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旅館・ホテル ■第2661号《2012年6月23日(土)発行》    
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中部圏社会経済研、旅館格付けのツールを提示
 観光産業全般の品質向上と訪日外国人旅行者の拡大を目的に「観光品質基準」の研究を進めている中部圏社会経済研究所(旧中部産業・地域活性化センター)はこのほど、研究成果を取りまとめた報告書を刊行した。同基準は旅館の評価、ランク付けする際のツールとなるもので、報告書は外客誘致を視野に入れた旅館の数値評価の必要性を提言している。

 同研究所は2008年から、外客が安心して宿泊施設を選択でき、満足度を高めてもらうための仕組み「観光品質認証制度」と、この制度を運用する上でのベースとなる観光品質基準のあり方について、調査研究を進めている。

 10年に「観光品質基準(日本旅館編)の策定」という調査研究報告書をとりまとめており、今回その続編となる「訪日外国人旅行者向け『観光品質基準』に関する調査研究報告書」を刊行した。

 同基準は「観光関連の施設やサービスの品質を客観的に判断、評価するためのチェック項目集」(荒井浩生・産業振興部長)という位置づけ。荒井部長はまた、「日本にはこうした品質基準に基づく宿泊施設の評価、ランク付けや品質認証システムはないが、観光立国を推進する上で、評価、ランク付けは避けては通れないのではないか」と指摘する。

 昨年、新潟、群馬、長野の3県にまたがる広域観光圏「雪国観光圏」がこの基準を使用して、圏域内の宿泊施設の評価事業を実施した。

 事業には旅館・ホテル、民宿など50軒が協力。ニュージーランドの実例を参考に、外観や客室のハード面から、接遇や食事のソフト面まで300を超える項目で評価し、旅館34軒を1〜5つの星印で表した。

 評価された旅館の反応はさまざまで、「旅館の良いところ、悪いところを的確に評価できており、納得できる結果」「自分たちの認識と調査結果がかなり乖かい離りしており、納得できない」との声があった。しかし、基準そのものについては「評価する物差しとして必要」「外国人が旅館を選ぶ目安となる」と概ね評価している。

 ホテルと異なり、旅館特有のおもてなしをどう指標化するのかなどの問題もあり、旅館業界は数値評価に対して厳しい目を向ける。しかし、雪国観光圏のようなケースもあるだけに、旅館の評価、ランク付けに対し、検討してみる価値はありそうだ。



JCHA会長に不川会長代行
 全日本シティホテル連盟(JCHA)はこのほど、東京都千代田区のホテルグランドパレスで今年度通常総会を開催した。昨年、清水信夫会長の死去に伴い会長代行に就任した不川智詞氏が会長に昇格、新たに副会長として、元参院議員で連盟常任顧問の藤野公孝氏を充てる役員選任案を承認した。

 不川会長は総会直前に入院したため欠席。代わりにあいさつに立った清水嗣能副会長は、連盟が来年4月、一般社団法人に移行する予定を取り上げ、「先輩がビジネスホテルという新業態を作り上げた。先輩が持っていた進取の気性が連盟のDNAだ。進取の気性を取り戻し、新団体として取り組んでいきたい」と決意を新たに語った。

 今年度事業として、連盟のホームページに会員の情報を掲載し、英中韓の外国語ページも導入するなどPR活動を強化。会員を対象に各種アンケートを実施し、経営や連盟運営の参考とする調査研究事業を推進することなども決まった。

 また、トコジラミ(南京虫)の被害が全国的に広がる一方で、完全に駆除するにはかなりの費用がかかるため、新たな対策が確立された場合、速やかに会員に情報提供することを確認した。

 総会終了後、創業世代の会員が現役世代に助言することを目的に座談会が開かれた。

 道満隆常務理事(エーピー)は「ホテルにとって最大の商品は部屋だ。惜しまずに再投資せよ。ちゃんと返ってくる」と話し、部屋の備品を最新型にするなど整備をすれば、稼働率改善につながると強調。

 村木敏雄元会長(グリーンズ)は「日観連と国観連の合併は業界再編の始まり。JCHAはあるべき姿を考える時期に来た」と会員に奮起を促した。



近旅連長野支部、クルーズ船に乗り観光情報PR

 近畿日本ツーリスト協定旅館ホテル連盟(近旅連)長野支部(支部長=春原良裕・志賀ハイランドホテル社長)は12日、東京湾クルーズ船「シンフォニー」で、KNTグループ社員らとの意見交換などを目的としたイベント「THE信州DAY『長野の日』in東京」を開催した。同県内の夏の涼しさはじめ、夏以降の観光トピックなどを紹介し、長野方面への送客拡大などを訴えた。

 イベントにはKNTの団体旅行事業本部カンパニーや個人旅行事業本部カンパニーの社員など82人が参加、懇談した。

 イベントの冒頭あいさつした春原支部長=写真=は、「涼しい信州の夏はもちろん、フルーツやキノコなどの秋の味覚、冬のウインタースポーツや温泉、そして花であふれる春と、長野の魅力は切れ目ない。長野の日は当支部の最大の行事であり会員も多く参加しているので、ぜひたくさん情報交換をして、送客拡大につなげてほしい」と呼びかけ。

 これに対し参加者を代表して登壇した山本龍二・KNT執行役員国内旅行部長は、「昨年は海沿いのエリアが敬遠されたことなどもあり、当社から長野へ多くのお客さまを送ることができた。教育旅行でも今までは長野を仕向け地として考えていなかったエリアからも送客できた。今年もKNTグループ全軍で送客したい」と力強く語った上で、参加した社員に向けては「この大事な機会を生かしてぜひ長野に送客してほしい」と訴えた。

 イベントでは近旅連会員らが北信、中信など5地区に分かれて各地区の魅力を説明。このうち諏訪湖地域は、2カ月にわたり実施する地元密着型の芸術祭「諏訪湖周まちじゅう芸術祭」のオープニングイベントとして7月27〜29日に実施する、博物館や美術館の夜間公開イベント「諏訪の長い夜」などを紹介。このほか各地域の代表も「多くの人に、夏でも涼しい信州に来てほしい」「南信では赤白桃色に咲くハナモモの里として誘客に努めている」などと同県の観光トピックを説明し、誘客への協力を訴えた。



全旅連が岡山で総会、「復興支援に全力」の決議文採択
900人が集まった今年度全国大会

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長=山形県・日本の宿古窯)は14日、岡山県岡山市の岡山コンベンションセンターで第90回全国大会を開いた。「被災組合員の復興支援に全力を期す」「税制の見直しと融資制度の改善を期す」など10項目の決議文を採択したほか、東日本大震災の復興支援で特に顕著な活動をした個人、団体を特別表彰した。岡山県での開催は初で、全国から約900人が参加した。

 式典で佐藤会長は「全旅連はこの1年、被災者の受け入れや金融、労務問題、風評被害の損害賠償問題、東電の値上げ問題など、震災関係の対応に終始した。皆さまのご協力で旅館を第2避難所とし、被災者の受け入れは延べ500万泊以上に及んだ。義援金は旅館3団体で4500万円を集め、すべて被災県にお送りした」と報告。

 また「観光は21世紀の基幹産業だが、現在の経営環境は厳しい。打開するためには、税制の見直しが必要だ。現在の消費税の総額表示で我々中小企業は税額を価格に上乗せできずにいる。消費税率が5%から10%に上がればさらに大変なことになる。税金は別になるとお客さまに堂々と説明できるように、消費税の外税表示を求めていく」と述べ、出席者の協力を求めた。

 岡山県旅館ホテル生活衛生同業組合の臼井正一郎理事長が地元を代表して歓迎のあいさつ。来賓からは厚生労働省生活衛生課長の堀江裕氏、岡山県保健福祉部次長の海老塚聖也氏、岡山市長の高谷茂男氏、参議院自由民主党議員会長の中曽根弘文氏がそれぞれ祝辞を述べた。

 表彰関係では、東日本大震災の復興支援に尽力した役員13人を佐藤会長が特別功労表彰。代表して福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の菅野豊理事長が表彰状を受けた。また、復興支援で特に顕著な活動をした札幌ホテル旅館協同組合に佐藤会長から感謝状を送った。同組合では復興支援イベント「復興の狼煙(のろし)祭」を開催。街頭募金を行い、集まった義援金を被災県に贈った。

 第15回「人に優しい地域の宿づくり賞」の表彰も行い、厚生労働大臣賞の咲花温泉旅館協同組合(新潟県)、観光経済新聞社社長賞の道後温泉旅館協同組合(愛媛県)などを表彰した。

 「厳しい経営状況を乗り切り、国民に癒しと安らぎを提供する宿づくりに専心する」とする大会宣言と、10項目の決議文を採択。来年の大会開催地、山梨県の組合員が多くの来県を呼びかけるあいさつをした。

 懇親会では岡山県の石井正弘知事らがあいさつ。俳優の梅宮辰夫さんもゲスト参加し、場を盛り上げた。



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