日本旅行協定旅館ホテル連盟(日旅連、2243会員)は16日、宮城県松島町のホテル松島大観荘で第50回通常総会を開き、宿泊販売の拡大を柱とした今年度事業計画を承認した。東日本大震災と福島第1原発事故の風評被害で苦しむ被災地支援の一環で、例年東京で行っていた総会を異例の持ち出しで行った。宿泊販売の拡大では、特に風評被害の大きい東北と関東、北海道の3地域に焦点を当て、それぞれの支部連合会で会社の施策と連動した誘客への取り組みを行う。
根津文博会長(北海道川湯温泉・御園ホテル社長)は、「震災以降、“西高東低の状況だ。まず、考えなければいけないのは、東北地方、そして関東、という方向性で、宿泊拡大を目指したい」と、今年度事業の趣旨を説明。「日本旅行100周年を契機に新しい観光素材の開発を行ってきた。今回の震災で起こった消費者のマインドの変化をくみ取り、新たな方向性で、お客さまに共鳴いただける新素材を発掘しなければならない。会社が掲げる『ビジネスモデル転換の具体化、加速化』の方針を踏襲して、旅連活動に邁進したい」と述べた。
日本旅行の丸尾和明社長は、昨年の会社の業績を説明。今後の中核事業と位置付ける教育旅行、企業MICE、BTM、インターネット販売が前年を上回ったことに「我々の行ってきた『ビジネスモデルの転換』が間違っていなかったことが証明された。今年はこれを具体化、加速化する」と述べ、それぞれの分野での具体的増売策を説明した。昨年の宿泊販売については「秋口に回復し、地域によって差はあるが、11、12月はほぼ前年並みになった。年間では前年の約9割となった」と報告した。
議事では今年度事業計画を承認。宿泊販売の拡大では、地域での取り組みほか、ウェブ商品の販売拡大に向けたインターネット宿泊増売キャンペーン、団体旅行獲得に向けた新観光素材の団体への活用キャンペーンを行う。
このほか日中国交正常化40周年関連事業への参画、中国の旅行業者の北海道、東北、新潟、長野各支部連合会への招へい事業を行う。次世代経営者育成の第4回日旅連塾は6月下旬から7月上旬の間に行う。2年間の任期満了に伴う新役員を検討する役員選考委員会は12月に開き、来年の総会に候補者を提出する。来年の通常総会は2月中旬に東京都内で開く。