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旅館・ホテル ■第2663号《2012年7月7日(土)発行》
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温泉協会が宿泊予約サイトを開設へ、手数料は8%
日本温泉協会はホームページ(HP)、温泉名人をリニューアルする。それに伴い、「るるぶトラベル」を運営するi.JTBと手を組み、宿泊予約サイトを開設する。旅館・ホテル会員の販売チャネル拡大につながり、協会は「会員にメリットを与えられ、会員数増加のきっかけになれば」(事務局)と期待する。手数料の一部は協会にキックバックされ、「事業運営費に充てる」という。早ければ7月中旬から開始する。
現在のHPは温泉の正しい知識を普及すると共に、全国の温泉地と協会加盟施設などを紹介。協会PRコーナーや温泉地情報コーナー、温泉地と宿の検索コーナーなどで構成されている。「温泉に特化した専門性を持ち、月間アクセス数は70万ページビューある。これを活かさない手はない」と廣川允彦会長は強調する。
現在、インターネット委員会(委員長・岡村興太郎副会長)がHPの全面リニューアルに向け、検索システムの見直しと宿泊予約システムの構築に取り組んでおり、宿泊予約については近くi.JTBと本契約を交わす予定だ。
i.JTBによると、今回の連携により(1)会員施設の販売拡大(2)協会のサイトの価値向上(3)協会の財務改善──などのメリットがある。手数料(システム利用料)は8%で、うち2%を協会にキックバックする。
ユーザーはHPからの宿泊予約が可能となり、会員にとっても販売チャネルの拡大につながる。「入会して良かったというメリットが生まれ、協会に対する関心も高まるのではないか」と見る。また、2%のキックバックは「新たな収入源となり、財政基盤の強化につながる」としている。
会員数は現在約1500で、うち、宿泊施設は約1200軒ある。るるぶトラベルとすでに契約している施設を除くと、300軒程度が新規契約の対象となる。契約するかどうかは会員の判断次第だが、協会は参加するよう会員に働きかける。
るるぶトラベルは、宿泊施設に対してJTBの予約サイトのスペースを提供し、施設が自由に客室を提供する場貸しモデルの宿泊予約サイト。サイト上で価格やプラン内容、提供客室などを自由に設定することが可能。契約はユーザーと施設の間で結ばれる。2007年開設。今年で5年目を迎え、登録ユーザー数は240万人(6月現在)となっている。
源泉かけ流し温泉協会、高湯温泉でサミット開催
松田氏らを交えたパネルディスカッション
「源泉かけ流し宣言」を行う全国の温泉地の旅館で組織する「日本源泉かけ流し温泉協会」(田花敏郎会長=奈良県十津川温泉・田花館)の第8回「源泉かけ流し全国温泉サミット」と第2回総会が6月25、26日、福島県高湯温泉の花月ハイランドホテルで開かれた。サミットでは、源泉かけ流し温泉の普及を提唱する同会名誉会長で札幌国際大学観光学部の松田忠徳教授が講演。予防医学の観点から天然温泉の重要性を指摘した。また総会では、「宣言」を行った温泉地以外の旅館も「個人会員」として認めることにし、新たに31軒が入会した。
協会は昨年6月発足。地域の中のすべての施設が加水、加温、循環ろ過をしないという「源泉かけ流し宣言」を行った温泉地の旅館を会員とし、日本独自の温泉文化や源泉かけ流し温泉の普及に努めている。
サミットで講演した松田氏は、会場となった高湯温泉など全国の源泉かけ流しの湯について、「人の細胞を活性化し、自然治癒力を高める、優れた還元力を持つものだ。温泉入浴は予防医学の未来形」と説明。ただ、「(営業形態が)質素ゆえに、非科学的と誤解を受けやすい。関係者は(温泉入浴の効能の)啓蒙活動と勉強を怠ってはならない。自身の温泉に自信を持ってほしい」と述べた。
このほか山形大学地域教育文化学部の川辺孝幸教授が「温泉の湧出機構について」と題して講演。松田氏と佐藤洋(JR東日本福島駅長)、西村りえ(温泉ライター)、遠藤淳一(高湯温泉観光協会会長)の各氏を交えたパネルディスカッションも行った。
高湯温泉の遠藤氏は、「お客さまが高湯に来る目的は、自然と一体となった温泉。震災直後は先が見えなかったが、温泉が止まらなかったことが救いだった。地元で愛される温泉地を目指し、今後もおもてなしに努めていきたい」と述べた。
サミット前日の総会では、新たに「宣言」を行った北海道虎杖浜温泉の旅館と、地域ぐるみではないものの、源泉かけ流しの温泉を利用する全国の旅館31軒の入会を承認した。
◎「源泉かけ流し宣言」の温泉地
川湯・摩周温泉(北海道)▽ぬかびら源泉郷(同)▽虎杖浜源泉かけ流しの会(同)▽高湯温泉(福島県)▽奥塩原源泉かけ流しの会(栃木県)▽関温泉旅館組合(新潟県)▽野沢温泉源泉かけ流しの会(長野県)▽十津川温泉郷(奈良県)▽長湯温泉源泉かけ流し協会(大分県)▽宝泉寺温泉郷(同)
指宿白水館、創業65周年式典を開催
指宿白水館(鹿児島県指宿市、下竹原啓高社長)の創業65周年記念式典が6月18日、同館で開かれた(写真)。
同館は1947年に鹿児島市中町の西本願寺前に鹿児島白水館として設立。敷地286坪、木造平木葺125坪、客室12室、従業員7人で開業した。創業者の下竹原弘志名誉会長は1995年から2期4年、国際観光旅館連盟の会長を務めている。
式典の謝恩祝賀会では、下竹原弘志名誉会長のこれまでの功績や鹿児島白水館の開業、指宿地区への進出、指宿白水館開業から現在までの歩みを紹介。下竹原名誉会長と夫人の大女将サツさんへの花束贈呈、下竹原啓高社長による名誉会長や従業員、取引先への感謝のあいさつを行った。
地元医療健康施設の宿泊施設運営を受託
式典では、指宿市内にある医療・健康都市「メディポリス指宿」内の宿泊施設「天珠の館」の運営管理に関する委受託契約を締結したことを発表した。
「メディポリス指宿」は前臨床試験受託の最大手の新日本科学(東京都中央区)が鹿児島県、鹿児島県医師会、指宿市、指宿医師会、地元の民間企業などに加えて、鹿児島大学との協働を視野に入れた産官学の協力体制で取り組んでいるメディポリス指宿構想のもと作られている施設。宿泊施設は白水館の全国でも高い知名度を生かし、同館の旅館運営の経験とノウハウが導入される。
7月1日から、白水館による運営管理を開始。ロビー周辺や客室、レストランなどのリニューアルやスタッフの強化を行い、来年度には新しい名称「指宿ベイテラス」として営業を開始する予定だ。
日本旅館国際女将会会長に新つたの若松さん
あいさつする新会長の若松氏(中央)
日本旅館国際女将会(須賀紀子会長=登別温泉滝乃湯、35会員)は6月26日、東京都内のホテルで総会を開いた。2012年度の新会長に福島県いわき湯本温泉新つたの女将、若松佐代子氏を全会一致で選出した。
副会長には松本美代(浮山温泉坐漁荘)、長坂正恵(下呂温泉しょうげつ)、岡崎純子(蔵王温泉深山荘高見屋)、村田知世(五浦温泉五浦観光ホテル)の4氏が就いた。
若松新会長は新任あいさつで「東北地方は、震災と原発事故の風評の影響で現在の実績が前々年比50%にも満たない温泉地も多く苦戦している」と現状を紹介。その上で「日本旅館国際女将会が『和の旅館文化を世界に伝える』という使命を今後も果たしていくことが復興の一助にもなると信じている」と決意を述べた。
12年度事業計画には、(1)日印国交樹立60周年を記念するインド・スタディ・ツアーの9月実施(2)10月に中国・広州で開催されるジャパンデイでの日本旅館のPR活動(3)4月に香港大学で開かれるジャパンマンスでの日本文化PR活動──などを掲げた。
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