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地域観光 ■第2677号《2012年10月20日(土)発行》
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福島市、復興への願い込め「こでらんに博」スタート
ボランティアガイドによる案内もある旧堀切邸(福島市の飯坂温泉)
福島県福島市は、原発事故に伴う放射能への風評などを払しょくし、観光客の本格的な回復を目指すイベントを10月からスタートさせた。市全域を博覧会会場と見立てて国内外から旅行者を誘致する「福島市こでらんに博」。福島市観光コンベンション協会を事務局とする実行委員会の主催で、3年間にわたって開催する。地域の復興への願いを込めて、体験プログラムやまち歩きツアー、各種イベントを展開する。
放射能の風評などの影響は、福島市をはじめ福島県の観光を苦しめている。観光庁の宿泊旅行統計によると、観光客を主体に受け入れる県内の宿泊施設の延べ宿泊者数は、今年4〜6月期で震災前の2010年に比べて約3割の減少。地域によって状況はさらに厳しい。果物狩りの観光農園などの集客も大幅に落ち込み、観光客の回復が課題となっている。
こでらんに博実行委員会の渡邉和裕会長(山水荘社長、土湯温泉観光協会会長)は、「多くの旅行者に来てもらい、福島の生活が平常で、復興に向けてがんばっていると知ってほしい」と訴える。同時に「福島の魅力は自然や文化、食、人情と言われてきた。地元の人には当たり前のものだったが、震災を契機にその貴重さに気づかされた。それらを地域の宝物として磨き直し、おもてなしに生かしたい」と語った。
博覧会の名称「こでらんに」は、福島の方言で「こたえられない」「たまらない」という意味。市内の7地域を「パビリオン」に位置づけて集客の拠点とする。パビリオンは飯坂、土湯、高湯、松川、飯野、信夫山、街なか(中心市街地)。周遊や宿泊を促すスタンプラリーも実施している。
各パビリオンは、歴史や文化、自然などにちなんだ観光スポット、体験プログラム、イベントの情報発信を強化。例えば温泉地では、飯坂温泉が共同浴場「鯖湖湯」や旧家の土蔵などが保存されている「旧堀切邸」を、土湯温泉はまち歩きや伝統こけしの絵付け体験を、高湯温泉は源泉かけ流しにこだわった宿泊・入浴施設をアピールしている。
博覧会は、根強い放射能への不安や風評の払しょく、地域の復興に向けて、3年間をかけて実施する。季節ごとにイベントや体験プログラムを更新し、ウェブサイトやガイドブックなどを通じて積極的に情報を発信していく。
旅行会社に送客への協力を求めていくほか、10月上旬にはメディアを対象にしたモニターツアーを実施し、博覧会をPRした。メディアを前に福島市の瀬戸孝則市長は「こでらんに博は、福島の復興と未来を担う観光事業者や若者の声、市職員の政策提案などを具体化した事業だ。福島の元気を全国にアピールできるように一歩一歩取り組み、博覧会を成功させたい」と力を込めた。
交流型イベントで福島の復興を応援
福島市内では、復興を応援しようと、全国各地の企業や団体が出展する交流型のイベントが多数開催されている。今月6、7日には、焼き鳥で有名な地域が出展した「全国やきとリンピック」、13日には全国の伝統芸能が披露されるJTBのイベント「杜の賑い」、13、14日には静岡県浜松市などが参加した「全国餃子万博」が催された。
このうち全国やきとリンピックには、「7大焼き鳥タウン」と言われる福島市をはじめ、北海道の美唄、室蘭、埼玉県の東松山、愛媛県の今治、山口県の長門、福岡県の久留米の人気店が出展。東松山市の森田光一市長ら関係者も応援に駆けつけた。
やきとリンピック実行委員会の委員長は、福島市の隣、川俣シャモで知られる川俣町の古川道郎町長が務めた。古川町長は「原発事故以来、福島県内の自治体は復旧、復興に向けて懸命となっている。全国からの応援でイベントが開催できてうれしい。食の安全、安心を訴え、川俣シャモを再び羽ばたかせたい」と話していた。
豊岡市、被災地支援ツアーを企画
兵庫県豊岡市は、市民が観光客として東日本大震災の被災地を訪れ、現地で消費活動をすることによって復興を支援する「東日本大震災被災地支援ツアー」を企画した。ツアーは近畿日本ツーリスト(KNT)福知山支店が受託し、10日から参加者の募集を開始した。
市政策調整課は「市が前面に出て復興支援ツアーを行うのは県内でも初めて。全国的にも珍しいと思う」と説明。
ツアー実施は12月2〜4日の2泊3日。初日は伊丹空港から空路で仙台空港に入り、中尊寺などを観光。宮城県南三陸町のホテル観洋に宿泊する。2日目は被災者とともに同町内を視察、佐藤仁町長と面会後、町内の仮設商店街や石巻市内を観光し、松島町のホテル松島大観荘に宿泊。3日目は瑞厳寺などを訪れた後、豊岡市に戻る。中貝宗治市長も2日目から参加する。
ツアーは、「主に南三陸町の視察を中心にしたい」とする市の希望を受けてKNTが造成した。費用は1人5万7千円。実費(6万4800円)との差額は市が補助する。市民限定で募集人数は40人。
市は今年7月、被災地に市職員を派遣したが、地元関係者から「観光に来て、被災地の状況を知って、経済復興を支援いただきたい」と要請があったのを受けて今回のツアーを企画した。
会津若松市、大河ドラマ「八重の桜」放送に合わせドラマ館設置へ
来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の放映に合わせ、福島県会津若松市に大河ドラマ館が開設される。会津若松市「八重の桜」プロジェクト協議会によると、開設期間は来年1月12日から14年1月14日まで。目標来館者数は60万人。
名称は「ハンサムウーマン八重と会津博 大河ドラマ館」で、市内にある旧会津図書館1階を改装して使う。展示面積は約424平方メートル。営業時間は午前8時半から午後5時までだが、繁忙期は延長する。
前売り券は大人450円、小人180円。20人以上の団体はそれぞれ400円、160円となる。1月から発売する当日券は大人500円、小人200円。小・中・高校生が対象で、学年単位の遠足や修学旅行などに適用される「教育旅行料」はそれぞれ350円、150円と設定している。
茨城県がエキストラツアー実施、自治体で初の試み
茨城県は、県内で撮影される映画やドラマに出演する通行人役などのエキストラが、撮影の合間にロケ地で観光も行う「エキストラツアー」を始める。東日本大震災の復興関連事業の一環。北茨城市が舞台になっている美術家の岡倉天心(1863〜1913)を主人公にした映画「天心」(来年秋公開予定)で、同市や周辺を観光する初めてのツアーを12月に実施する予定だ。
県観光物産課の説明によると、映画などのロケ地を巡るツアーは各地で行われているが、エキストラツアーを実施するのは、自治体では茨城県が初めてとしている。
最初のツアー、エキストラの募集は、11月上旬に公募し、12月に実施する予定。委託する旅行会社は未定。3泊4日程度を想定し、関東在住者約50人、関西で約20人を募集する。ツアー参加は有料となる。
エキストラは撮影の合間や撮影後には観光客として、ロケ地周辺を観光したり俳優や映画関係者、地元住民らとの交流を行う予定になっている。
県はエキストラツアー実施のため、9月補正予算で約1500万円を計上した。ツアーが好評だった場合、来年度以降もツアーを実施する方針だ。
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