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観光行政 ■第2632号《2011年11月12日(土)発行》
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観光庁、東北復興に「観光博」
観光庁は、東日本大震災からの東北地方の観光復興に向け、旅行需要を喚起する対策事業を来年1月からスタートさせる考えだ。東北地方全体を博覧会場に見立て、各地域のイベントなどを連動させる「東北観光博」(仮称)として来年度末までプロモーションを行う。事業費は今年度第3次補正予算と来年度予算が要求通り成立すれば、8億円になる。東北観光への関心を高め、持続的な集客につなげる。
事業期間は来年1月から2013年3月末まで。観光庁は第3次補正予算案に5億5千万円を計上しているほか、来年度予算案に復旧・復興枠として2億5千万円を要求している。
東北観光博の事業をまとめる事務局を開設し、ポータルサイトの開設や統一ロゴの使用、各種メディアを通じた宣伝などのプロモーションを行う。観光関連事業者などにも連動した商品造成を呼びかけ、集客に結び付ける。
国費で情報発信や全体の調整を図る一方で、東北地方内に30カ所ほどのゾーン(区域)を設置。観光博の統一感を確保しながら、各ゾーンにイベントや体験型プログラムを実施してもらう。ゾーン間のイベントの連動や周遊のための2次交通の整備などを促す。
観光庁観光地域振興課は「東北の復興につながるように持続的に観光需要を喚起していく。併せて着地型観光のモデルとなるような事業にしたい」とし、被災地の復興に加え、新たな観光地づくりの契機とする考え。
事業の開始に向け、東北地方の自治体や関係機関との調整を進めていく。具体的な動きはこれからだが、福島県は、先月スタートさせた観光復興キャンペーンの計画の中に東北観光博との連動を盛り込み、各種事業との相乗効果の発揮を期待している。
「東北に行こう」ムードの持続へ 溝畑長官
観光庁の溝畑宏長官は、先月の専門紙向け定例会見で、東北観光博の実施について、「東北に行こうというムードを持続させる必要がある。年が変わると関心が落ちることも想定されるので、博覧会という形で観光需要を下支えしていきたい」と説明した。
事業開始当初は、東北地方の冬の観光を盛り上げるため、冬の祭りの情報発信を仕掛けたり、近年減少傾向にあるスキー客の回復につながるPR活動を展開したりしたいという。原発事故の風評被害なども払しょくしたい考えで、溝畑長官は「経験のない事態であるだけに、息長く支援する必要がある」と語った。
観光庁、ランニングコースを募集
女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんが協力する
観光庁は4日、スポーツ観光振興の取り組みの一環で、ランニングやウォーキング、サイクリングをする上で「楽しい道」「心地よい道」を募集し、観光資源としてPRする事業を始めた。ウェブサイトを開設したほか、ランニングコースを紹介するiPhone(アイフォーン)向けの無料アプリ「ランナーズ・インフォ」の提供も始めた。
ランニングやウォーキング、サイクリングのブームを背景に「道」に着目して、観光需要の創出につなげる。一般から幅広く道やコースを募集し、有識者の選考を経て観光庁が推薦していく。
ウェブサイトやアイフォーン用アプリでは、推薦コースやコラムの掲載を開始。現在、ランニングコースでは皇居周辺(東京・千代田区)や大濠公園(福岡・福岡市)などを紹介している。推薦コースは順次増やす。アイフォーン用アプリには将来的には位置情報を使った機能なども追加したい考え。
事業推進の窓口は、「観光庁ランナーズインフォメーション研究所」と称している。研究所の所長は、シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんに依頼した。
4日、国土交通省で開かれた記者会見に出席した高橋さんは「知られていない道、名前のない道の中にもすばらしい道がたくさんある。皆さんのお勧めの道を応募してほしい」と呼びかけた。
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