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旅館・ホテル ■第2608号《2011年5月14日(土)発行》
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月岡温泉の泉慶・華鳳、福島県の農家を支援
バイキング会場の一角に設けた、福島県産野菜コーナー(華鳳)
「がんばっぺ 福島」──福島第1原発事故で風評被害を受けている福島県の農家を支援しようと、月岡温泉(新潟県新発田市)の白玉の湯泉慶・華鳳は4月29日から5月4日まで、朝食バイキング会場で福島県産の野菜を宿泊客に提供した。橋本勇一常務は「悪い風評に対し、安心・安全の一石を投じたい」と力を込めた。
この試みは農協観光とJA伊達みらい(福島県伊達市)、JAたむら(同田村市)の協力で実現した。泉慶・華鳳の両館で実施し、華鳳ではバイキング会場の一角に「福島県産野菜コーナー」を設けた。「華鳳から風評被害を吹き飛ばせ」「新潟県から元気を発信」などと書いた看板が目を引く。
食材はイチゴ、アスパラガス、シイタケ、スナックエンドウ、キュウリで、いずれもハウス栽培され、公的検査に合格したものだ。食材の前には生産者の写真も置いた。
同コーナーに真っ先に足を運んだのは、岐阜県からツアーで来た川瀬節子さん(58)。「放射性物質うんぬんが言われるが全く気にならない。風評被害に負けないでほしい。旅館さんがこうした試みをやるのはとても良いと思う」と笑顔で話した。この企画、宿泊客には概ね好評だったが「コーナーを避けるように、足早で歩くお客さまもいた」と言う。
これまで中越地震と中越沖地震という二度の大きな地震を体験。「風評被害の恐ろしさを嫌と言うほど味わった」と橋本常務は当時を振り返る。それだけに被災者の苦しみは手に取るように分かる。「少しでも役に立てれば」との思いから始めた。今後も折を見て、こうした取り組みを続ける方針だ。
下呂温泉、特別宿泊割引プラン開始
岐阜県の下呂温泉旅館協同組合(瀧多賀男理事長)は9日、岐阜、愛知、三重、富山、石川、福井の県民を対象とした特別割引プラン「元気になろう!ぎふ 下呂温泉特別宿泊プラン」を始めた。同組合が実施している「冬の特選宿泊プラン」の料金から、さらに20%を割引したもの。組合加盟39軒が参画している。7月末まで。
プランの内容は、「お値打ち土曜日の宿」「平日お値打ちの宿」「平日湯ったりお得な宿」「平日きままにイチアサ(一泊朝食)の宿」の4種類。
20%割引するうちの10%相当額は下呂市が補助金として負担している。
期間中はプランのタイアップとして、土産物店や飲食店で割引や特典が受けられるクーポンも作成。クーポンは旅館や観光案内所に設置する。
プランは岐阜県と同県観光連盟が実施する「東日本支援・県内観光地宿泊促進緊急キャンペーン」に参画する企画。売り上げの3%を東日本大震災の義援金として寄付する。
日本の宿おもてなし検定委員会、普及に向け意欲
旅館3団体などの会長が出席(左から2番目が小口委員長)
旅館の接遇に関する資格制度「日本の宿おもてなし検定」を主催する同検定委員会(旅館3団体などで構成)は4月22日、7月の第3回初級・第2回中級試験に向けた会合を東京都内で開催。小口潔子委員長(四季彩一力)が「『おもてなし』の心を検定で普及させたい」と意欲を示したほか、委員メンバーからは検定の意義と効果を高く評価する声が相次いだ。
小口委員長は冒頭、「大震災は、図らずも日本人の持つ『相手を思いやる心』を顕在化させた。被災地内での助け合いの様子は海外メディアにも報じられ、日本人の心に賞賛が寄せられている。苦難の時だからこそ、日本人の原点とも言うべき『おもてなし』の心を検定という形で広く普及させていきたい」と語った。
委員の1人、佐藤義正・国際観光旅館連盟会長は、「風評被害などでお客さまが少ない今、裏方を務めるスタッフにもおもてなしの心を学んでもらう良い機会」と発言。経営する南部湯守の宿大観では、自らが講師となり全従業員を対象に講習会を実施する。「講習後、客室係はもちろんだが、調理場スタッフの接遇意識も高まった。各部署間の連携も良くなってきた」と研修効果の高さを再認識したという。
このほか委員として、近兼孝休・日本観光旅館連盟会長や佐藤信幸・全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長、小田禎彦・JTB協定旅館ホテル連盟会長らも出席。おもてなし検定を普及させるための意見や提言がそれぞれから出された。
おもてなし検定は09年の夏にスタート。受験者からは「立居振る舞いや話し方が変わった」「認定バッジを付けるようになって、より意識が高まる」など、接遇サービスのレベルアップにつながったとの声が数多く寄せられている。経営者からも「合格した一人ひとりが自信に溢れている」とモチベーションアップの効果を評価する声が挙がる。
今年度の第3回初級・第2回中級試験の受け付けは1日に開始、6月15日まで。試験はウェブ上で7月1〜15日に実施する。
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