日本航空(JAL)は16日、豪州を拠点に航空事業を展開するカンタスグループ、三菱商事と共同で、格安航空会社(LCC)「ジェットスター・ジャパン」を設立すると発表した。首都圏の発着枠の拡大や航空自由化の進行をにらみ、新規需要の獲得を狙ったもの。成田、関西の各空港を拠点に、来年末の国内線就航を目指す。LCC参入を先に発表しているANA系の2社と共に、国内の市場活性化に力を発揮しそうだ。
同日新会社設立について3社が合意し、発表した。今年9月の会社設立と事業許可申請を予定する。資本金は48億円だが、運航開始後に増資を含め120億円を予定。出資比率は、議決権ベースでそれぞれ3分の1ずつ。運航開始時点では、座席数180席のエアバス320型機3機を就航するが、数年中に24機まで増やす。従業員数は初年度150人を800人程度まで拡大する。
就航路線は未定だが、成田、関空を拠点に、札幌や福岡、沖縄などへの路線を検討中。また「地方自治体とも協議しながら、適切な施設を確保できるのであればさまざまな路線を考えたい」とブルース・ブキャナン・ジェットスターグループ最高経営責任者(CEO)は話し、地方空港活用の可能性も示した。
また運賃設定については、他社よりも安い運賃を提供する最低価格保証「プライス・ビート・ギャランティ」を適用し、価格面での優位性を訴える予定という。
同日開いた記者会見であいさつしたブキャナン・ジェットスターグループCEOは、「ジェットスターの利用者のうち約10%は、航空便を初めて利用した人という実績がある。平均運賃よりも約40%安い低運賃で航空座席を提供することで、新しい需要を刺激したい」と意欲を語った。また大西賢・日本航空社長は「08年からLCC設立の協議を重ねており、十分な話し合いを経て今日発表に至った」と述べてLCC参入を先に公表している全日本空輸(ANA)をけん制した上で、「JALは最高の品質のフルサービスを提供し続ける一方で、ジェットスターブランドによるLCC参入により低価格でスタンダードなサービスを提供し、多様な価値に応えていく」と話し、既存のJALの国内路線との需要の喰い合いを最小化できるとの考えを示した。
航空券の販売は、ジェットスターと同様、ウェブ販売のほか、電話受け付けや旅行会社による販売なども行う考えだ。
国内資本によるLCC設立は、ANA出資のピーチ・アビエーション、エアアジア・ジャパンに続き3社目。