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観光行政 ■WEB増刊号《2012年5月5日(土)発行》    
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訪日外客数、ほぼ震災前の水準に

 今年3月の訪日外客数は67万9千人となり、東日本大震災の影響がなかった一昨年(2010年)の3月と比較すると、増減は4.4%減だった。原発事故に伴う放射能汚染への警戒感などは依然あるが、訪日旅行需要はほぼ震災前の水準まで回復した。震災が発生した前年3月との比較では92.4%の増加だった。

 日本政府観光局(JNTO)が4月20日、推計値として発表した。

 3月単月としては過去4番目の実績で、過去最高だった08年3月の73万2千人より約5万3千人少なかった。1〜3月累計では191万2千人となり、前年同期比で9.5%増、10年同期比で5.1%減だった。

 3月として過去最高を記録したのは中国。前年同月比で108.7%増、10年同月比で5.7%増の13万人だった。桜の開花時期の観光需要を喚起するために実施した大規模なプロモーションが奏功した。個人観光査証(ビザ)の要件緩和で個人旅行も増加している。

 10年3月との比較でプラスだった市場は台湾、香港、英国、インド。台湾は10年同月比2.9%増の9万2千人、香港は同0.9%増の3万7千人、英国は同6.7%増の1万9千人、インドは同5.5%増の6千人だった。

 一方で最大の訪日市場である韓国は15万1千人で、前年同月比69.0%増、10年同月比11.0%減だった。10年との比較では減少率が1割強まで縮小したが、他の市場に比べると回復が遅れている。訪日観光のプロモーションは実施されているが、放射能汚染への警戒感に加え、円に対するウォン安の影響が大きいとみられている。

 このほか10年3月との比較で減少率が2ケタを示した市場は、ドイツ、フランス、シンガポール、カナダだった。

出国日本人数は 過去最高を記録
 3月の出国日本人数は172万5千人で、前年同月比21.4%増、10年同月比10.4%増となった。昨年7月以降、9カ月連続のプラス。3月としてはこれまで過去最高だった01年3月の161万2千人を上回った。



WTTC、査証制度の改善要求へ
 WTTCは4月18日、観光産業の発展、旅行需要の喚起を阻そ害するような査証(ビザ)制度の改善を各国政府に要求していくことを決めた。東京で開かれたグローバルサミットの議論を踏まえ、世界の観光業界のリーダーの理解を得たことから、結束して要望活動にあたる。今年5月にメキシコ・メリダで開かれるG20(主要20カ国・地域)観光大臣会合には査証制度の円滑化がもたらす経済効果のデータを提出する。

 グローバルサミットは、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で開かれ、約1200人が参加。査証制度については、各国の観光・航空分野に対する各種の規制、課税政策と並んで、「厳格な査証政策が世界のツーリズム産業の発展に重大な障害となっている」と参加者らの意見が一致した。

 WTTCプレジデント兼CEOのデイビット・スコースィル氏は「近視眼的な政策が観光の成長を阻害しており、査証制度の改善は重要な課題。観光がもたらすGDPや雇用に関するメリットを主張して改善を求めていく」と述べた。観光産業の経済貢献度としては世界のGDPの9%を占め、自動車産業の8%を上回り、直接雇用は9800万人で自動車産業の6倍に相当するなどのデータも示した。

 世界の観光業界が連携することの重要性についても強調した。「観光産業は経済の成長や社会の発展に貢献しているにもかかわらず、金融サービス産業や自動車産業の方が政府からより多くの支援を受けている。各国政府のリーダーたちが我々の主張に耳を傾けるように結束しなければならない」(スコースィル氏)。

 WTTCは、UNWTO(国連・世界観光機関)とともに、査証制度の円滑化が雇用創出にもたらす効果などについて調査を実施。この調査結果を5月のG20観光大臣会合で発表する。さらに6月にメキシコ・ロスカボスで開かれるG20サミットにも調査結果を提出したい考えだ。



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