桜を活用した地域づくりに取り組む東京と山形の団体が、東北の観光復興へ「東北・夢の桜街道」と題するプロジェクトをこのほど立ち上げた。東北6県の桜の名所88カ所を選定し、「桜の札所・八十八カ所」として、四国八十八箇所巡りのように観光客に回ってもらおうというもの。旅行会社と連携し、来春のシーズンに向けて関連の旅行商品も造成する。
主宰するのは、青梅信用金庫(東京都)地域貢献部に事務局を置く「美しい多摩川フォーラム」と、姉妹団体の「美しい山形・最上川フォーラム」。両団体では隠れた桜の名所をPRするなど地域活性化運動に取り組んでいるが、東北の復興支援へ、「多くの犠牲者の鎮魂と被災地の早期復興に祈りをささげて巡る桜の旅」を提案することにした。
プロジェクトには東北6県や東北観光推進機構、旅行会社、航空会社、地元旅館組合、女将会、金融機関などが後援。地域の官民を挙げた運動となっている。
88カ所は東北各県の観光団体などの推薦を受け、9月13日に両団体の合同審査会で決定。10月1~2日に行われたJATA旅博の東北観光推進機構のブースで発表した。県別では福島県が最も多く21カ所。ほかに、山形県18カ所、岩手県14カ所、秋田・宮城県12カ所、青森県11カ所。それぞれの名所には番号を付け、「一番」を福島県三春町の三春滝桜、最終の「八十八番」を青森県弘前市の弘前公園とした。
関連イベントとして来年4月21日、“一番札所”の三春滝桜で、美しい多摩川フォーラムの副会長を務める元NHKキャスターで語り部の平野啓子氏による語り公演を行う。
来年2月ごろには出版社と共同で、88カ所を紹介する公式ガイドブックも発行する予定だ。
美しい多摩川フォーラム事務局長の宮坂不二生氏(青梅信用金庫特別アドバイザー)は「震災から半年が経ち、人々の関心も風化してきているが、東北の風評被害は大きく、現地の人達は復興支援を強く待ち望んでいる。復興支援は一時的なものでは足りない。この活動は10年間続け、東北の復興につなげたい」としている。