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旅館・ホテル ■第2674号《2012年9月22日(土)発行》
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東北5県の旅館ホテル組合、東電と風評被害賠償で大筋合意
記者会見に臨む東北5県の旅館ホテル組合理事長(7日、仙台市・ホテルメトロポリタン仙台)
福島第1原発事故による風評被害の賠償問題で、全旅連東北ブロック協議会は7日、福島を除く東北5県の賠償基準について、東京電力と大筋合意したと発表した。東電側が昨年3月11日から11月末までとしていた賠償の対象期間を今年2月末までに延長。事故後に失った「逸失利益」の5割を賠償するとした。旅館・ホテル、行政など観光関係者は、新しい賠償基準に一定の評価をするコメントを寄せている。
東電は今年6月、東北5県の旅館ホテル組合に対し、事故が起きた昨年3月11日から、政府が計画的避難区域を定めた同年4月22日までを賠償期間とする賠償案を提案。8月には期間を昨年11月までに延長したが、スキーシーズンの利益減少が賠償されないなど、旅館・ホテル側から不満が出ていた。東電は旅館・ホテル側の要望を聞き、賠償期間をさらに延長した。
売上高に利益率、売上減少率などを乗じて算出した逸失利益のうち、5割を賠償する。全旅連東北ブロック協議会によると、5県の旅館ホテル組合員全体の賠償額は約53億9千万円。当初の基準による賠償額約3億9千万円から大幅に増額している。
国の原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)は8月27日、福島を除く東北5県と千葉県の観光業の風評被害について、損害の7割を賠償額として認める新たな基準を発表した。
今回の合意(5割)はADRの基準(7割)を下回る。ただ、ADRを利用した場合は組合員の個別交渉となり、賠償の実現に時間がかかるなどとして、「総合的に考えて(5割で)合意した」(全旅連東北ブロック協議会)という。
「包括的な合意はしたが、まだ積み残しは残っている」として、今後は宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合がパイプ役となり、東電との交渉を進め、賠償金の請求作業に早急にかかりたいとしている。
■関係者のコメント
佐藤勘三郎・全旅連東北ブロック協議会会長、宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合理事長
「東電との交渉も10数回にのぼり、議論は平行線をたどり、完全なこう着状態に陥った。一変したのは7月末。東電が風評被害を認める論調に移行し、今回の大筋合意にたどり着いた。今はとにかく賠償に一区切りつけ、早く観光事業者としてのポジションから仕事をしたい」
中村嘉宏・青森県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長
「昨年は青森県観光にとって100年に一度の宿泊業の飛躍の年となるはずだったが、風評被害から大幅な観光客減となった。大筋合意は廃業などで業界から撤退した仲間のことを思うと遅きに失した感は否めない。これを機に組合がさらに団結し、宿泊業本来のおもてなしと誘客にまい進したい」
吉村美栄子・山形県知事
「県としては、原発事故による風評被害は県内の広範囲に及んでおり、その影響は非常に大きいものがあると認識した上で、米沢市が風評被害の認定を受けた後の県旅館ホテル生活衛生同業組合と連携を図りながら、適切かつ迅速な賠償が行われるよう取り組んできたところです。このたび、県旅館ホテル生活衛生同業組合が長期にわたって精力的に折衝を行ってきた風評被害の損害賠償が、第一義の当事者である組合の方々の一定程度満足できる到達点に至ったとのことであり、また旅館・ホテル業のみならず観光業が対象となったということで、これまで県として主張、要望してきた点が一定程度含まれる内容となっておりますことは、ある程度評価できるものと考えております。今後は、東京電力から具体的な説明を求めるなど、引き続き着実な賠償に向け取り組んでまいります」
高坂幹・青森県観光国際戦略局観光企画課長
「合意に向けて努力された関係者の皆さまに敬意を表するとともに、これを契機に本県観光産業が1日も早く東日本大震災から復興し、東北新幹線全線開業効果を獲得できるよう、引き続き官民挙げて取り組んでいきます」
信田隆善・秋田県観光文化スポーツ部観光振興課政策監
「賠償合意は組合の粘り強い交渉の成果と評価しています。県も観光産業の様々な支援を行っていますが、震災後1年半が経過しても以前の状態に戻っていません。今回の結果をひとつの契機に、本県の観光復興を関係者と連携し、進めてまいります」
成田ビューホテル、空港周辺初の天然温泉開設
開放的な露天風呂(男性用岩風呂)
成田ビューホテル(千葉県成田市)は15日、温浴施設「成田温泉『美湯』(びゅう)」をオープンした。成田空港周辺のホテルでは初という天然温泉の施設。日帰り客などの利用を取り込む。
温泉は地下1千メートルから掘削した茶褐色の自家源泉。泉質はナトリウム—塩化物強塩温泉。神経痛、関節痛、冷え性などに効果があるという。
男女とも内湯と露天風呂を備える。露天風呂は広い岩風呂と、ひとりでつかる窯風呂。男性用はサウナ、女性用はミストサウナとハーブ湯も備えた。休憩室はレストルームほか、マッサージルーム、フィットネスルームを備えている。
入浴料大人1500円。ランチ付きやデイユースのプランも用意した。
ホテルオークラ、社内料理コンクール開催
腕を競うコンクール
ホテルオークラ東京(東京都港区)はこのほど、調理技術の向上とメニューの開発を目的として、社内料理コンクールを開催した。8つの直営レストランと宴会調理部門、製菓部門から34人の最終選考者が出場。料理とデザートの2つの部門を、和食、洋食、中華料理のジャンルを超えて、入社15年目までの料理人たちが腕を競い合った。
4回目を迎える今年のテーマは、料理部門が大山鶏、デザート部門は秋のフルーツ。評価は料理長をはじめとするホテルの役員によって行われた。
今回は両部門ともフランス料理「ラ・ベル・エポック」の石渡貴彬氏(24歳)が優勝した。両部門とも同一人物が優勝するのは同コンクール初めてのこと。同氏の作品はレストランメニューとして商品化する予定。
石渡氏は来春開催予定のホテルオークラグループフランス料理コンクールにエントリーし、次の大会でも優勝を狙う。
ホテルオークラグループフランス料理コンクールは、技術向上と国内外でトップレベルに通用する人材の育成、最高の料理を追求するホテルオークラの理念を同グループ内外に伝えることを目的に、2009年から実施している大会。ホテルオークラ&リゾーツの国内外19ホテル、JALホテルズの5ホテル、グループ会社1社から、決勝に進出した調理とサービス各1人がチームとなり、料理とサービスの技を競う。
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