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旅館・ホテル ■第2651号《2012年4月7日(土)発行》
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全旅連東北ブロック、原発事故の公正な賠償を要求
福島を除く東北5県の旅館・ホテル組合代表、観光議連の川内博史会長らが出席した
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)東北ブロック協議会は3月21日、東京の衆議院第1議員会館で第3回原発風評被害賠償対策検討委員会を開き、民主党観光振興議員連盟、文部科学省など関係省庁、東京電力の代表者らと福島第1原発事故による風評被害の賠償問題について意見を交わした。旅館・ホテルと観光議連からは、福島を除く東北5県の風評被害の賠償がほとんど行われていないとして、被害への公正な賠償を東電に強く要望。原子力損害賠償紛争審査会が示した賠償の範囲にかかわる中間指針の内容や表現が賠償が進まない一因とも指摘し、担当する文科省に対策を求めた。
原子力損害賠償紛争審査会が昨年8月5日に発表した中間指針では、福島、茨城、栃木、群馬の4県の風評被害が原発事故と相当因果関係があるとして、東電による賠償が行われるべきだとしている。このほか指針に示されていない地域の被害も事故と相当因果関係があれば賠償の対象になり得るとしている。その後、千葉県太平洋沿岸16市町村、山形県米沢市も東電から賠償対象に追加された。
ただ、この日出席した青森県旅館ホテル生活衛生同業組合の中村嘉宏理事長から、県内組合員が東電に賠償請求をしたにもかかわらず、支払いを拒否された実例をあげ、中間指針が取り上げた地域以外の賠償がいっこうに進んでいない現状に疑問を投げかけた。
賠償が進まない一因は中間指針の内容や表現にあると旅館・ホテル側は主張している。
山形県旅館ホテル生活衛生同業組合の佐藤信幸理事長(全旅連会長)は、中間指針で述べている「風評被害」「相当因果関係」などの言葉が抽象的で、「どこまでが原発事故の風評被害で、賠償の対象になるのかがはっきりしない」「我々は明らかに被害を受けているにもかかわらず、東電はなかなか認めない。風評被害を狭い範囲で解釈しているのではないか」と批判した。
ほかの旅館・ホテルと観光議連の出席者からも「中間指針に4県と明記されていることが、逆にほかの地域の賠償を妨げている」「立証の難しい風評被害の挙証責任を被害者に負わせるのは酷だ」「積極的な賠償をするよう、国がもっと東電に指導すべきだ」などの声が上がった。
東京電力の出席者は「風評被害は損害賠償の対象と考えるべきだが、被害のすべてが賠償の対象となり得るものではない」と述べた。ただ、観光議連の出席者から賠償の対象となる損害は具体的に何かと問われると、明確な回答は示せなかった。
文科省研究開発局原子力損害賠償対策次長の松浦重和氏は、賠償が拒否された場合の次の段階として原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立てがあると説明したが、旅館・ホテル側の納得は得られなかった。
賠償の範囲や用語の解釈を巡り、旅館・ホテルと東電側の溝は深く、旅館・ホテルの納得いく解決に至るまではさらに時間がかかりそうだ。
旅館団体、楽天トラベルの決済方式を問題視
国際観光旅館連盟、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部はこのほど、宿泊予約サイトのオンラインカード決済に新方式を導入する楽天トラベルに対し、導入の延期と改善策の協議を求める要望書をそれぞれ提出した。新たに導入する事後カード決済がキャンセル料を引き落とさない仕組みであることを問題視。キャンセル料を免れるかのような印象を消費者に与え、不払いの風潮を助長すると懸念する。
楽天トラベルが今月4日から運用する新方式の1つ、事後カード決済は、宿泊客のチェックアウト後に決済を行う。ノーショー(連絡なしの不泊)の違約金はカードで引き落とすが、キャンセル料は引き落とさず、請求は宿泊施設の個別の対応と規定している。宿泊前のカード決済に抵抗感のある消費者の予約を取り込む狙いがある。
事後カード決済のキャンセル料に関する規定に関して国観連は、要望書の中で、徴収の推進という流れに逆行すると批判し、「キャンセル料徴収を免れることを消費者に売り込み、キャンセル料のがれを助長するばかりか、それにより自社(楽天トラベル)の顧客囲い込みを促進するなど、商道徳上、看過できない行為」と指摘している。
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