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旅館・ホテル ■第2659号《2012年6月9日(土)発行》
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楽天トラベル、宿泊施設のキャンセル料問題でシステム変更へ
楽天トラベルが4月4日から始めた宿泊施設の事後オンラインカード決済でキャンセル料が引き落としできないことに旅館団体が改善を求めている問題で、楽天側がシステムの変更を行う方向で準備を進めていることが分かった。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)と同社がこのほど行った非公開の会合で楽天側が明らかにした。ただ、サイト上にキャンセル料の不払いを助長しかねない表現が残っている点について、さらなる改善を行うよう、今後も両者で話し合いを進める予定だ。
楽天トラベルは今年に入り、宿泊のオンラインカード決済システムのリニューアルを契約施設に告知した。従来は顧客が宿泊する前にサイトに入力したクレジットカード番号で決済するか、顧客が旅館・ホテルの現地で現金またはカードで決済するかだったが、今回、宿泊の後に決済する事後カード決済を追加した。「日本の消費者は宿泊前より宿泊後の決済の方が予約時に安心する傾向が強い」(楽天トラベル)などが理由。旅館・ホテル側には、現地でのカード決済に比べて手数料が安くなることや、現地払いからオンラインカード決済に顧客を誘導し、予約時にカード番号を入力してもらうことでキャンセルの抑制が期待できるなどのメリットを説明している。
ただ、事前カード決済では可能なキャンセル料のクレジットカードでの引き落としは、事後カード決済では行えない。楽天側が関与せず、旅館・ホテルが直接、顧客に請求することになる。
この点について旅館・ホテル側は「事前カード決済では行えるキャンセル料の引き落としを、なぜ事後カード決済では行えないのか」「顧客からキャンセル料を徴収するのは、費用対効果から事実上困難。長期的視点で、宿泊施設は大きな被害を受ける」と異を唱えていた。
サイト上での顧客に対する説明画面では、カードによるキャンセル料の引き落としが行われない点を強調。「キャンセル時も安心」などとうたったことに、旅館・ホテル側から「本来、支払われるべきキャンセル料の不払いを助長するものだ」「キャンセル料回避をアナウンスするのは商売倫理上どうなのか」と疑問の声が挙がった。
楽天側が契約施設に対し、リニューアルの説明を一部を除き管理画面やファクスのみで行ったことも問題視した。
楽天側と全旅連の同問題での第1回協議会が4月5日に開かれ、この席で楽天トラベルの岡武公士社長は「オンラインカード決済におけるキャンセル料請求の問題に取り組む必要性を強く感じている」と述べ、改善に取り組む姿勢を示した。
全旅連からは佐藤信幸会長、大木正治会長代行、宮村耕資・総務委員長、永山久徳・広報小委員長、全旅連青年部の新山晃司副部長、内田宗一郎・緊急特別対策委員長らが出席。ユーザー向け画面について、「『安心』とのネーミングが、キャンセル料は請求されないという安心感を与えてしまう。『キャンセル料は請求されるもの』との内容に改善してほしい」などと訴えた。
5月8日に開いた第2回協議会では、楽天側から事後カード決済でもキャンセル料をカードで徴収できる機能を付加するよう検討を進めていることや、サイトでのキャンセルに関する表現を段階的に改めていることを述べた。ただ、説明文の細かい表現を巡り、両者の解釈が異なる部分もあり、今後も両者で話し合いを進めることにした。
次の第3回協議会は7月26日に開かれる予定だ。
近旅連、人材育成テーマに旅館塾
近畿日本ツーリスト協定旅館ホテル連盟(近旅連、西野目信雄会長)は6月26、27の両日、東京都内で若手旅館・ホテル経営者らを対象とした研修、交流企画「平成旅館塾」を開催する。テーマは人材育成。昨年は東日本大震災により実施できなかったことから、2010年12月以来の実施。近旅連では現在、広く会員の参加を呼び掛けている。
第5回のテーマは「自館の『魅力』を再発見し『チャンス』を活かす 自館発展につなげる人財育成術」。参加者の旅館・ホテルの「強み」「弱み」の洗い出しとアウトプットを行うと共に、グループ討議による他館の状況把握や視野の拡大を図る内容。渡邉和裕・平成旅館塾委員長(山水荘社長)、京田親志・ホテル秀水園専務らもアドバイザーとして参加する。
会場はホテルフロラシオン青山(東京都港区)。
参加費は宿泊費、食事代込みで1人3万8千円。
申し込みは参加申込書に記入の上、eメールもしくはファクスにて近旅連事務局に申し込む。
問い合わせは近旅連本部事務局(TEL03・6891・6829、ファクス03・6891・6875)。
平成旅館塾は近旅連会員旅館・ホテルの次世代経営者が互いに研さんを深めながら、会員同士のつながりを持ってもらおうと実施しているもので、09年以降毎年2回のペースで開催。
近旅連では今年12月にも同企画の実施を予定している。
鬼怒川パークホテルズ、総額1400万円の宿泊キャンペーン開始
鬼怒川パークホテルズ(栃木県鬼怒川温泉)は今月1日、インターネット交流サイト「フェイスブック」上で、総額約1400万円分の宿泊券を贈るプレゼントキャンペーンを始めた。東京スカイツリー開業記念として、国内47都道府県の在住者向けに3万9千円相当の宿泊券を47組(94人)、海外194カ国向けにスカイツリーの高さにちなみ、6万3400円相当の宿泊券を194組(388人)に贈る。
実施期間は1カ月間。応募は、国内向けはホテルがフェイスブック専用懸賞アプリのcrocos懸賞で作成した同ホテルのキャンペーン専用ページでできる。
海外向けは、フェイスブック専用投票アプリのaaVoteで作成した同ホテルのフェイスブックキャンペーン専用ページで「日光・鬼怒川の見どころスポット写真6点」のどれかに投票した後にできる。いずれの専用ページも同ホテルのフェイスブックページの「いいね」を押してから表示される。
「旅館・ホテル業界では今年最大規模のプレゼントキャンペーン」と同ホテル。実施にはホテル・旅館専門のウェブコンサルティング会社、コレリィアンドアトラクトが協力した。「キャンペーンを通じて自社のみならず、鬼怒川温泉全体を世界中に知ってもらいたい」(鬼怒川パーク・小野真専務)。
アパグループ社長に元谷専務
元谷社長(右)と元谷代表
ホテル事業、マンション開発のアパグループ(東京都港区赤坂、元谷外志雄代表)は2日、元谷一志元専務の代表取締役社長就任パーティーをアパホテル東京潮見駅前で開いた。森喜朗元首相、清水喜彦三井住友銀行副頭取、外山衆司産経新聞社専務など政財界から約1300人が出席。サウジアラビア、インドなど約30カ国の大使・公使らも招かれた。
アパグループという名称は、アパホテル(元谷芙美子社長)などのグループ各社を束ねる総称としてこれまで使ってきたが、法人格を持たなかったため、グループ会社の1社であるアパ都市計画の社名を5月10日にアパグループに変更。同日、元谷外志雄アパグループ代表と元谷芙美子アパホテル社長の長男である元谷一志専務が、社長に就任した。アパグループは、グループ各社の経営企画、管理、人事などの本部機能を統括する。
パーティーに先立ち開いた社長就任会見で一志氏は「総客室数を現在の3万室から10万室まで拡大し、日本一のホテルグループを目指す。その上で海外展開し、スターウッドグループなど世界のホテルチェーンに対抗できるような体制を構築したい」と抱負を語った。
元谷 一志氏
(もとや・いっし)41歳。石川県出身。95年学習院大学経済学部卒、住友銀行入行。99年アパホテル常務。04年アパグループ専務兼最高財務責任者兼経営企画本部長兼人事部長。12年5月アパグループ代表取締役社長。
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