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インバウンド ■第2675号《2012年10月6日(土)発行》    
 

8月の訪日外客78万人、10年比では3%減に

 日本政府観光局(JNTO)が9月21日に発表した今年8月の訪日外客数(推計値)は77万6千人となり、前年同月に比べて42.0%増加した。東日本大震災や原発事故の発生前の水準である前々年同月との比較では3.3%の減少。市場全体として震災からの回復は足踏み状態となった。竹島、尖閣諸島をめぐる韓国、中国との関係悪化の影響は8月の客数には大きく表れていない。

 今年8月の外客数は、8月として過去最高だった2010年の80万3千人に次ぐ2番目の実績。震災からの回復状況としては、前々年同月との比較を基準にすると、6月が1.4%増だったものの、7月は3.8%減、8月もほぼ同じ減少率で2カ月連続のマイナスだった。

 主な市場では、韓国が前々年同月比18.2%減の20万2千人だった。放射能汚染への不安、円高の長期化で震災からの回復は鈍い状況にある。8月10日には韓国の李明博大統領が竹島に上陸し、日韓関係の悪化による訪日旅行への影響が懸念されるが、8月の前々年同月比の減少率は、7月の19.6%減と大きな変化はなかった。

 中国は同13.0%増の19万4千人で、8月として過去最高を記録した。家族旅行の需要が回復したほか、北海道.沖縄旅行の人気、大型クルーズ船の寄港が旅行需要の増加につながった。尖閣諸島をめぐる問題の影響は9月11日の国有化に前後して、9月以降の訪日に大きく表れるとみられる。

 台湾も8月として過去最高を記録し、同11.8%増の12万7千人だった。オープンスカイ(航空自由化)協定による航空座席の増加が需要を後押しした。JNTOでは、訪日旅行市場は東北地方を除けば、「震災前の平常な状態に回復している」と指摘している。

 他の主な市場は、香港が同13.6%減の4万5千人、米国が同4.1%減の5万3千人、豪州が同15.2%減の1万1千人、英国が同18.0%減の1万2千人、フランスが同21.1%減の1万1千人など。東南アジアは客数の規模は小さいが、大きな伸びを示している。低調なシンガポールを除くと、インドネシアが同236.0%増の1万3千人、タイが同19.7%増の1万2千人、マレーシアが54.1%増の8千人、ベトナムが19.8%増の4千人となった。

 一方で8月の出国日本人数は、前年同月に比べて10.0%増の196万5千人だった。前年同月に対して14カ月連続で増加している。1〜8月累計では同15.1%増の1252万5千人となった。



東武トラベル協定3連盟、台北で商談会開催
40社超の企業が参加

 東武トラベル協定旅館・観光施設・運輸機関の3連盟は9月12日、台湾・台北で訪日観光を取り扱う現地旅行社を招いて商談会を行った。これまで一昨年に香港、昨年はソウルとインバウンド商談会を重ねてきた。今回も東武鉄道をはじめ、東武タワースカイツリー、東武ホテルグループなどから社員も参加し、東武グループをあげて日本観光のアピールに努めた。

 協定旅館連盟の市川捷次会長(草津温泉・ホテル一井)をはじめとする3連盟の会員、鉄道、スカイツリー、ホテルマネジメント、トラベルの各東武グループ社員を合わせ、参加者は70人に及んだ。台北の旅行会社からは、5月に開業したスカイツリーをはじめとする日本観光に期待を持った42社52人が集まった。

 商談会は各地域を8地区に分け、東武グループを加えて11のブースで実施。地区ごとにポスター、パンフレット、グッズを配置し、中国語のパンフレット、資料などを元に参加者それぞれが売り込んだ。台北の旅行会社側は日本語が達者で、商談の会話があちらこちらで熱を帯びていた。

 参加した東武タワースカイツリーの望月康紀・営業計画部課長は「台湾の訪日旅行需要は非常に高いと感じた。東京スカイツリーを軸に東武グループとして誘客を進めたい」と意欲を見せる。

 協定旅館連盟で業務推進委員会インバウンド推進担当を務める、一茶のこみち美湯の宿の斉須正男社長も参加。「スカイツリーというメーンがあったので、商談はかなり盛り上がった。まずスカイツリーから日本への旅行に興味を持ってもらい、地方の旅館・ホテルにも送客してくれたらうれしい」と期待している。



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