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観光行政 ■第2627号《2011年10月1日(土)発行》
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観光庁、外客案内所の課題について検討開始
検討会の初会合
観光庁は、訪日外国人向けの観光案内所のあり方に関する検討を開始した。地方自治体や企業が運営する案内所を日本政府観光局(JNTO)が認定するビジット・ジャパン案内所(V案内所)は現在、全国で308カ所に上るが、訪日外国人3千万人の誘致を見据えて、運営の問題や情報提供の課題を考える。先月には有識者をメンバーとする検討会の初会合も開いた。
V案内所の設置数は、観光立国推進基本計画に掲げた整備目標の300カ所に昨年9月に到達した。しかし、外国人旅行者からは「数が少ない」「立地が悪い」などの指摘もあり、受け入れ態勢の充実に向けて利便性や満足度などを検証することにした。
そのほかにも論点として、(1)地方自治体や地域の観光協会が運営する観光案内所の経費負担の軽減策(2)民間企業が運営する観光案内所の増加などに伴う観光案内の中立性のあり方(3)インターネットの普及に対応した観光情報の提供──なども議論していく。
検討会の初会合で観光庁国際観光政策課の柏木隆久課長は「観光案内所は外国人受け入れの“最前線”として大きな役割を果たしている。しかし、さまざまな課題もあり、各種調査を行いながら観光案内所の意義や役割を改めて考えていきたい」と述べた。
観光庁は、訪日外国人を対象に観光案内所に関するアンケート調査を行うほか、海外の事例としてイギリス、フランス、韓国の観光案内所の設置数や運営方法なども調査する。また、外国人向けかを問わず、国内に約1200カ所ある地方自治体運営の観光案内所の実態も調査する。
外国人向けの観光案内所を巡っては、JNTOが直営してきた東京・有楽町のツーリスト・インフォメーション・センター(TIC)が、政府・行政刷新会議の事業仕分けを受け、来年から民間に委託されることも決まっている。
観光案内所について検討する「外国人観光案内所のあり方に関するワーキンググループ」の委員は次の通り(敬称略)。
大野金幸(JNTO総務部観光情報センター長)、桐谷エリザベス(フリージャーナリスト、NHKアナウンサー)、最明仁(JR東日本総合企画本部観光戦略室長)、澤功(澤の屋旅館館主)、辻村由佳(国際観光サービスセンター成田国際空港外国人観光案内所長)、持田篤志(日本旅行業協会国内・訪日旅行業務部訪日旅行業務グループ担当副部長)、山本哲也(東京都産業労働局観光部企画調整担当課長)。
観光業の風評被害、減収20%分は対象外
東京電力は9月21日、福島第1原子力発電所事故で被害を受けた法人や個人事業主に対する賠償金の算定基準とスケジュールを発表した。福島、茨城、栃木、群馬4県の観光業の風評被害については、原発事故以外の地震や津波、景気低迷などの影響もあるとして、一律で減収の20%分を補償の対象外とした。事業者の反発も出そうだ。
東電は27日をめどに請求書などを発送、併せて受け付けを開始し、10月中の支払い開始を目指す。今回は3月11日から8月末までの期間が賠償対象となる。9月以降の被害は3カ月ごとに支払う方針だ。
東電が示した算定例に基づき、観光業の風評被害について見ると──。震災から半年間で売上高220万円だった旅館・ホテルが、昨年同時期は500万円だったとすると減収率は56%になる。この場合、原発以外の要因による減収率(20%)を除いた36%が事故の影響によるものと判断。
賠償額算定の基準となる額は、宿泊業の平均利益率(60%)に基づき300万円とした。これに36%をかけた額、108万円が旅館・ホテルに支払われる計算だ。
全国規模で広がっている外国人観光客のキャンセル(解約)についても賠償し、「追加的費用」として放射線検査費用などは実費を払う。
レディー・ガガらを観光庁長官表彰
観光庁は9月26日、観光地づくりやインバウンド振興に貢献した個人、団体に贈る観光庁長官表彰の受賞者を発表した。東日本大震災からの復興と風評の払しょくを目指し、全国キャラバンなどを展開するスパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)のダンシングチーム「フラガール」をはじめ7個人・団体を表彰。表彰式を3日に行う。
国内観光振興への貢献ではフラガールのほか、妖怪をテーマにしたまちづくりに取り組んだ境港市(鳥取県)と境港市観光協会会長の桝田知身氏、「阿蘇ゆるっと博」の開催などに尽力した阿蘇地域振興デザインセンター(熊本県阿蘇市)事務局長の坂元英俊氏を表彰。
国際観光振興では、震災後に早期に訪日ツアーを再開させた香港EGLツアーズの袁文英社長、情報発信などで震災復興を支援したミシュラン・グリーンガイド編集長のアン・テフォ氏、被災地支援のイベントで来日し世界に訪日観光を呼びかけた米国の歌手レディー・ガガ氏を表彰する。
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