一休は外国人向け多言語宿泊予約サイトから一時撤退する。10月27日、都内で開いた11年度第2四半期決算説明会で森正文社長が発表した。
09年12月18日に開設した英語版サイト「IKYU.COM」(
http://www.ikyu.com/en/)と、10年10月7日に開設した中国語・簡体字版サイト「一休(ikyu.com)訂房网站」(
http://www.ikyu.com/cn/)、今年3月16日に開設した中国語・繁体字版サイト「一休(ikyu.com)訂房網站(
http://www.ikyu.com/tc/)の3サイトを10月31日、一時閉鎖する。
各サイトとも、客室在庫、販売料金が日本語サイトと連動しておらず、「契約宿泊施設に、(販売可能性が国内向けサイトよりも低い)インバウンドサイトに客室を入れていただくのが難しかった」(森正文社長)。日本語版サイトと自動連携するように今後システムを改修。2013年度をめどに多言語サイトの再稼働を目指す。
今年4月22日に開設した、中国語・簡体字で日本の観光・飲食店・ショッピング情報などを紹介している、宿泊予約機能を持たないサイト「一休日本自由行」(
http://www.yixiu.com/)の運営は継続。簡体字予約サイト再開設時にアクセス誘導経路になるよう温存する。
また森社長は同日、今年6月に森トラストと折半出資で設立した合弁会社「MT Ikyu Inc.」(ケイマン諸島)の完全子会社「森益一休有限公司」(中国北京市)で開始する予定だった、中国国内向けの「高級ホテルに特化した宿泊予約サイト事業」からの完全撤退も表明。合弁事業の解消により1.2億円を特別損失として計上すると発表した。その理由について「企業風土の差異などもあり合弁事業運営が想定以上に困難と判断、早期撤退を決断した」と説明。同時に中国におけるビジネスの難しさもにじませた。
当初計画では、森トラストがパイプを持つ中国のメディア企業「鳳凰衛視(フェニックステレビ)グループ」と連携し、同グループが運営するニュースポータルサイト「鳳凰網」(
http://www.ifeng.com/)のトップページから中国人富裕層ユーザーを新サイトに誘導、高級ホテルの予約成立に結びつけるはずだった。将来的には、中国における会員制高級ホテル事業やその富裕層会員組織を活用した電子商取引(eコマース)事業も視野に入れていた。