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観光行政 ■第2603号《2011年4月2日(土)発行》  

避難者の宿泊施設受け入れ、災害救助法を活用 観光庁
 観光庁は東日本大震災を受け、県境を越えた避難が必要な被災者を旅館・ホテルで受け入れるための具体的な枠組みを公表した。災害救助法を活用した制度で、被災地域を抱える県がリストアップした避難者が対象となり、受け入れ側の県が客室を「避難所」に指定して借り上げる仕組み。仮設住宅などが整備されるまでの間の避難という位置づけで宿泊費などは国が負担する。避難者や被災地域の意向に応じた調整が欠かせず、受け入れ側の支援態勢なども重要になりそうだ。

 受け入れが可能な施設のリストは、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)が都道府県旅館ホテル組合を通じてとりまとめ、観光庁に提出。3月29日時点で、当面の30日間の受け入れが可能な施設として、山形、秋田、群馬、神奈川、富山、愛知など28県で約8万3900人分の客室が準備されている。

 観光庁は施設リストを示した上で、災害救助法が適用された市町村、県から避難者数、避難先などの希望を収集し、受け入れ側に提供する。具体的な調整は、被災県と、受け入れ県、受け入れ県の旅館ホテル組合の間で行われる。

 宿泊施設の借り上げ条件は、客室定員による利用で1人当たり1泊3食付き5千円。受け入れにかかる費用は被災県がいったん負担した上で、最終的に国が財政措置を講じる方式で充当する。

 調整にあたる観光庁の溝畑宏長官は3月25日の記者会見で、「被災県と、受け入れ県の間の調整が必要で、避難の開始にはしばらく時間がかかりそうだ。被災者には居住地の近くに避難したいなどの思いもあるほか、被災した市町村にも住民をまとまって避難させたいなどの意向があり、配慮が必要になってくる。受け入れ側の支援態勢も重要になる」と述べた。

 観光庁では、被災県からの希望、避難の実施状況などをみながら、段階的に宿泊施設リストを整備していくとしている。

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 被災者の受け入れに関しては、民間事業者による善意の受け入れ、地方自治体による支援措置など各地で動きがあるが、観光庁が調整するのはあくまで災害救助法の運用に沿った対応だ。被災地域の要請に基づく、県境をまたいだ避難者の旅館・ホテルへの受け入れが対象となる。

 被災県が避難先として「避難所」を求める順位はおおむね、県内の公的施設、県内の民間の宿泊施設が先で、県内での受け入れが困難であれば、県外の公的施設、県外の民間の宿泊施設の順となるという。

 観光庁観光産業課の鈴木昭久課長は「旅館・ホテルが受け入れリストに掲載されたからといって、すぐに多くの避難者が来るというわけではない。あくまで避難者のためのセーフティネット」と説明している。

 避難させる被災者の優先順位も国に統一的な基準はなく、被災県の判断となる。「宿泊施設への避難者としては、公民館といった宿泊設備を伴わない公的施設では対応が難しい方、例えば高齢者などを優先させる被災地域も出てくると予想される」(鈴木課長)。

 また、受け入れの対象となる施設は、全旅連の会員、都道府県旅館ホテル組合の会員に限定されているわけではない。観光庁では緊急的な対応として施設リストの作成を全旅連、都道府県組合に依頼しているが、会員以外の施設も希望すればリストアップされることになっている。



昨年の国内線利用、4年ぶりに増加 国交省調べ

 国土交通省は3月29日、2010年(1〜12月)の航空輸送統計速報を発表した。それによると、国内線旅客数は前年比0.5%増の8434万人となり、4年ぶりに増加した。国際線は同5.3%減の1456万人で3年連続の減少。

 国内線を幹線、ローカル線別に見ると、人ベースで幹線は同1.7%増の3547万人、ローカル線は同0.4%減の4886万人。ローカル線は航空会社による減便などが響いたと見られる。

 旅客数がもっとも多かった路線は羽田〜新千歳線で、同0.2%増の約904万人(座席利用率68.1%)だった。次いで同〜福岡線の754万人(同66.4%)、同〜大阪線の528万人(同63.7%)と続く。上位10路線に大きな変動はないが、福岡〜沖縄線が143万人(同64.7%)となり、前年12位から9位にランクアップした。

 国際線は中国方面が同6.1%増の約324万人で、韓国(約189万人)を大きく上回っている。



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