風水で運気が上がる方角を導き出し、その方角への旅を誘うユニークな宿泊予約サイトがこのほど開設された。「旅吉ドットコム」(本社・島根県)が運営する「旅吉」(
http://tabikichi.com)で、「新しい旅行需要の創出になる」と、島根県で旅館業を営む経営者が立ち上げた。同社では1千軒を目標に、参画する旅館・ホテルを募っている。
サイトは風水を利用して、旅行を計画する人などに、健康運や金運、仕事運などの運気が上がる旅行を提案するもの。
閲覧者が自分の生年月日や居住地を入力すると、最も運気が上がるとされる旅の方角や日にちが示される。閲覧者は占いの結果にマッチした宿を、サイトを通じて予約する仕組み。旅の目的地や実施日を旅行者主導で決めるのではなく、サイトが決めて提案するのがミソだ。
様々な検索機能があり、「目的地は決まっているが、運気が上がる旅行日を知りたい」「旅行日は決まっているが、運気が上がる目的地を知りたい」などの検索もできる。また、家族や仲間など5人までの共通の吉方位を導き出したり、行きたい場所が吉方位でない場合に、どんなルートで行けば吉方位になるかを示す「ワンクッション検索」などの機能も備えている。
サイトは3月、島根県松江しんじ湖温泉で旅館「てんてん手毬」を営む神田裕幸氏が開設。著名な風水心理カウンセラーの谷口令氏が運営に協力している。昨年8月に行われた高校生の観光プランコンテスト「第2回観光甲子園」で観光庁長官賞を受賞した松江市立女子高等学校のアイデアを具体化した。
同社では、占いに興味を持ち、平日でも比較的自由に動ける女性層などの利用を想定している。サイト内に女性向けの生活に役立つコンテンツを設け、サイト自体の魅力付けを図る。
将来的には外国語によるインバウンド向けサイトを立ち上げる計画。風水に関心が高い東アジアや東南アジアからの利用を見込む。
サイトに参画する旅館・ホテルを現在募集している。予約に伴い旅館・ホテル側から受け取るシステム利用料は無料で、旅館の客室数に応じて毎月1575円から3675円の定額を受け取る仕組み。また、顧客サービスの一環で、旅館・ホテルから宿泊客に「いいご縁」の語呂合わせで115円のキャッシュバックをポチ袋に入れて行ってもらう。
同社の神田社長は「日本の人口が減少して、若い人もなかなか外に出ない。はじめは小さい市場かもしれないが、占いが好きな人も多いはず。新しい旅を増やして旅行需要全体を底上げしたい」と話している。