爆性能を有しない電気設備等を原因として、滞留したガスに引火し発生する被害。
- ガス分離設備の破損並びに温泉井戸、ガス分離設備およびガス排出口の間の配管の破損等により、可燃性天然ガスがガス分離設備において適切に分離されず、その周辺に排出された場合に、火気の使用または防爆性能を有しない電気設備等を原因として、排出されたガスに引火し発生する被害。
- 停電に伴うガス喚気設備および警報設備の停止により、可燃性天然ガスが屋内に留まっているにもかかわらず、それを認識できない場合に、火気の使用または防爆性能を有しない電気設備等を原因として、屋内に留まっているガスに引火し発生する災害
- 温泉法に基づく災害防止措置を必要としない旨の確認を受けている温泉井戸において、地震により可燃性天然ガスの発生量や濃度が大幅に変動した場合に、火気の使用または防爆性能を有しない電気設備等を原因として、発生したガスに引火し発生する災害。