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観光行政 ■第2644号《2012年2月18日(土)発行》
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訪日外客数、2016年に1800万人 観光立国推進基本計画案
観光庁は、改定作業を進めている総合的な観光施策の計画「観光立国推進基本計画」の数値目標案などを固めた。新計画の対象期間は2012〜16年度。16年を期限とする訪日外国人旅行者数の目標には1800万人を掲げた。同じく16年を期限とする日本人の国内旅行の目標には、観光目的の年間宿泊数を1人当たり2.5泊に設定した。計画案に対する一般からの意見募集(パブリックコメント)などの手続きを経て、3月末の閣議決定を目指している。
基本計画の策定は、観光立国推進基本法に規定されている。設定した目標の実現に向けて政府は総合的に施策を推進する。改定は、国土交通省が設置している交通政策審議会観光分科会(分科会長=平林博・日本国際フォーラム副理事長)に諮りながら進めており、今月8日の会合では複数提示されていた数値目標などが絞り込まれた。
訪日外国人旅行者数の目標は、政府が新成長戦略に掲げた「20年初めまでに2500万人」の目標を達成することを念頭に、16年までに1800万人と設定した。当初の工程表(ロードマップ)では、16年に2千万人に到達する経過を掲げていたが、震災の影響を考慮して下方修正した。
日本人の国内宿泊観光旅行の数値目標は2.5泊。基準となる10年の統計上の実績2.12泊に対して0.38泊の上積みでしかないが、過去の推移が減少傾向であることを厳しくとらえた。減少傾向を食い止め、過去5年間(06~10年)の実績である平均2.42泊程度に戻すことを目安にした。
他の数値目標は、国際会議の開催件数を16年までに10年実績の741件から5割以上増加させてアジア最大の開催国を目指すという案、日本人の海外旅行者数を16年までに2千万人とする案。これら目標を達成した上での日本国内での旅行消費額の目標は、09年実績の25兆5千億円に対し、16年までに30兆円と設定した。
新しい基本計画ではこのほかに、観光の質を重視し、旅行者の満足度にアンケート調査などに基づく数値目標を設定する。訪日外国人の満足度では「大変満足」を45%程度、「必ず再訪したい」を60%程度。日本人旅行者の国内観光地に対する評価では、「大変満足」「必ず再訪したい」の割合をそれぞれ25%程度にする目標を掲げている。
新計画を推進する上での基本方針の案には、観光による経済成長や地域活性化などに加え、東日本大震災からの復興への貢献を盛り込んだ。各目標達成に向けて観光庁が主導的な役割を果たすべき施策には、(1)国内外の旅行者に選ばれる魅力ある観光地域づくり(2)オールジャパンの態勢による訪日プロモーション(3)国際会議などMICE分野の国際競争力の強化(4)休暇改革の推進──を掲げている。
日観協と学観連、産学連携オープンセミナー開催
学生の研究発表に対して表彰を行った(左が舩山副会長)
日本観光振興協会は10日、東京・丸の内の東商ホールで産学連携オープンセミナーを開催した。同セミナーは8回目となるが、初めて日本学生観光連盟と共催。400人を超える参加者の中にはリクルートスーツに身を固めた大学生の姿が例年になく目立ち、就職先としてのツーリズム産業に関心の高さをうかがわせた。
主催者を代表してあいさつした舩山龍二副会長は、東日本大震災や福島第1原発事故からの復旧・復興に観光は大きな役割を果たすことを強調した上で、WTTCの日本での開催、日中国交正常化40周年、東京スカイツリー開業などを挙げ「今年は観光にとってリバウンドする年だ」と意欲を示した。
来賓の溝畑宏観光庁長官は、「観光は総合的戦略産業。日本には世界に誇る魅力ある資源がたくさんある。この業界でプロデューサー的役割を果たし、世界に情報を発信してほしい」と学生にエールを送った。また、学観連代表の高橋竜さんは「ツーリズム産業界と学生が協力して開催するこのセミナーが、新たな道を探る1歩になれば」と抱負を述べた。
伊勢神宮式年遷宮広報本部長の田中恆清氏が、「世代を超えて伝えたい日本の心」をテーマに基調講演。田中氏は来年秋に斉行されるご遷宮の歴史や意義について触れ、「変えてはならないものを今後とも守っていく」との決意を披露した。
セミナーでは観光を学ぶ学生の研究発表が行われた。帝京大3年の熊谷亨介さんは昨年9月に実施された「大震災に学ぶ特別教育プロジェクト」に参加した経験談を発表。「(1)正しい情報の発信(2)当たり前になっている生活を見直し、日々の生活に感謝する(3)被災地の復興における観光の役割の大きさ──を改めて感じた。これからの教訓にしたい」と語った。
また研究発表に対する表彰も行われ、舩山副会長が立教大の原田彩加さんらを表彰した。
パネルディスカッションには学生代表も参加、野口英明・JTB常務、原口宰・JR東日本常務らとともに、これからのツーリズム産業の課題、求められる人材について意見を交わした。
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