各交通機関のお盆期間中の利用状況が22日までに出そろった。東日本大震災の影響が懸念されたが、東北新幹線はじめ各新幹線の利用は軒並み前年を上回り好調だった。特にJR九州は、九州新幹線の全線開業効果もあって在来線も含め好調。航空便は提供座席数の変動で旅客数の増減に違いはあるもののほぼ全社で利用率が増加した。高速道路は昨年よりも渋滞が大幅に増加。特に東北道が混雑した。
■鉄道
管区別の11〜18日の利用状況は、JR北海道の主要4線区での特急、急行利用は前年比7%増の29万3千人だった。
JR東日本の主要17線区の新幹線、特急、急行の利用者数は同4%減の352万6千人。このうち新幹線は同1%増、在来線は11%減だった。7月22日〜8月18日の夏期間中の近距離きっぷの利用状況は、上野動物公園などの最寄り駅であるJR上野駅が同6%増、東京ディズニーリゾートの最寄り駅・舞浜駅が同7%増だった。
JR東海は新幹線が同4%増の262万2千人、在来線特急が同2%増の16万4千人。
JR西日本は新幹線が同9%増の144万9千千人。在来線特急は同2%増の77万3千人だった。
JR四国は主要3線区の利用者が、同4%増の13万2400人だった。
JR九州の主要在来線3線区の利用者は同24.5%増の65万5300人。新幹線の博多〜熊本は同53.5%増の29万8700人で、九州新幹線の全線開業効果がはっきりと示される結果となった。
■航空便
国内航空便の12〜21日の利用状況は、ANAグループが前年同期比5.6%増の154万6461人だった。提供座席数が3.3%増加したのに加えて、利用率も79.0%と前年を1.7ポイント上回るなど好調だった。方面別では東北・北陸方面(前年比1.6%減)を除き全方面で旅客数が前年実績を上回った。提供座席数が前年よりも0.9%減った沖縄方面も旅客数は同5.2%増。北海道、沖縄方面で利用率が8割を超えた。
JALグループ6社の旅客数は113万2998人で同10.9%減。利用率は前年を7.4ポイント上回る82.4%だった。「国内線、国際線ともに03年度以降で最高の利用率」とJAL。方面別の旅客数は提供座席数の減少もあり全方面ともに減少したが、いずれも提供座席数の減少幅よりも旅客数の減少幅の方が小さく、利用率は前年よりも改善。沖縄方面の利用率が91.4%と最も高く、以下、北海道方面が85.4%、東北・北陸方面が84.8%と8割を超えた。
スカイマークの旅客数は、同66.0%増の19万8731人。提供座席数が同62.7%増と大きく増やしたことなどが奏功し、利用率も1.8ポイント増の91.5%となった。
エア・ドゥの旅客数は、同6.4%増やした提供座席数を上回る同10.5%増の6万24274人。利用率は前年を3.4ポイント上回る92.5%と好調だった。
スターフライヤーの旅客数は同38.1%増の3万5574人。提供座席数を同61.9%増と大幅に増やしたことで利用者は増えたが、利用率は同13.3ポイント減の76.8%となった。
■高速道路
今年のお盆期間は、東日本大震災の被災者を対象とした一部高速道路料金の無料措置が行われた。NEXCO東日本など高速道路5社と日本道路交通センターによると10〜16日の高速道路利用は、主要23地点の1日あたりの平均交通量が前年比2%増の5万8千台だった。10キロメートル以上の渋滞は同43%増の374回、30キロメートル以上の渋滞は同160%増の52回発生した。このうち最も長い渋滞は、8月13日午前4時45分ごろに東北道下り線・矢板北パーキングエリア付近で発生した69.4キロメートルの渋滞だった。東北方面だけで見ると、無料措置区間の交通量は前年比25%以上増加、10キロメートル以上の渋滞は70%増だった。
また高速道路利用の交通機関のうち、高速ツアーバスを運行するウィラー・トラベルの10〜18日の利用者数は、総取扱人数が前年比3%増の7万8900人だった。