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観光行政 ■第2640号《2012年1月14日(土)発行》
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東北などのインバウンド再生に6億円投入 観光庁12年度予算案
昨年末に決まった観光庁の2012年度予算案は、東日本大震災の復旧・復興枠の予算を含めて11年度当初予算比2%増の103億3800万円となった。訪日旅行促進(ビジット・ジャパン)事業や観光地域づくりプラットフォーム(PF)支援事業に加え、震災からの復興に向けて東北や北関東の旅行需要の喚起を目指す事業を盛り込んだ。
インバウンドの関係予算では、ビジット・ジャパン(VJ)事業が19%減の49億2700万円、外客の受け入れ環境整備事業が41%増の8億5400万円。新規の東北・北関東インバウンド再生緊急対策事業が6億2400万円。
VJ事業は、訪日需要の早期回復に向けて海外市場に対する広告宣伝やメディア・旅行会社招請事業を展開する。MICE(国際会議など)の誘致や開催の推進費も含まれており、海外見本市への出展や会議主催者による誘致活動への支援などを行う。
東北・北関東インバウンド再生緊急対策事業は、震災後、外国人旅行者数の落ち込みが大きい東北6県と北関東の3県(茨城県、栃木県、群馬県)の観光需要の回復が目的。海外旅行会社との商談会、魅力を発信するプロモーションなどを国費で実施し、風評の払しょくにつなげる。
受け入れ環境整備事業は、今年度に引き続き、各地域を「戦略拠点」「地方拠点」に指定し、移動や滞在、情報提供などの円滑化に向けた事業を支援していく。
観光地づくりの関係予算では、観光地域づくりPF支援事業が9%減の2億4600万円。同事業では復旧・復興枠の予算として別途、被災地分に5400万円を計上した。滞在型の観光地づくりにつながる事業などを支援する広域観光促進調査事業に8800万円、身体障害者らが旅行しやすい環境づくりのために先進事例を収集するユニバーサルツーリズム促進事業にも900万円を付けた。
復旧・復興枠の予算を活用した広域連携観光復興対策事業では、東北地方を博覧会場に見立て、地域のイベントなどを連動させて統一的に情報を発信する「東北観光博」を実施する。予算額は2億5千万円。11年度の第3次補正予算と合わせて今月にも事業をスタートさせ、東北地方の観光需要の喚起につなげる。
このほか人材育成の関係事業が44%減の1億2400万円、休暇改革の関係事業が3%減の8千万円、観光統計の整備費が87%増の8億8700万円、震災を踏まえて災害時の外国人旅行者に対する情報提供のあり方を検討する事業には3千万円を計上した。
休暇改革の関係では、企業の休暇取得を促進する「ポジティブ・オフ」運動の普及事業、地域で親と子の休みを一致させる実証事業などを実施する。観光統計の整備費は、観光地域経済調査(観光センサス)の本格調査の開始に伴い増額した。
東電、風評被害の賠償対象地域に千葉県の一部を追加
東京電力は10日、福島第1原子力発電所事故に伴う観光業の風評被害対象地域に、千葉県の太平洋沿岸地域(16市町村)を追加したと発表した。県内全域を対象としていないことに業界の反発も出そうだ。
東電は追加の理由について「(事故と減収に)相当の因果関係が認められる」(広報部)としている。新たに追加された市町村は銚子市、旭市、匝瑳市、横芝光町、山武市、九十九里市、大網白里町、白子町、長生村、一宮町、いすみ市、御宿町、勝浦市、鴨川市、南房総市、館山市。
今後、さらに対象地域を追加するかどうかは、「地域の事情をよく聞いた上で判断したい」と述べるにとどめた。
東電によると、福島、茨城、栃木、群馬の4県の観光業者に支払われた賠償額は同日現在、約1400件の114億円となっている。
観光庁長官の任期延長、3月末まで
溝畑長官
前田武志国土交通相は、昨年12月27日の定例会見で、観光庁の溝畑宏長官の任期を3月31日まで延長すると説明した。溝畑長官の当初の任期は2年間で1月3日に期限を迎えたが、当面、今年度末までの続投が決まった。4月以降の人事に関しては、「その時に考えることだ」と述べるにとどめた。
前田国交相は、溝畑長官について「ずいぶんとがんばっていただいている」と評価。任期延長の理由として、観光立国推進基本計画の改定、震災からの復興を目指す「東北観光博」の実施など、年度内に取り組むべき重要な事業があることを挙げた。
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