9月の訪日外客数は、前年同月比24.9%減の53万9千人となった。日本政府観光局(JNTO)が10月21日に推計値として発表した。観光客よりビジネス客が先行して回復しているとみられるが、前年同月に対する下げ幅は2割台にまで縮小した。ただ、原発事故に伴う放射能などへの警戒感、円高などの影響で、最大の訪日市場の韓国は依然として3割台の減少となっている。
東日本大震災後の前年同月に対する下げ幅は、3月12〜31日が73%減、4月が62.5%減、5月が50.4%減、6月と7月が36.1%減、8月が31.9%減で推移。今年1〜9月の累計では、前年同期比32.1%減の447万9900人となった。
韓国の9月は36.9%減の12万2400人。JNTOは「原発事故などの報道は徐々に沈静化してきているが、食に対する不安が払しょくされていないことが訪日旅行の回復に影響している」と指摘。加えて円高ウォン安もマイナス要因になっている。
一方で中国は、18.0%減の11万2600人。減少率は8月の40.1%減から1割台にまで回復した。原発事故への懸念はあるものの、9月からの個人観光査証(ビザ)の要件緩和、観光庁や自治体のトップセールス、メディアを通じた情報発信などが需要を喚起したとみられている。
このほか、台湾が17.5%減の8万4800人、香港が15.6%減の2万8500人、米国が17.1%減の4万6900人、豪州が43.8%減の1万3200人、英国が22.2%減の1万2100人などだった。