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観光行政 ■第2672号《2012年9月8日(土)発行》
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外国人の訪日写真を観光庁が募集、SNSで世界に発信
観光庁は1日、東日本大震災や原発事故の風評を払しょくし、訪日外国人旅行の本格的な回復につなげようと、外国人に訪日時に撮影した写真を投稿してもらい、フェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で情報発信する事業を始めた。日本の観光魅力や旅行の安全性を世界にアピールしたい考え。優秀な写真を投稿した外国人には訪日観光の体験プログラムなどをプレゼントする。
企画のタイトルは「Share your WOW! ジャパン・フォト・コンテスト」。英語、韓国語、中国語簡体字・繁体字に対応したキャンペーンサイトに写真を投稿してもらう。キャンペーンサイトは、フェイスブックや新浪微博といったSNSと連動し、投稿者が友人らと写真を共有できるようにする。
投稿してもらう写真のテーマは、クール、デリーシャス、ハッピー、ビューティフル、ファニー、ミラクルの6部門。写真の内容や写真の閲覧者の評価を基にして表彰者を決定する。期間は来年2月15日まで。受賞者を日本に招待し、3月に表彰式を行う予定。
受賞者へのプレゼントとして、福島・会津若松の鶴ヶ城の1日城主体験やミシュラン掲載の寿司店での寿司食べ放題、伝統芸能を学ぶ1日歌舞伎体験などを用意した。
温泉協会など開発に反対、環境省が地熱問題で意見聴取
環境省は8月29日、横光克彦副大臣をヘッドとする「自然と調和した地熱開発に関する検討会議」の第5回会合を開き、日本温泉協会や日本自然保護協会などから意見を聴取した。温泉協会は「無秩序な地熱発電開発に反対」との立場を改めて主張し、無秩序な状況を回避するため、5項目を提案した。
同会議は今春、「風致景観や自然環境の保全と地熱開発を高いレベルで調和させる具体的な戦略の検討、フォローアップを行うことを目的」(同省)に発足。これまで主に、地熱開発事業者サイドから意見を聴取してきた。今回聴取に応じたのは2団体のほか、日本秘湯を守る会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)、世界自然保護基金ジャパン、日本野鳥の会。
同省からは横光副大臣のほか、自然環境局、地球環境局、水・大気環境局などの担当者が出席した。
温泉協会からは廣川允彦会長、宮崎謹一常務理事らが出席。地熱発電のマイナス面などを指摘した上で、(1)地元(行政や温泉事業者)の合意(2)客観性が担保された相互の情報公開と第三者機関の創設(3)被害を受けた温泉と温泉地の回復作業の明文化──など5つを提案した。また、温泉協会のこうした意見に対し、全旅連や日観連、国観連、福島県温泉協会などが賛同していることを付け加えた。
秘湯を守る会からは佐藤好億代表理事や岡村興太郎副代表らが出席、意見を述べた。地熱発電所の現場では温泉の枯渇や減少、土砂災害、水蒸気爆発など地熱開発が原因として疑われる人災が発生していると指摘。例えば、澄川発電所(秋田県鹿角市)周辺の温泉では大規模な土砂崩落が発生し、澄川、赤川両温泉が壊滅したという。
反対を押し切って地熱開発に着手する際は、(1)温泉源利用や自然公園等保護地域の環境保全に対する行政チェック機能の徹底(2)国民への公正な情報公開の確立──などの対策をとるよう強く求めた。
全旅連は野沢幸司常務理事が意見を述べ、温泉協会の趣旨に賛同し「無秩序な地熱発電開発には反対する」とした。日本野鳥の会は、「特別保護地区、第1種特別地域内での開発は避けるべきだ」との考えを示した。
出席者からは会合が非公開となったことに不満の声が出た。また「地熱開発が前提にあり、『省として反対の意見はちゃんと聞いた』というアリバイ作りに利用された感も否めない」と受け止める向きもあった。
観光庁がハローキティで外客誘致、アプリも開発
観光庁は、訪日外国人旅行者の誘致に海外で人気が高い日本発のキャラクター「ハローキティ」を活用する。版権を持つサンリオの協力を得て、フェイスブックなどを通じて海外のファンに日本観光の魅力をPRする。47都道府県の魅力をキティが案内するメニューなどを備えたアイフォーン用アプリも開発し、外国人に提供していく。
キティはアジア、欧米を問わず幅広い年齢層に人気がある。サンリオがキティのファンなどに向けて展開するフェイスブックで訪日旅行を宣伝するほか、イベントや広告など海外で行う訪日旅行プロモーションにもキティを活用する。
アイフォーン用アプリのタイトルは「ビジットジャパンwithハローキティ」。「アップストア」で3日から無料でダウンロードできるようにしている。対応言語は英語、韓国語、中国語簡体字・繁体字。キティが観光地の情報を提供するメニューのほか、GPSを利用したカメラ機能によって訪日時に地域の特色に由来する「ご当地キティ」と記念撮影ができるメニューも備えている。
観光庁は、ビジットジャパン事業の一環として、海外で製品やサービスを展開する日本企業と連携し、日本ブランドを生かした訪日外国人の誘致に取り組みたい考え。サンリオとの連携が第1弾の事業となる。
奈良県がUNWTOアジア太平洋センター誘致へ
奈良県の荒井正吾知事は8月31日、大阪市にある国連・世界観光機関(UNWTO)アジア太平洋センターを奈良市に誘致すると発表した。県の国際観光課は移転を機に「世界的な奈良の知名度の向上とさらなる国際観光の展開を目指す」と話している。
大阪市はセンターの賛助会員で、年間数百万円の会費を払っていた。しかし、橋下徹・大阪市長の市政改革の一環で、市がセンターの賛助会員を外れたことから、運営が難しくなり、支援を受けられる自治体を探していた。奈良県はもともと賛助会員で、荒井知事は国土交通省観光部長時代にセンター誘致に関わっていた経緯があり、誘致に積極的だった。県議会の承認などを得て、年内には移転する見通しだ。
UNWTO(本部、スペイン・マドリード)は国連の専門機関の1つで、観光分野における世界最大の国際機関。同センターは、UNWTOが各国との連絡協調体制を強化するため、1995年6月、観光成長が著しいアジア太平洋地域に唯一の地域事務所として大阪に設置した。
現在、28カ国・2地域が加盟しており、国際会議の開催や途上国の観光開発支援などを行っている。代表の浅沼唯明氏はJR西日本コミュニケーションズの前社長。
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