日本生産性本部が3日発表した「レジャー白書2011」によると、10年の余暇市場は景気低迷と消費者の節約志向を反映し、前年比2.1%減の67兆9750億円で、2年連続の70兆円割れとなった。「各業界で客単価の下落が止まらない」と同本部。一方、観光・行楽部門は同1%増の9兆5150億円だったが、10兆円の大台回復には至らなかった。
観光・行楽部門のうち旅館の市場規模は同8.1%減の1兆4570億円と大きく落ち込んだ。「定員稼働率が下がっており、客単価も長らく減少傾向が続いている」と白書。ホテルは9760億円で前年並み。旅行業(手数料収入)は不況や新型インフルエンザの影響を脱し、同2.9%増の6850億円。しかし「1人当たりの旅行費用が減少気味」と指摘。
10年の余暇活動参加人口の1位は6290万人の「ドライブ」で、2年連続のトップ。高速道路料金値下げの恩恵を受けたが、消費や宿泊数拡大までには波及していないという。2位は6150万人の「国内観光旅行」、3位は6040万人の「外食」。
前年より順位を上げたのは「動物園、植物園、水族館、博物館」(4800万人)で、前年6位から5位に浮上。「学習・調べ物」(3450万人)も同16位から13位とランクアップ。白書は「“はやぶさ”帰還後の科学ブームなどが背景にある」と見ている。
将来の参加意向を尋ねたところ、「ドライブ」を抑え「国内観光旅行」が1位となり、男女ともに関心を寄せていることが改めて分かった。
調査は1月にインターネットで行い、全国15〜79歳の男女3728人から回答があった。東日本大震災の影響は織り込んでいない。
白書は第3章で「震災後日本のレジャー」と題し、緊急特集を掲載。レジャー産業の被災状況を整理すると共に、レジャー・観光産業の社会的役割として、(1)元気づける(2)日常を支える・取り戻す(3)絆を深める(4)文化の掘り起こし、発信──など7項目について注目、未曾有の危機を乗り越えるための方向性を展望した。