旅館3団体(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟)は7日、与党観光振興議員連盟(川内博史会長=衆議院鹿児島1区)の総会に出席し、福島第1原発事故の補償問題で改めて陳情した。原子力損害賠償紛争審査会の中間指針では、4県(福島、茨城、栃木、群馬)の観光事業者の減収が原発事故と相当因果関係があるとして、東京電力による補償の対象としているが、東日本の他の13都道県も対象として指針に明記するよう要望した。
3団体は9月28日にも観光議連に同様の陳情を行っている。その際は東北5県(青森、岩手、秋田、宮城、山形)と東日本6都県(新潟、千葉、埼玉、山梨、東京、神奈川)の合計11都県を指針に明記するよう要望したが、今回は北海道と長野県を加え、13都道県に範囲を拡大した。原発事故の風評被害が広範囲に及んでいることが理由。
また外国人観光客については、事故以降の予約のキャンセルによる損失だけでなく、予約控えも風評被害として補償するよう重ねて要望した。
会には北海道と宮城、山形、千葉、山梨各県の観光担当箇所、東京事務所担当者らが出席。それぞれの地域の風評被害の実情を説明した。
北海道では外国人客数が4月に前年同月比77.8%減、5月に同62.7%減と激減。山梨県では4〜6月の宿泊者数が前年同期比27.5%減で、指針に明記されている4県の減少率28.3%とほぼ変わらない数字となっている。
旅館3団体と各県の担当者らは、これらの数字を踏まえて中間指針の見直しを強く要望。議連では「関係省庁に再三申し入れているが、紛争審査会では見直しがまだ始まっていない」として、再度の申し入れを行うことを全会一致で決議した。
紛争審査会を担当する文部科学省原子力損害賠償対策室の担当者は、「中間指針には、4県のみに風評被害が起きているとは明記していない。今回いただいた意見を踏まえ、関係省庁と相談し、うまい知恵を出していきたい」と述べた。
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会では旅館・ホテル業界の税制改正要望も議題に上った。懸案の旅館・ホテルの建物にかかる固定資産税について、業界の要望通り見直される見通しであることを観光庁の溝畑宏長官が報告した。
旅館3団体から、全旅連の佐藤信幸会長、日観連の近兼孝休会長、国観連の佐藤義正会長が出席。固定資産税の軽減につながる税制改正が実現することに、出席した議員らに謝意を述べた。