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旅館・ホテル ■第2668号《2012年8月11日(土)発行》
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楽天トラベル、事後決裁のキャンセル料の自動引き落とし可能に
楽天トラベルは宿泊施設の事後(宿泊後)オンラインカード決済でもキャンセル料を自動引き落としできるようシステムを改修し、9月末にも稼働を始める。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)など旅館団体が求めていたもので、楽天が旅館側の要望を受け入れた。今後も稼働後の状況をみて、さらなる改善点がないか、両者で話し合いを継続する予定だ。
楽天トラベルの事後オンラインカード決済は4月4日に開始。「日本の消費者は宿泊前より宿泊後の決済の方が安心する傾向が強い」と、従来の事前オンラインカード決済や宿泊施設での現地払いに加え、新たに導入した。
ただ、事前オンラインカード決済で可能だったキャンセル料のクレジットカードでの自動引き落としは、事後カード決済では行えず、旅館・ホテルが宿泊客に直接請求することになっていた。
これについて旅館・ホテル側は「顧客からキャンセル料を徴収するのは、費用対効果から事実上困難。長期的視点で、宿泊施設は大きな被害を受ける」と反発。
またサイトの顧客向け説明画面でキャンセル料が自動引き落としできないことを強調しているとして、「本来、支払われるべきキャンセル料の不払いを助長するもの」と異を唱えていた。
楽天と全旅連は同問題に関する協議会を4月から実施。5月の第2回協議会で楽天側は、キャンセル料の自動引き落としを行う方向で検討していると明言した。
第3回協議会は7月26日に行われ、楽天側がシステムの改修スケジュールを説明した。
全旅連から宮村耕資・総務委員長、永山久徳・広報小委員長、伊藤真司・同委員、利光伸彦・青年部特別対策担当副部長、内田宗一郎・青年部緊急特別対策委員長ら、楽天から齋藤克也常務執行役員、羽室文博事業推進第一部部長らが出席した。
楽天の説明によると、キャンセル料の自動引き落としは9月末から開始。当初は8月中の開始を予定していたが、同社の社内事情で約1カ月ずれ込んだ。
自動引き落としの顧客への説明は、キャンセルを行う段階で表示される。ただ、引き落としは強制ではなく、顧客に同意するか否かを選んでもらう。同意しない場合は宿泊施設に確認をして施設に直接支払うよう画面で案内する。この点については今後の検討課題になりそうだ。
キャンセル料の不払いを助長する表現を含め、両者は今後もシステムの稼働状況を注視し、協議を継続する予定だ。
旅館・ホテルの上半期倒産は55件、負債452億
帝国データバンクによると、今年上半期(1〜6月)のホテル・旅館経営業者の倒産(負債1千万円以上の法的整理)は55件で、前年同期比31.3%減少(25件減)した。また負債総額は452億2800万円で、同35.5%減少(248億8300万円減)した。昨年は東日本大震災の影響で4〜6月を中心に倒産が激増したが、今年は震災前の2010年同期の水準までほぼ回復した。
倒産件数を月別にみると、10件以上の2ケタが1月(14件)の1回のみ。ほかはすべて1ケタ台にとどまっている。昨年1〜6月はすべての月が2ケタ台で、特に5月は20件と、00年以降の月別で最多を記録した。「東日本大震災による自粛ムードなど、間接的被災が経営を圧迫した」(帝国データバンク)。
今年は2月から5カ月連続で1ケタ台を継続中。1〜6月は前年同期の80件を大幅に下回り、前々年の50件に匹敵する水準まで回復した。
負債総額は、3月から4カ月連続で100億円の大台を下回っている。前年は3〜5月に100億円を突破。特に3月が220億3千万円と高水準となった。
長野・戸倉上山田温泉で湯巡り企画始まる
戸倉上山田温泉(長野県千曲市)は8月1日から、新しい企画「厳選かけ流し湯巡り」を始めた。同温泉の宿泊客が宿泊旅館以外の風呂も楽しめるという企画。来年3月末まで(8月7〜19日と12月30日〜1月3日を除く)。
旅館・ホテル16軒が参画している。館内で「湯巡りチケット」を1枚千円(小学生以下700円)で販売。宿泊客はチケットを提示することで、自分が泊まる旅館・ホテル以外の2軒の風呂も利用できる。利用時間は午後3時から6時。特典として、各施設で手づくりクッキー、アイスクリーム、りんごジュースなどの菓子や飲物をプレゼントする。
戸倉上山田温泉旅館組合連合会の一行が7月24日、東京の観光経済新聞社を訪れ、同企画をPRした。旅館「小石の湯」の西沢正雄社長は、館内で始めた地元の民話語り部劇場、亀清旅館のタイラー・リンチさんは信州生そば、りんごジュースなど、各旅館・ホテルが販売する産直品も宣伝した。
高知・土佐御苑が新フロアオープン、地元食材にこだわり
城を望む客室露天風呂
土佐御苑(高知県高知市、横山佳代子社長)はこのほど、館内をリニューアルした。高品質の新フロア「THE高知フロア」をオープン。地元素材にこだわった内装など、「高知を五感で感じられる施設」にした。
各部屋に室戸産の土佐備長炭を設置。また、高知県産杉や虎斑(とらふ)竹、土佐和紙など、地元素材を随所に使っている。
高知市内では珍しい露天風呂付き客室も備えた。市内で唯一、高知城を眺める客室露天風呂という。
フロアにはコンシェルジュを配置。宿泊客にきめの細かいサービスを提供する。
部屋食にも対応。これまでの藁(わら)に加え、県産の杉、松葉を使ったカツオのたたきも提供する。
旅館では旅行業2種免許を取得し、オリジナルの着地型ツアーの開発を進める。また、今後増加が見込まれるインバウンド客に向けて、ネットでの情報発信を積極的に行う。
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