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旅館・ホテル ■第2664号《2012年7月14日(土)発行》
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東電の観光補償、東北5県も対象へ
福島第1原発事故による観光業の風評被害の補償問題で、東京電力はこのほど、福島以外の東北5県の被害も新たに補償の対象とする方針を決めた。東電と山形県旅館ホテル生活衛生同業組合との協議で、東電が明らかにした。ただ、補償の範囲が子どもを含む旅行などに限定されており、旅館・ホテル側は現状では不十分として範囲をさらに拡大するよう求める方針だ。
風評被害の補償の範囲は、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が昨年8月、「中間指針」(東京電力福島第1、第2原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針)として発表。福島、茨城、栃木、群馬の4県の被害について、事故と相当因果関係があると認定し、東電側に速やかに補償をするよう求めている。また4県以外でも、事故と相当因果関係があると立証されれば補償の対象になり得るとしている。
東電は指針に基づき被害者への補償を進めている。ただ、4県以外の被害への補償はほとんど行われていないとして、全旅連(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会)など旅館・ホテル業界は、東日本のほかの11都県も補償の範囲に盛り込むよう、観光議連などに陳情してきた。
旅館・ホテル業界の運動が功を奏し、1月は千葉県の太平洋沿岸16市町村、2月は山形県米沢市も補償の対象となったが、ほかの東北各地は範囲から外されたままだった。
協議は6月25日、非公開で行われた。
出席者によると、今回、東電が打ち出したのは、すでに補償の対象としている福島県以外の東北5県(青森、岩手、秋田、宮城、山形)の被害の補償。
ただ、すべての被害が対象とはならず、事故があった昨年3月11日時点で予約があった旅行のうち、政府が計画的避難区域を定めた昨年4月22日までにキャンセルされたものに限定している。さらに東北以外から訪れた客で、放射能への感受性が高い18歳以下の子どもを含む旅行に限るとしている。東北管内での移動や、大人のみの旅行は対象とならない。キャンセルによる遺失利益のうち、原発事故以外の要因も勘案して50%を補償するとした。
東北6県の旅館ホテル組合で組織する全旅連東北ブロック協議会は今月4日、同問題の検討会を開き、今回の東電の提案について対応策を協議した。会は13日にも再度開き、旅館・ホテル側の意見を集約。近く、東電に対し、補償範囲の拡大などを求める予定だ。
全旅連会長で山形県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長の佐藤信幸氏は「5県の風評被害を認めたことは一歩前進。ただ、4月22日までのキャンセルや18歳以下の旅行など、被害を限定していることには納得できない。東北全体がまとまり、しっかりとした要望を打ち出していきたい」と話している。
楽天トラベル、R-withで事前カード決済開始
楽天トラベルは、宿泊施設向けに提供中の自社サイト向け予約システム「R—with(アール・ウィズ)」で、事前カード決済サービスを8月1日から始める。VISA、マスター、JCB、アメックス、ダイナースの5ブランドに対応。カード料率は4%とした。これにより利用客は宿泊日の90日前から、宿の自社サイトで事前カード決済での予約が可能となる。
R—withは、宿泊施設の自社ホームページにインターネットの宿泊予約機能を付加するサービス。宿は、自社サイトと楽天トラベルでの販売客室在庫を共有し、一元管理することができる。各種の予約サイトコントローラにも対応する。
R—withは08年4月に、初期費用を無料、月額利用料を宿泊実績額の2%に設定し、宿泊施設への提供を開始。09年3月には初期費用と月額利用料をともに無料化した。現在の利用施設数は7千軒におよぶ。
新たに導入する事前カード決済サービスでは、初期費用を5万円、月額費用を(1)「包括加盟代理契約モデル」5千円(2)「加盟店契約モデル」1万円の2種類に設定した。カード料率は(1)の場合が4%、(2)の場合が各宿泊施設と各カード会社等との契約料率となる。データ処理費用は別途加算される。導入する宿泊施設は、(1)楽天カードが決済業務とカード加盟店契約を一括で受託する包括加盟代理契約モデル(2)楽天カードが決済業務のみを受託する加盟店契約モデル──の2種類の契約モデルのいずれかを選択する。
現在のR—withユーザー7千軒に導入を呼びかけ、その後楽天トラベルの全契約施設2万7千軒への拡大を目指す。事前カード決済サービスの利用を希望しない宿は、引き続き無料でR—withを使用できる。
楽天トラベルは、オンラインカード決済の内容変更を4月に実施。従来の「事前カード決済」に加えて「事後カード決済」を導入し、決済手数料は2%に設定している。一方、今回のR—with事前カード決済のカード料率は2倍の4%だ。同社は「R—withの事前カード決済サービスは、グループ会社である楽天カードの協力で実施するため」と説明している。
宿研「キズナサミット」に宿泊施設100軒が参加
あいさつする末吉社長
宿泊予約経営研究所(神奈川県横浜市、末吉秀典社長)は4日、「宿研キズナサミット2012 変えよう、日本の宿屋を。」を横浜ロイヤルパークホテルで開いた。全国の契約宿泊施設1500軒から100施設が参加した。同社が宿泊施設を集めた大規模な会合を開くのは今回が初めて。
末吉社長は冒頭あいさつで「良い町には良い宿があり、良い宿屋がある所には良い町がある。宿は地域の文化や歴史の継承者だ」と宿に対する思いを熱く語った。
ゲストとして登壇した星野佳路・星野リゾート社長は「旅館は日本文化のテーマパーク。原点回帰し、形骸化したサービスの奥にある本質的な良さを見直すべき」と話した。また「例えば30〜50室規模の宿が400軒集まれば、世界中のハイアットの客室総数を超える。スケールメリットが出て、集客マーケティングコストも容易に捻出できる」と述べ、「日本の宿は大同団結すべき」と提案した。
同社は04年9月の創業。楽天トラベル、じゃらんネット、一休、るるぶトラベルなどの宿泊予約サイトの運用業務代行サービスを旅館・ホテルに提供している。宿泊プランの企画、客室在庫管理などを代行し、業務運営委託費として宿泊利用実績の5%を受け取るビジネスモデルで急成長している。
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