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観光行政 ■第2661号《2012年6月23日(土)発行》
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12年度版観光白書、「東北の需要回復は不十分」と指摘
政府は15日、2012年度版「観光白書」を公表した。11年の観光の状況として、東日本大震災後の観光の動向を分析。国内旅行では、震災の被害が特に大きかった東北3県(岩手、宮城、福島)の宿泊需要について、復旧・復興関係の需要があったものの、観光を目的とした需要は十分に回復していないと指摘した。東北3県以外にも東日本を中心に宿泊者数が減少したことに触れ、外国人旅行とともに、需要喚起に向けた取り組みの必要性を強調している。
観光白書では、観光庁の宿泊旅行統計調査を基に11年1〜12月の日本人の国内延べ宿泊者数の動向を分析した。
東北3県では、ビジネス客を中心とする業態の宿泊施設に限ってみると、復旧・復興関係者の宿泊、被災者の滞在が影響したとみられ、前年同月に比べて4月が39.0%増、6月が44.2%増となるなど大幅な増加となった。8月以降も20%台の増加で、12月も29.0%増だった。
一方で、東北3県の観光客を中心とする業態の宿泊施設では、震災直後は復旧・復興関係の宿泊需要があったが、被災者の仮設住宅への入居が進んだとみられる夏以降、宿泊者数の低迷が目立った。5月が13.0%増、6月が9.7%増とプラスだったが、7月以降はマイナスに転じ、8月が27.1%減、10月が30.1%減、12月になっても16.5%減だった。
3県以外の東北各県、青森県、秋田県、山形県の動向については、「観光客中心の宿泊施設は、一時的に復旧・復興需要があったと考えられる東北3県(岩手、宮城、福島)に比べ、震災直後から厳しい状況に置かれていた様子がうかがえる」とした。
また、震災の影響が全国に及んだことも記述。「地理的に被災地に近接している関東地方や、ビジネス目的より観光目的が宿泊利用の多くを占めている北海道、沖縄については、震災発生直後に全国平均に比べ宿泊者数が大きく減少している」と指摘した。
観光白書では、訪日外国人旅行者の減少についても合わせて分析した上で、「東北地方には一部に復旧・復興需要は認められるものの、観光需要については十分に回復していないことが分かる」とし、「引き続き、全国的に観光需要を喚起するための取り組みを講じていく必要がある」と強調している。
文化審、別府を重要文化的景観に選定
国の文化審議会は15日、大分県別府市の「別府の湯けむり・温泉地」を重要文化的景観として選定するよう文部科学相に答申した。温泉地が重要文化的景観に選定されるのは初めて。
文化審は「豊富な温泉源を活用し、共同浴場や地獄釜の蒸し料理といった生活、貸間・旅館などの宿泊業や湯の花製造業といった生業を成立させてきた、当地の土地利用のあり方を示す文化的景観として貴重」を選定理由に挙げた。
重要文化的景観はこれで34件となる。石川県金沢市の城下町や長野県千曲市の姥捨の棚田、愛媛県宇和島市の遊子水荷浦の段畑などが選ばれている。
その他、文化審が答申した主な新指定、新登録、新選定は次の通り。
【史跡】大森勝山遺跡(青森県弘前市)▽田島弥平旧宅(群馬県伊勢崎市)▽五斗長垣内遺跡(兵庫県淡路市)▽大板山たたら製鉄遺跡(山口県萩市)▽大浦天主堂境内(長崎県長崎市)▽中頭方西海道及び普天満参詣道(沖縄県浦添市)
【名勝及び史跡】小石川植物園(東京都)
【名勝及び天然記念物】喜屋武海岸及び荒崎海岸(沖縄県糸満市)
【天然記念物】津屋川水系清水池ハリヨ生息地(岐阜県海津市)▽志布志市夏井海岸の火砕流堆積物(鹿児島県志布志市)▽宝島女神山の森林植物群落(同十島村)▽名護市嘉陽層の褶曲(沖縄県名護市)
【登録記念物】旧吉田氏庭園(千葉県柏市)▽帯笑園(静岡県沼津市)▽市川鉱物研究室収蔵標本(福井県越前市)
【重要文化的景観】求菩提の農村景観(福岡県豊前市)▽長崎市外海の石積集落景観(長崎市)▽新上五島町崎浦の五島石集落景観(長崎県上五島町)
国交省、観光人材事業に「廃止」判定
国土交通省が13日に実施した所管事業を仕分けする「行政事業レビュー」で、観光庁の観光まちづくり人材育成事業が「廃止」の判定を受けた。同事業の内容は、地域観光を担う中核的な人材を育成するための指針の策定やセミナーの開催など。仕分けでは、事業の成果を測定する指標などを見直すよう指摘され、来年度予算の概算要求に反映するように求められた。
行政事業レビューは、各省自らが所管事業の無駄を洗い出す「省庁版の事業仕分け」。公認会計士や弁護士、評論家などの外部有識者を交えて事業の評価を行う。判定結果については、「事業の執行や来年度予算の概算要求に着実に反映」することになっている。
観光庁の観光まちづくり人材育成事業は、行政事業レビューの評価の対象となる2011年度の予算執行額が1億3100万円。11年度は観光関係の有識者で検討会を設置し、「観光地域づくり人材育成ガイドライン案」を策定。全国10カ所で人材育成セミナーなども開催した。
今年度予算には観光中核人材育成事業として約1億2千万円を計上している。ガイドライン案を踏まえてカリキュラム案を作成し、全国10カ所程度で人材育成講座などを試行的に行う。今年度事業は実施されるが、今夏に提出する来年度予算の概算要求には、行政事業レビューの指摘について反映を求められることになりそうだ。
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